青空会議？ これからの環境トレンドは、「グリーン・カンファレンス」
- デンマーク在住ジャーナリスト
デンマークの総人口の約３％にあたると言われる、「流行仕掛人」たち。今、彼らが注目していることのひとつが、今後の企業や組織における会議のあり方だという。彼らは、私生活をグリーンで持続可能にするだけではもはや満足できず、そのスタイルを仕事場にも、社会生活にも持ち込まずにはいられないところまで来ている。そういう結果が、デンマークのトレンドリサーチ会社FIrst Moveの最新調査で明らかになった。以下に、その結果の一部を紹介したい。
屋外で、青空の下で、CO2ニュートラルな会議。これからはそういう時代になっていくと、３％の流行仕掛人が断言する。グリーン会議、グリーン・カンファレンスといっても、これまでのように、オーガニックでフェアトレードのコーヒーや、オーガニックな昼食を提供するといったことでは、もはや不十分。これからは、会議を主催し、コースや研修などを企画提供する企業も、一般の企業と同様に環境に対する責任を負うことが必要になってくる。
つまり、資料からリフレッシュメントから節電に至るまで、会議全般の運営すべてをグリーンにすることに気を配らなければならないのだ。それは同時に、会議自体を短くすることをも意味する。なぜなら、そうすることで直接、電気代も、冷暖房代も、人件費も同時に節約することにつながるからである。
青空の下での会議や研修の試みは、すでにデンマークの企業でも始まっているが、環境を破壊せず、移動のためのCO2排出量を抑えるためには、むやみに会議や研修をせず、本当に必要なものだけを厳選する方向へも進むだろうと考えられている。そして、会議や研修を行う場合も、資料や食事は、本当に必要な分だけ手配することも重要である。
これまで、私が何回か出席した大きなカンファレンスなどでは、乾燥した室内で参加者は皆、のどがとても乾くせいか、フルーツ類ばかりがやけに人気で、ちょっとパサつき気味のサンドイッチが山のように残っている光景をよく目にし、なんとも複雑な気分になったものだ。しかし最近では、こうした、たとえば３日間のカンファレンスに参加の申し込みをすると、「昼食は３日間とも全て食べますか？ 持参されますか？ それとも、必要ないですか？」と聞かれることが多くなってきた。また、ペットボトルの飲み物もあまり見かけなくなり、水はレモン水などがピッチャーで、その他の清涼飲料類は瓶入りが置かれることも多くなっている。資料も山のように積み上げたりせず、必要な人には、事前もしくは事後にメールで送ってくれることも多い。
「グリーン会議」トレンド予想をまとめると、１）会議や研修主催者、参加者による、CO2報告書の作成。２）研修やコースの主催企業に関する、「グリーン認証制度」の適用。 ３）自然の中での、会議や研修の開催。 ４）喫煙休憩のかわりに、ジョギング休憩の設置。 ５）バーチャル・コースや、ポッドキャストによる研修の実施。 ６）オーガニック、もしくはバイオダイナミックな食事の提供。 ７）必要資材や資料のリサイクル。となっている。
中でも、２）の「グリーン認証制度」については、デンマーク国内でも関心が高い。旅行関連企業（ホテル、ユースホステル、カンファレンス・センター、レストランなど）の環境に配慮した運営に対する国際的認証機関であるザ・グリーン・キー／The Green Keyには、グリーンな経営を目指す企業からの問い合わせが相次ぎ、昨年はそれまでの２０％増しの申請があったそうだ。現在、デンマークでこのザ・グリーン・キーから認証された施設や企業は９３カ所にもおよび、この機関に名を連ねている１３カ国のうち、フランス、オランダに続き３番目に多い。（ちなみに、日本もメンバーですが、まだ１つの認証もないようです・・・どうなっているのでしょうか？）
また、デンマークでは年末に開催されるCOP１５（国連気候変動枠組み第15回締約国会議）と併せ、環境局、ザ・グリーン・キー、環境認証事務局が合同で、「グリーン・カンファレンス」というホームページをオープン。ここを通して、国内全土の環境認証を受けた研修および会議施設が探せるようになっている。
こうした「グリーン・カンファレンス」というトレンドの波は、環境へ配慮した会議運営、研修運営をすることが、それを提供する側にとっても、また享受する側にとっても経営上の節約になるということに、多くの人が気づき始めているということか。
それにしても、喫煙休憩の代わりに、ジョギング休憩とは！ なんて大胆な発想だろう。ということは、会議や研修へ参加する人のファッションやスタイルも、スーツにネクタイではなく（そういう服装の人は、デンマークでは相対的に少ないけれど）休憩時のジョギングが可能なものになる、ということだろうか。私個人としては、ヨガ休憩くらいにしておきたいが、やはり走った方が、頭がよりすっきりするのだろうか？ なんとしてもとにかく一度、青空会議などのグリーン・カンファレンスを体験してみたいものだ。
http://www.firstmove.dk/
http://www.green-key.org/
http://www.groennekonferencer.dk/index.htm
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