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「韓国ではレンタル業は成功しない」の定説覆る 「倹約」意識の高まり

韓国でも景気の低迷が長引く様相を見せている中、これまでは「ヒットしない」と思われていたビジネスが、急成長を遂げたり、注目を集めている。「レンタル業」や「格安」、「リモデル」といった分野。そして、それらの業種は各々異なるものの、共通しているのが「不況」と「倹約」というキーワードを背景に消費者の心理をつかんでいる点だ。
 
まず「レンタル業」で特に最近、人気なのが「スーツレンタル」。2から3月の卒業、入学シーズン、そして就職活動や結婚シーズンと春から夏にかけては韓国ではスーツの登場が何かと多くなる時期。スーツと言えばデパートで新調した場合、一般的に30から40万ウォン(約23,000から30,000円)、ブランド品に至っては100万ウォン(約78,000円)かかると言われている。

失業者の増加や賃金カット、学費の値上げと家計が厳しくなりつつある中で、このような出費は痛いところ。それを「スーツレンタル」店舗でスーツをレンタルした場合、男性用では3泊4日のレンタルプランで5万ウォン台(約4,000円)から、女性用で4から8万ウォン台(約3,000から6,200円)という。スーツを着る機会が限られている学生などの若い世代からの支持が特に高く、レンタルスーツ業者の中には大学と提携してパックプランなどを提供している業者も出ている。
 
元々、「洋服や生活用品を借りたり、中古で買うなんて……」とレンタルやリサイクルを敬遠する傾向があった。多種多様なレンタルがビジネスとして成り立っている日本とは対照的で、「韓国ではレンタル業は成功しない。」という見方が根強かったのだ。それが、この10年の間の2度に渡る不況と、特に20から30代の若い世代が就職難や失業率の上昇という先の見えない苦しい状況に直面していることが、生活に対する「倹約」や「質素」を心がける意識の高まりが遅れながらも韓国に「レンタル業」の好調をもたらしているのかも知れない。
 
続いて、レンタル業と並んで韓国でやはり好調に実績を伸ばしているのが低価格で生活用品の店舗販売を手がける「1000ウォンショップ」。日本で言うところの「100円ショップ」であるが、韓国では昨年末から今年にかけて軒並み1000ウォンショップの開業が目立っている。現在、韓国内で1000ウォンショップを展開しているのは「ダイソー」、「エコマート」、「オンリーワン」の3社であるが、「ダイソー」の快進撃は目を見張るものがある。昨年までにダイソーは490店舗、エコマート90店舗、オンリーワン50店舗ということからもダイソーの一人勝ちであることがわかる。
 
「ダイソー」と言えば日本でも広く知られる100円ショップの先駆者的存在だが、2001年に韓国の「亜成(アソン)産業」と合弁会社を設立、以後、「韓国ダイソー」として韓国での店舗展開をスタートさせた。当初、ソウル首都圏にとどまっていた店舗は徐々に地方へと拡大していった。先述の「レンタル業」と同様、「生活用品や化粧品、インテリアが全て低価格で……」という触れ込みに「安物=クオリティが低い」というイメージがあった。そのイメージを覆したのが、「品質」や「価格」にうるさい主婦層や学生層を中心とした女性客に支持されたことであった。実際に商品を購入、使用することによって、「期待以上の満足度」が得られたという声も多い。

また、店舗のレイアウトや品揃え、新商品の開発、店員の接客に至るまで日本の方式を導入していることも、消費者に斬新な印象を与え、「ただの安売りの店」としてではなく「低価格で様々な買い物が楽しめる店」という支持を集め人気定着につながったと言える。
 
不況によって、これまでのイメージを覆した「レンタル業」と「1000ウォンショップ」。好調の中でも、いかに業績と支持を維持していくかが今後の課題であり、韓国でどのように進化していくかが楽しみでもある。

 

 


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