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クチコミでリピーターを増やす格安移動式おむつショップ

ドイツでもベビー用製品の競争率は高い。問われるのは製品の良さだけではなく、節約の大好きなドイツ人にとって重要なのはコストパフォーマンスだ。子供のいる家庭の方ならご存知のように、新生児に必要なコストは、なんといっても洋服とオムツ代。洋服やおもちゃはお祝いとしてもらえる機会が多いだけに、最初の1─2か月分は何とか揃うものだが、必要なのに意外と誰もプレゼントしてくれないのがオムツである。確かにプレゼントにしてはあまりに実用的過ぎて見栄えがしないのは事実だが、実際オムツの商品券でももらえれば若い夫婦は心から感謝するに違いない。

さて、ドイツのオムツのメーカーで幅を利かせているのは、1973年にアメリカから市場進出しているパンパース。値段もトップクラスでありながら、それに応じた品質の良さと、名前が知られていることから販売量の多さは圧倒的だ。ドイツ消費者センター団体のテスト「StiWa」でも最高の結果を得ている。どこの親も、こうしたメインストリートを行く商品を子供のために買ってあげたいところだが、あまり変わらない使い心地なら少しでも安いものを購入しようと、「StiWa」の結果発表を見ながらあらゆる製品を試す人が多い。大手パンパースの製品と肩を並べるものには、ディスカウントスーパーマーケットのプライベートブランドが多く、試してみた消費者の感想は、口コミやコスト比較サイトの書き込みとして多くの人の耳に入っていく。

さらには口コミだけで販売者をゲットしているオムツ出張サービスがある。ドイツ全国200箇所で、一月に一度トラックにオムツを積んでやってくるこの「移動式オムツショップ(mobilerwindelshop)」は、街中の駐車場で販売を行っている。一年間の販売場所と時間表をネットでダウンロード、或いは直接業者に電話を入れて最寄りの販売場所を教えてもらうこともできる。

そこで気になるお値段だが、オムツ一枚毎の値段はパンパースの半分。決められた時間と場所に向かわなくてはならない手間はかかるが、これほどの安さなら出かける意味もあるというものだ。ちなみに販売されているオムツはメーカー品のB級もの、つまり見かけの出来が製品として販売に適さないとされたものであり、質になんらの問題はない。或いはスペインのディスカウントショップ用に生産されたオムツが店頭に並ぶこともあるようで、バリエーションも豊富だ。

ドイツでは毎日600万のオムツが消費されており、そのうち95%が使い捨てオムツを使用しているのだから、オムツ業界はかなり大きな市場と言える。店も構えずに、確実にリピーターをゲットしているこのオムツショップは、まさにアイデアビジネスだ。

 

 


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