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オスカー受賞映画『スラムドッグ$ミリオネア』の子役やっと貧民生活脱出?

(記事要約)

アカデミー賞作品賞を受賞した映画『スラムドッグ$ミリオネア』で観客を魅了した2人の子役が、惨めなムンバイの貧困生活を抜け出し、屋根とドアと壁のある本当の家に移り住むことになった。

メイン・キャラクターの子供時代を演じたルビナ・アリ(9歳)とアズルディン・イスマイル(10歳)は、貧民街で見出され同作品に採用された。映画の評判が高まる中で、子供たちの貧困生活は続き、不当な扱いを受けていると批判の声が高まった。映画の世界的大ヒットを受けて、ついにムンバイの住宅協会が子供たちの家族に住居を無償で提供することを決めた。

2009/2/25/DAILY NEWS(TIMES紙、POST紙と並ぶニューヨークの代表的新聞)

『スラムドッグ$ミリオネア』のウェブサイト:
http://slumdog.gyao.jp/

アズルディン・イスマイル(左サリーム役)とアーユッシュ・ケーデカール(右ジャマール役)
GAGA Communications提供


(解説)

2008年度アカデミー賞、作品賞、監督賞など8部門を受賞し、4月に日本公開を控えた映画『スラムドッグ$ミリオネア』にますます注目が高まっている。

貧民街に育った少年ジャマールが「クイズ$ミリオネア」を勝ち抜いて、幼なじみの少女との再会に賭けるという一風変わった設定のこの作品。ジャマールの生い立ちを通じて描かれるムンバイの貧困生活、一人の女性を思い続けるロマンス、クイズ・ショーの緊張感、優れた音楽と編集など見所満載で、アメリカで昨年11月公開以来、徐々に口コミでの評価が高まった。

その映画の中でジャマールの兄サリムの少年時代を演じたアジャルディン君とヒロイン、ラティカの少女時代を演じたルビナちゃんは本当に貧民街出身だった。それぞれ防水シートのテントや1部屋だけの掘っ立て小屋に住んでいたという。

映画が興行収入1億ドルを超えるヒットとなっても2人が貧困生活を続けていたため、世界中から抗議が寄せられた。たまりかねたムンバイ住宅担当のお役人が「お国に栄誉をもたらした」という名目で、まっとうな住宅を無償で提供することを決めたのだ。

前出DAILY NEWSの記事によれば、住宅の資金は再選をねらう政治家の裏金から捻出されるという。インドのメディアはお役所の計らいを「子供の栄誉より政治がらみ」と批判的にとらえているようだ。

なにはともあれ、貧しい子供が映画の成功によって報われるのはめでたい。プロデューサーのダニー・コルソンによれば、出演した子供たちには英国の制作会社で働くシニアスタッフと同等の報酬が支払われているという。また、2人が18歳になった際には10万ポンド(約1300万円)が支給されるとの噂もある。

インドを舞台にした映画がなぜこれほどアメリカでヒットしたのか? それは貧民街から這い上がる少年の姿が、アンダードッグ(弱者)びいきリベラル派の心をがっちり捉えたからだろう。このたび貧しい子供たちが実際に映画の成功とともに豊かになるというサクセス・ストーリーも加わって、ますますハリウッド好みの作品となったわけだ。

『スラムドッグ$ミリオネア』のスピリットは、名作『ロッキー』に通じるものがある。1976年アカデミー賞作品賞を受賞した『ロッキー』は、しがないボクサーが夢を掴むお話。当時役者としてくすぶっていた脚本・主演のシルベスタ・スタローン自身をもスターダムにのし上げた。

ちなみにこの作品、純愛、裏切り、幼なじみとの壮大なロマンスという、一連の韓流ドラマにも共通するテイストを持っている。主人公ジャマールの一途な姿は、案外日本の主婦層にもアピールしそうだ。日本での大ヒットは間違いない!


【編集部ピックアップ関連情報】

○Chattering Class Diaries 2009/02/28
「Slumdog Millionaire( スラムドッグ$ミリオネア)」 
 貧困の発生にはそれなりに構造的な要因があり、経済成長すれば自然と
 貧しい人々がいなくなるというほど単純な問題ではない。
 構造的な要因とは、貧困が社会構造の中に組み込まれていて、貧しい
 人々のほとんどがいつまでも「人手によるゴミの分別」といった
 低付加価値の仕事から、より付加価値の高い仕事に脱却できない
 状況のことである。どうしてスラムでもう少し付加価値の高い仕事を
 して生活水準を向上することができないのだろう?
http://mumbaikar.asablo.jp/blog/2009/02/28/4144280


○シネマトゥデイ 2009/02/06
 貧乏な人々を観賞する?『スラムドッグ$ミリオネア』人気で
 スラム街ツアーが繁盛
 斜面をびっしりと覆い尽くすように建てられた貧しい小屋の群れ、
 真っ黒に汚れてドロドロの河、フタもされていない下水道や、
 暗い路地裏、『スラムドッグ$ミリオネア』で主人公のジャミール
 たちが駆け抜けたような場所ばかり。そして極めつけは、映画にも
 出てきた公衆便所だ。あれは冗談でなく、実際にあるのだ。空き地
 に6つだけ並んだ簡易公衆便所は、何と約1万6,000人の人々が利用
 しており、そばに居なくても臭ってきそうな雰囲気がある。
http://cinematoday.jp/page/N0016843

 

 


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