金価格上昇で盛り上がるゴールド・パーティ
- 米国在住ジャーナリスト
アメリカ人はパーティ好き。なんだかんだと理由をつけては集まって、飲んだり、喋ったり、知り合いを増やしたりする気軽な会合をパーティと称する。最近、話題を呼んでいるのがゴールド・パーティ。不要な貴金属を持ち寄って、現金にかえるための集まりである。下落を続ける米国の株式市場とは反対に、2月20日の金相場は1オンスあたり1000ドルまで上昇した。昔ながらの質屋や貴金属の買い取りサービスもあるが、ゴールド・パーティはアメリカ人のパーティ好きのツボにはまったようだ。
アメリカでは昔から、タッパー・ウェアや化粧品、バッグやキャンドルなど小物の販売手法として、近所の女性を集めたホーム・パーティが利用されてきた。参加者は、知り合いの家でお茶やケーキ、おしゃべりを楽しみつつ商品説明を聞く。パーティから帰る時には、なんとなく商品を買ってしまっていることが多い。しかしゴールド・パーティでは、帰る時には買ったものではなく、すぐに現金化できる小切手を手にできるところが魅力だ。
このゴールド・パーティのコンセプトは、ミシガン州のジャニュアリー・トーマスさんが、古い金のアクセサリーを親戚の宝石店で買い取ってもらった際に思いついた。トーマスさんは、その後「マイゴールド・パーティ」というホーム・パーティを通じた金の買取事業を起こした。同社の契約買取レップ(代理店)を対象にパーティのノウハウも販売し、全米から不要な貴金属を吸い上げては再生塊にし、銀行へ販売するというビジネス・モデルだ。
トーマスさんのプログラムでは、ゴールド・パーティを主催したい人が、貴金属の鑑定キットを700ドルで購入して、同社の買取レップとなる。買取レップは貴金属を現金化したいと思っているような知人を対象に、ゴールド・パーティを企画する。大抵の場合、参加者は元恋人や元夫からもらったアクセサリーや、古い金のネックレス、イヤリング、ブレスレットなどを持って集まる。傷がついていても、壊れていても構わない。金時計や、金歯まで持ってくる人もいるようだ。
パーティでは、買取レップが持ち寄られた貴金属を一つ一つ鑑定し、金の価値の75%相当の金額で買い取る。離婚が多い米国のお国柄か、元夫達からもらった山のようなアクセサリーを持ってきて、5000ドルの小切手を手に帰っていくツワモノもいるらしい。逆に、持ち寄ったものが金ではなかったことが判明し、ちょっとした家庭騒動になる場合も。
買い取った貴金属は、マイゴールド・パーティの本社で溶解され、最終買取価格が決定され、買取レップは最終買取価格の支払いを受ける。再生処理実費に5%程度が必要となるので、残りの20%からパーティ開催実費を除いた金額が、買取レップの利益になるというのが同社の説明だ。
マイゴールド・パーティのウェブサイトによれば、参加者が持ち寄る貴金属の買取価格は一人あたり平均で300ドル程度。買取レップはパーティの場で買取支払いをすることになっているので、何千ドルという自己資金が必要になる。
自己資金はないが、ゴールド・パーティで小遣い稼ぎをしたい場合は、17州にいるマイゴールド・パーティの買取レップに出張してもらい、参加者集めとパーティの主催だけ行い、謝礼としてその日の買取総額の10%を受け取ることもできる。不況やレイオフのニュースが続き、金が上がり相場を呈している中で、アメリカ女性達が古いアクセサリーを探して引き出しや宝石箱をひっくり返す日々が続きそうだ。
<関連リンク>
マイゴールド・パーティ社のウェブサイト
http://mygoldparty.com/
【編集部ピックアップ関連情報】
○金鉱株で資産形成(黄金郷篇)「通貨としてのゴールド」2009/03/01
こうして見ると金価格が通貨の強さを示す合わせ鏡のような機能を
持っていることがわかる。明らかにゴールドは通貨としての機能を
保持しているのだ。
http://gojira1218.blog87.fc2.com/blog-entry-1333.html
○オクターブの共鳴音 2009/01/06
「金を通して世界を読む」豊島逸夫(著) 今起きている世界情勢を俯瞰しよう
各国の金に対するスタンス(思惑・中東マネー恐るべし)、各国の通貨に
対する想い、金市場のプレーヤー、投機マネーの実態(機関投資家、
オプション取引、ヘッジファンド)、日本での金取引、これからの金を
見るポイント、”有事の金”の本当の意味、オイルマネーとチャイナマネー・・
今、断片的にニュースで流れてくることが、”繋がって”理解できるのって、
今のなんだかよくわからない・・・という不安感を拭うことができるし、
なんだかよくわからない大きなものに騙されているような気がしていた人
にとっても、もやもやとしていた目の前の雲が晴れるような感覚をおぼえると
思いますよー。
http://resonance222.at.webry.info/200901/article_2.html
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