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火がついたネット発コンテンツ商品化への鍵握るプロデューサーの技

ブログの登場でテキストを書ける人に注目が集まりました。YouTubeの登場で音楽や映像を作れる人に注目が集まりました。ニコニコ動画の登場で観客にも注目が集まりました(セカンドライフで3次元モデリングをできる人に注目が集まったかどうかは微妙です)。

そんな中、ネットを発信源としたコンテンツに当然のようにネットの外からも注目が集まっています。初音ミクのようなPCのソフトウェアがグッドデザイン賞を受賞するなどという事態は少し前では想像もできなかったでしょう。

最近、ネット発のコンテンツとして注目を集めている存在に「元気ロケッツ」というプロジェクトがあります。

▼水口哲也プロデュース 元気ロケッツ

以下、ウィキペディア引用。
同年9月11日にアメリカのジャーナリストが明るい話題をと自身のサイトで「Heavenly
Star」を紹介する記事を掲載[1]。インターネット上で同曲が初めて発表されると人気となり、アメリカMTV『Spike TV』主催の『VIDEOGAME AWARDS 2006』ではBest Song部門にノミネートされた。

 ▼元気ロケッツ ─ Heavenly Star(03:56)
http://jp.youtube.com/watch?v=LqHfiNoMO4E


このプロジェクトが他のネット発のコンテンツには大きな違いがひとつあります。それは、水口哲也というスーパープロデューサーの存在です。

また、ネット発のコンテンツがいろいろと生まれて行く中で、はっきりしてきたことのひとつに、コンテンツそのものを生み出すことにアマチュアもプロもないということがあります。ニコニコ動画などでしばし「才能の無駄遣い」というタグでくくられる過剰なクリエイターなどが、それに当てはまると思います。

アマチュアとプロの差というのは、コンテンツを生み出すことよりも、一度コンテンツに火がついた後にこそ発生します。まだ評価の定まっていないコンテンツをひとつのプロダクツとして商品化していくところにプロの技が光るのです。つまり、プロの技とはそこにこそあったのです。そして、このプロとアマチュアの差は別に今にはじまった話ではありません。

その昔テレビには「イカ天」という番組がありました。それに続く「エビ天」という番組もありました。さらにさかのぼれば、「スター誕生」「お笑いスター誕生」と、いわゆるオーディション番組というのは、テレビの歴史の中でひとつのジャンルを持っています。しかし、オーディション番組は、昔のほどのパワーを持っていません。いちばん最近のオーディション番組の成功事例である「モーニング娘。」も既に最盛期を過ぎています。そして、オーディション番組には当然ですが、プロデューサーがセットでもれなくついてきます。

力を失うテレビ発、ネタに事欠かないネット発、この違いはどこから発生しているのでしょう。

ネットには「まずはやってみる、まずは外に出してみる、そして問いかけてみる」という姿勢が醸成されています。それはスペースが無限であるネットだからこそできることです。と同時に視聴者である消費者を信用していなければ、こういった姿勢を持つことはできません。

ネットに価値があるのはネットがすごいからではありません。そこにちゃんと人がいることがわかるようになったというだけのことです。ネットの向こう側にいる相手を信頼してコンテンツを生み出すから、そこからリターンを得られるわけです。そのリターンという確かな実績を受けてスタートするからネット発は強いのです。

「いいものはちゃんと流通する(リンク:http://mitaimon.cocolog-nifty.com/blog/2006/06/web20_839c.html)」

このサンプルはネットの中にいくらでも発見することができます。ニコニコ動画、YouTubeといった媒体の準備も整っています。それがアマチュアとプロを問わずに、今クリエイターを包んでいる状況なのです。
参考リンク:http://mitaimon.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/love_fa56.html


ただ、それだけではひとつのプロジェクトとして形になることは難しいでしょう。ここでプロデューサーというプロの仕事が必要なのです。元気ロケッツという成功事例はそういった視点で見るべきではないかと思います。そして、そのネットで起きた起爆剤を逃すことなくプロジェクトとして結実した水口哲也はさすがと言わざるを得ません。

ネットで実績をつかんだクリエイターとプロデューサーが対当な形でプロジェクトを進めて行くのが、今後の向かうべき方向であるように思います。

 

【編集部ピックアップ関連情報】

○CNET  2008/01/21
 「水口哲也氏が語る、既成概念にとらわれないものづくりの秘けつ」
 例えば違う国の人に、「今こういうこと考えてるんだけど、面白くない?」
 と聞く。それに反応しなければ、「ああ、これが面白いと思うのは俺だけ
 かな」とか、「日本では受けても、海外では受け入れられないかな」とか、
 そういうことが確認できる。あるいは、もし反応が鈍くても、少しやり方を
 変えればうまく行くかもしれない、とか。僕はそのために英語を
 話すようになった。
http://japan.cnet.com/interview/tech/story/0,2000055961,20363709,00.htm


○CNETブログ 箱田雅彦・ネットとメディアのききかじり  2008/10/31
 「ゲームはメディアになった」 水口哲也氏(元気ロケッツ プロデューサー)
 コンセプチュアルバンド「元気ロケッツ」がグッドデザイン賞を受賞した。
 CDジャケットのデザインが、ではない。これは「元気ロケッツ」という
 コンセプトデザインに対するものだと認識している。宇宙で生まれ育ち、
 地球に憧れながらも未だ地上に降り立ったことのない30年後の18歳である
 Lumiがフロントアクトとつとめ、地球への憧れを歌う、それが
 「元気ロケッツ」である。
http://japan.cnet.com/blog/mbox/2008/10/31/entry_27017566/

 

 


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