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Facebook上で百カ国以上のアニメーターが競演! ハリウッド進出の足掛かりになるか

先日とあるホームパーティーで、ホストの友人の元ソニー・ピクチャーズ・デジタル社長、ヤイール・ランドー氏がアニメーターを集めて新しい映画作りをしていると耳にした。その直後、4月18日からラスベガスで行なわれたNAB Show 2009で、ランドー氏は、アニメーターたちがソーシャルネットワーク・スペースでチームを結成し、ショートフィルム「Live Music」を製作している現状について基調講演を行なったそうだ。一体どういう形で何が行なわれているか、俄然興味をもった。

「Mass Animation」という会社は、あのFacebookを通じて、クリエーターたちを集めて、「Live Music」というタイトルのショートフィルム(ビデオ)を作成しているという。早速このフィルム製作に関する情報収集をしてみたが、とにかくあらゆる情報がFacebookを通じて発信されている。

Mass Animationの位置づけは、「バーチャルスタジオ」。仕組みはこうだ。同社は、アニメーターたちに、Facebookを通じて3Dアニメーションを製作するためのAutodesk Mayaというソフトウエアを提供。さらに、ストーリーや背景、キャラクター、音についても同社から提供され、それに合わせてアニメーションを作成。コンテスト形式で、昨年11月から今年の1月にかけて、毎週アニメーションのワンシーンが人気投票により決定づけられてきた。

5万人以上のクリエーター(プロ、アマ問わず)が、101の国から参加している。最終的には51のシーン、つまり51人のクリエーターが選ばれる。なおクリエーターは、1シーンに対して$500を獲得できる。またスポンサーであるインテルとデルは、優秀なクリエーターに対して、アニメーション作りに欠かせない最新型のコンピューターの贈呈も予定している。

具体的にプロセスを説明すると、Facebook上にある、Mass Animation「Boxes」のMass Animation Videoからサイトに入ることで、現在登録している5万7千人以上のファンたちは、これまでアップロードされてきたビデオを鑑賞したり、それに対してのコメントや投票を行なえる。一方同社のLive Musicプロジェクトの質を保つためにも、アニメーション映画の製作に関わってきた9人のプロたちが、審判員(Jury)として参加している。彼等による投票結果はJury's Choiceとして選ばれる。Facebookを通じて、地方都市や小さな国でもんもんとアニメーション作りをコンピューターで行なってきた誰もが、ハリウッド映画の製作に一歩近づける可能性があるのだ。

細かい進展状況については、逐一Facebookに書き込みされ、時には製作シーンのビデオがアップロードされることもある。現在最終の音楽入力段階とのこと。インテルのマーケティングチームのジョン・クーニー氏曰く「世界中の何千という芸術家たちとのコラボレーションにより完成する、まさにこのプロジェクトは魔法のようだ。」

これまでYouTubeやMySpaceなどを通じて、「無名」のクリエーターの作品が多数生まれては消えていった。彼等の能力を開花させるべく立ち上がったのが、ランドー氏ともいえる。今後は、長編映画製作にも挑んでいくようだ。全く新しい形態のビジネスモデル。完成した映画の評価次第とも言えるが、こうしたプロジェクトが多くなっていけば、アニメーターの世界におけるプロとアマの境界線は、どんどん消滅していくに違いない。

 

 


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