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米で景気後退の影響がいよいよ本格化。09年1月の失業者7.6%に上昇

〈記事概要〉

 米国の1月の失業率が7.6%に上昇した。これは1992年9月以来の高水準。59万8000人が解雇され、景気後退スパイラルの出口が見えない。

 労働省が2月6日にまとめた報告によると、景気の悪化は暗い見通しを描いている。2007年12月を皮切りに360万人が職を失った今回の不況だが、ここ3カ月の間にその半分が集中している。1月の失業者の多さは特に厳しく、1974年の全米的な不況時以来の数字だ。経済アナリストも「ここ10年来見たことのない速度で解雇が進んでいる」と話す。

 ほとんどの分野で1月は失業者が相次ぎ、唯一の例外として従業員を増やしているのはヘルスケアと個人教育の分野だけだ。

 労働省によると1月の全米失業者数は1160万人に上り、780万人がフルタイムの仕事を見つけられずにパートタイムで働いている。210万人の米国人が職を探しているが、その難しさに失望しているという。失業者、パートタイム労働者、職探しに失望している者の合計は13.9%に上る。

 この悲惨な報告は、オバマ大統領が打ち出した緊急経済対策の採択に向けた議会へのプレッシャーを強めるだろう。対策は、向こう2年間で300万人以上の雇用保護と創出から成っている。多くのエコノミストたちは、たとえオバマ大統領の緊急支援策が承認されたとしても、新たに300万人の職が今年中に失われるだろうと予測する。

 「失業率の高さや労働者が苦悩する現実の解消に向けて大胆な財政出動が必要」とは、ホワイトハウス大統領経済諮問委員会のチーフであるクリスティーナ・レーマー氏。「もしそれに失敗すれば、百万人単位の失業者を生み出し、失業率は二桁になるだろう」と懸念を示す。

サンフランシスコ・クロニカル 2月6日付


〈解説〉

 不況の影響が米国でもいよいよ深刻になってきた。新聞の経済面を首切りのニュースが賑わし、どこの会社が何千人のレイオフを決めた、どこどこが倒産したといった話題を日常的に目にする。パナソニックやソニーといった日本企業の人員削減でさえローカルテレビ局のニュースで報道され、広く米国人の知るところとなっている。

 首切りにおびえているのは企業だけではない。私の住んでいるカリフォルニア州では不況を原因とする深刻な州の財政難もあって、学校の統廃合を進める方向で話しが進んでいる。小中高校、それに成人教育も対象。ある日、学校が閉鎖されてしまったらそこに通う生徒たちも大変だ。

 近接する学校へ通うことになるのだろうが、ことはそう単純ではない。生徒数が増えることによる教員組合の反発や、一クラスあたり収容人数の消防法上の上限など、解決すべき問題が多くある。新たな受け入れ先を見つけるのも一苦労だという。

 全米有数の高所得者が集まるシリコンバレーでも、ハイテク企業のレイオフが相次いでいることから経済状況は悪化の一途を辿る。中心となるサンタクララ郡の昨年の自動車販売台数は前年比で23%落ち込み、15年ぶりの低迷を記録した。

 トヨタが前年比22%減となり、ホンダも15%減を記録。ゼネラル・モーターズ(GM)のシボレーブランドは同41%減と大きく落ち込んだ。大型乗用車のハマーは同62%の大幅減となり、シリコンバレーの販売店は遂に店を畳んでしまったほどだ。

 ガソリン価格が高騰した昨年とは違って半値以下に落ちた現在でも、不景気が消費者の自動車購入意欲を失わせている。関係者の予測によると、今年はさらに14%減少しそうだという。

 期待されるのはオバマ政権が打ち出した緊急経済対策法案。クリーンエネルギーの推進、ヘルスケア・教育の充実、インフラ整備、減税などが盛り込まれ、18カ月間に渡って8000億ドル以上をかけて行われる。

 2010年後半ごろから効果が生まれ始め、トータルで約400万件の雇用を生むといわれる。この中には、再生可能なエネルギーを3年間で600万世帯に供給したり、失業者など850万人に健康保険を与えるといった思い切った政策も盛り込まれている。

 だが法案は現在、支出拡大をせずに減税に重点を置くべきとする共和党と折り合いがつかず、上院での審議が難航中。オバマ大統領は、「勝ち負けを競っている場合ではない」と緊急性を議会に訴え、超党派での合意を目指す構えだ。

 

【編集部ピックアップ関連情報】

○JIROの独断的日記 2009/02/14
 「今の世界同時不況は、並の不況ではない。まだ、序の口らしいです。」
 「俺の業界は、不況とは無縁だから」と思っている人。甘い。
 本当に世の中全体が不況になったら、逃れられる者はいないのである。
http://jiro-dokudan.cocolog-nifty.com/jiro/2009/02/post-0f42.html


○Blog vs. Media 時評 「日本経済への先行き悲観論が目白押し」2009/01/29
 英エコノミスト誌「日本経済:早期回復なるか」の「金融危機の嵐に
 直撃されなかった日本経済が、今ほかのどの先進国よりも急速に縮小している」
 との指摘を見て、納得するものがありました。このグラフを見てください。
 鉱工業生産の縮小ぶりは尋常ではありません。
http://blog.dandoweb.com/?eid=53115


○Nothing Ventured, Nothing Gained.
 「世界の自動車会社は多すぎる!?」 2008/12/19
 2000年頃にある経済評論家が、「世界の自動車会社は多すぎで、日本に2つ、
 アメリカに1つ、ヨーロッパに2つの自動車会社が存続するのが、自動車産業
 の将来的展望からいって、望ましい姿だ。」と主張していたのを最近思い出す。
http://esquire.air-nifty.com/blog/2008/12/post-ced1.html

 

 

 


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