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余暇の3分の1をオンラインで過ごす時代。モニターのこちら側の存在は・・・

<記事要約>

世界16ヵ国を対象に最近実施されたデジタル生活調査によると、平均的なオーストラリア人は、毎日1時間半をオンラインで過ごし、大半(79%)が自宅で毎日ログインしている。

オンラインで過ごす時間が余暇時間全体に占める割合は約3分の1で、世界的に見ても、たとえば英国で28%、米国で30%と、似たような傾向にあるが、中国(44%)や韓国(40%)、日本(38%)といったアジア諸国の一部で、その割合が高くなっている。

オンラインで知り合った人と直に会ったことがあるというオーストラリア人は、10人に6人。これも世界的な数字と同水準ながら、ドイツ(76%)やスウェーデン(75%)、フランス(75%)といった国ではもう少し高い。

2009/3/5 Marketing Magazine(http://www.marketingmag.com.au)より


<解説>

この調査自体が18から55歳を対象にしたオンライン・インタビューという形式のため、回答者は常日頃からPCに接しているネットユーザー層であるという点に留意する必要があるものの、想像以上に多くの国において日常生活のデジタル化が進んでいるんだなあ、という印象を受ける。

興味深いのは、暇があるほど、オンラインで過ごす時間の割合が高くなるわけではないという結果。1日の余暇時間が2時間しかない人も、8時間ある人も、平均すればそれぞれその3割程度をオンラインで過ごす時間に充てているらしい。

ネット依存の弊害がクローズアップされて久しいが、人々は無意識のうちに、そのほかの活動をするための時間とのバランスを取ろうとしているのだろうか。

日々のオンライン活動で最も多いのは、検索エンジンの利用(81%)。2位はニュースの閲覧(76%)で、その後にオンラインバンキング(74%)が続く。いずれも、「余暇」という言葉から連想される趣味や娯楽というよりは、身近な日常生活の延長線上にある活動で、ちょっと前まで、大して不便とも面倒とも感じずに誰もがオフラインでこなしていたことばかり。調査元では、「オンラインで生産的に時間を使う=余暇時間を増やすこと」とコメントしている。

実用的で効率のいいオンライン上のツールを活用することによって、時間やお金、労力を節約できることは、確かにデジタル・ネット時代の大きな恩恵だと思う。気になるのは、そうやって増えたはずのゆとりの時間が、人生を豊かにしたり、心身の健康を保持するための「クオリティ・タイム」に向けられているか、ということだ。

最近報じられた「ドイツの若者は恋人よりもインターネットが大事?(http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0903/03/news069.html)」という記事に愕然とするのは、きっとわたしだけではないはず。「もし恋人か車かインターネットかを選ばなければならないのなら」という質問そのものに呆気にとられてしまったが、いつでもどこでもオンラインにアクセスできる環境に慣れ、モニターの向こう側の世界に没頭するあまり、同じ時間と空間を共有する存在をないがしろにしてない? と自戒を込めて問いたい。

 


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