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サービス設計にリアルタイム性を強めつつあるWebサービス

雑誌TIMEの表紙(http://www.time.com/time/covers/0,16641,20090615,00.html)をiPhoneで行うtwitterが飾ったようにtwitterは今を映し出す鏡として捉えられています。
twitter の武器は速報性と実況性です。twitterというサービスは絞りに絞って設計されています。またiPhoneを始めとして、数多くのクライアントソフトが開発されており、自分のtwitterの使い方に合ったクライアントソフトを探すことはそれほど難しいことではないでしょう。

最近twitterでは「Tsudaる」という言葉が流行しています。これはジャーナリストの津田大介さん、シンポジウムの様子をtwitterで実況中継したことから、twitterで実況中継することそのものを「Tsudaる」と呼ぶようになったものです。

140文字という投稿に制限のあるtwitterで実況中継をし続ける津田さんの力量もすごいものがありますが、なによりもその実況をオンタイムで数多くの人が見ているという状況がまさに今のネットなのだと言えるでしょう。

またtumblrというクリッピングサービスがあります。このサービスは当初はただのクリッピングサービスでしたが、ユーザー間のコンテンツをFollow するようになったことで、一気にリアルタイム性を持ちました。twitterが現実を実況しているとするのであれば、tumblrはネットそのものを実況しているといってもいいでしょう。

リアルタイム性がWebサービスのトレンドであることは、このtwitterやtumblrのようなサービスだけではなく、これまでのサービスにリアルタイム性を加速するような機能が追加されていることでもわかります。

例えば、Facebookではかなり以前から画面の右下に、ある機能表示がされています。
これは今Facebookでオンラインである人とチャットができる機能です。私自身はこの機能を数えるほどしか使ったことがありませんが、連絡を取りたい人をこの画面で見つけたときには思わず使ってしまいました。

そして、最近ではついにYouTubeまでリアルタイム機能を実装し始めました。
これは今、友達が見ている動画が分かる機能です。

さて、リアルタイム性が強まっているとはいってもわざわざリアルタイムで共有しなくてもいいというのが、そもそもネットの利点であったことは余り異論のないところなのではないかと思います。

なんでもかんでもリアルタイム性が重視された日には、ユーザーの時間はいくらあっても足りません。リアルタイム性と非リアルタイム性をうまくミックスして、あとから参加した人にとってもリアルタイム性のあるように見えるような設計が今後求められているのではないかと思います。

そして、その同期性と非同期性を、うまくミックスして最も成功しているWebサービスと言えば、ニコニコ動画に他ならないでしょう。

 

【編集部ピックアップ関連情報】

○CNET  2009/04/23
 「YouTube RealTime」--オンラインビデオがよりソーシャルに?
 YouTubeはRealTimeによって、YouTubeエクスペリエンスの2つの側面を
 1つのものに統合し、テレビの前のソファのバーチャル版に近いものを
 作り上げようとしているのである。
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20392199,00.htm

○WIRED VISION  2007/12/28
 第24-3回【同期性考察編(7)】現代のメディア環境は、同期と非同期の「二層構造」
 である
 現代のメディア環境は、インターネットという巨大な非同期型アーキテクチャ
 (=「通信層」)の上に、それよりも小規模な同期型アーキテクチャ
 (=「アプリケーション層」)がいくつも形成されている/いくような、
 「二層的」な状態として捉えることができるのではないか。
http://wiredvision.jp/blog/hamano/200712/200712281000.html


○WIRED VISION  2007/05/31
 第2回「Twitter」と「ニコニコ動画」の共通点(1):Twitter編
 《Twitterとは、基本的には「非同期的」になされているコミュニケーションを、
 選択的に「同期的」なコミュニケーションへと変換するツールである》
 ここで「選択的」という概念は、「強制的」の対概念として用いています。
 これはIMやチャットが、「強制的」に同期的なコミュニケーションの維持
 (=沈黙を避け、相槌を打つこと)を要求するのに対し、Twitterは、
 ユーザー個々人の自発的な「選択」において、同期的なコミュニケーションを
 成立させていく、という対比的構図を踏まえたものです。
http://wiredvision.jp/blog/hamano/200705/200705310842.html

 

 


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