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ネット違法配信の影響で大きな転換期を迎えるコンテンツのパッケージ販売

  • MediaSabor

ネット、ケータイの普及により、情報爆発が起こったことで、コンシューマーのアテンションを引き付けるには、広告も含め様々な工夫が必要な時代になった。ネットユーザー側としても、情報の洪水におぼれないためには、適切な情報の取捨選択の方法とリテラシーを身につけなければならなくなった。だが、情報の量は増えたものの、ネットに適した魅力的なコミュニケーション・デザインがなされているコンテンツは、意外と少ないのではないかという気がする。

ネット上には、テキスト、写真、音声、動画と、あらゆるデータを掲載できるものの、まだ収益化のモデル構築が難しいことで、プロによる洗練度の高いコンテンツが少ないということがいえる。したがって、必ずしもネットユーザーの情報内容に対する満足度は高くないだろう。そのことは、動画の違法配信が絶えないことの要因のひとつかもしれない。

しかし、下記記事にて記述されているように、動画共有サイトでの違法配信は、従来のパッケージ販売、地上波テレビを中心としたビジネスモデルを破壊しつつある。
○ITmedia 日本のアニメが世界に「売れない」 生き残りの道は  2009/01/28
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0901/28/news115.html

同様に音楽業界においても、CD販売は減少し、配信サービスの利用は増え続けている。それと同時に無許可でサイト上にアップロードされた違法の着うたの存在が影を落とす。


このように各種コンテンツビジネスは、大きな転換期を迎えていることが確かであり、ネット社会時代に適した新たなビジネスモデル構築が急務となっている。ネットの違法動画で、従来のビジネスが崩壊しようとしているのに、ネットに最適化したモデルを構築しなければならないとは、何とも逆説的な印象を抱いてしまうが、人々のメディア接触態度の変容にアジャストさせる意味合いがある。

従来型のテレビ、映画、DVD向けの長尺コンテンツを単にネットに移植するだけでは十分とはいえない。尺の長さもさることながら、制作方法およびコスト、配信プラットホームに適した企画など、ネット、ケータイに適したコンテンツづくりの取り組みをしていかなければならない。本質的には、コピーが無意味なコミュニケーション・ツールとしてのコンテンツ・デザインを創造していくことが求められるのだろう。特にケータイ向けに、ゲーム性があったり、ユーザーカスタマイズが可能だったりするコンテンツの配信は有効な手法なのではないか。それは、スマートフォンやモバイルゲーム端末などへの配信にも応用可能になる。

但し、これまでの映像ビジネスの主要プレイヤーほど、従来の枠組みから脱却することは難しく、むしろ、新興プレイヤーやアマチュアのほうが、実験的試みや思い切ったことがやりやすいといえる。その意味で、ビジネスの転換期においては、技術力や資本力だけでなく、チャレンジ精神やアイデアが、主導権を握る上での大きな鍵となる。

 

 


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