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オーガニック・ベビーフードの草分け「HIPP」、成功の軌跡

瓶入りのベビーフードを活用している小さな子供を持つ母親の数は、ドイツにおいてかなり多い。中でも50年以上オーガニック・ベビーフードを製造している「HIPP」社の瓶入りフードを持ってカフェに座っているお母さんの姿は本当によく目に留まる。

同社の歴史は長く、19世紀半ばにヨセフ・ヒップ氏が、双子を出産後、母乳が出ず困っていた妻のために、ラスクと呼ばれる保存食のパン菓子を粉末状にし、簡単なベビーフードを作ったのが始まりだとか。これがうわさを呼んで、最終的には本職のパン屋さんとは別に、小さなベビーフード工場を作るまでになったそうだ。

同ヨセフ・ヒップ氏の息子であるゲオルグ・ヒップ氏が、引き続きこのラスク粉の製造に力を入れ、訪問販売を通してさらに顧客数をゲット。こうして企業の拡大を行った。その後20世紀中旬に入り、アメリカに出回っていたベビーフードをモデルに、ガラスの瓶に入った製品を製造開始。その製品シリーズは、ジュース、離乳・幼児食、肉類、そして子供向けのデザート、全粒粉のお粥と幅広くなった。

同時にベビーフード製造のために、1956年からオーガニック栽培による野菜・果物の製造を開始。 同社がオーガニック栽培を始めた頃といえば、化学肥料の使用が中心であった時代であり、まさにそれに対抗する唯一のオーガニック・ベビーフード会社として、独自性を強化していった。

EUの有機規格がまだなかった時代であったため、同社の製品にはオリジナルのオーガニックシールが貼られている。つまりEUの規程が材料の非汚染を示すだけであるのに対して、HIPP社の検査は、出来上がった製品そのものの非汚染を保証するものであると現代表のヒップ氏。なんと同社の検査では800種以上の有害物質の有無がチェックされ、これは例えるとすれば、50メートルのプールで塩粒ひとつを見つけ出すほどの厳格さである。

中でもよく考えられているのは、離乳食だけでなく、妊婦用のオーガニックジュースやビタミン補給品、授乳を助けるハーブティー、スキンケア製品も製造しており、妊婦の間にメンバー登録することで、出産以後ベビーフードの試供品がサービス発送されてくるシステムだ。つまり出産前に顧客となった女性は、出産後すぐに授乳茶、赤ん坊を落ち着かせるためのハーブティー等などを購入、そして半年後には離乳食、そしてその後も幼児用のオーガニックフードやドリンク、デザートと、何年にも渡ってHIPP社のお世話になることになる。ここまで徹底したHIPP社の女性と子供のための健康と美容サポートは、まさにドイツで何世代にもわたる成功を収めた秘密と言えるだろう。

▼HIPP社ホームページ  http://hipp.de/

 


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