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宝くじの賞金1億5千万!心の準備が・・と請求するのに半年待った男性

<記事要約>

ミリオネアになることを理解する時間を持つためとして、ニューキャッスルに住む48歳の小企業経営者がロト(数字選択式宝くじ)に当たった後、6ヵ月待ってから賞金200万豪ドル(8月31日現在のレートで約1億5,600万円、以下同)を請求した。

あぜんとしたNSWロタリーズの職員に、男性は「当せんチケットは、安全な場所に置いた缶の中に入れてあったから、急ぐ必要はなかったんだ。実のところ、もう何ヵ月かそのままにしておこうかとも思ったよ。そんなにたくさんのお金をこの手にする前に、心の準備がしたかっただけだよ。これからも働き続けるし、子どもたちだって、生活のために働くようになる。ロトに当たった後、出歩いて、スポーツカーを買ったりといった馬鹿げたこともできるけど、そういうのは自分に合わないと思う」と話した。

彼は、海外旅行に行ったり、チャリティーに寄付することを計画している。

2009/8/21 The Daily Telegraphより


<解説>

オーストラリアの宝くじは州が管轄しているため、発行元やゲームの種類も各州で異なる。シドニーがあるニュー・サウス・ウェールズ州では、民営化の話が取り沙汰されているものの、今のところは法人化された州政府所有の会社「NSWロタリーズ」が、7種類の宝くじを通年発行している。抽選回数が多く、賞金額が高いのが特徴で、一番人気の高い「ロト」は週3回抽選が行われ、最大25週間分まとめて購入することができる。今回の当せん者の場合は、12豪ドル(約940円)で買った1回分14ゲームの一つが大当たりだった。

2008年度の州営宝くじの売上は12億豪ドル超(約940億円)で、支払われた賞金は総額7億5,442万豪ドル(約589億円)。単純に州の人口で割れば、赤ちゃんからお年寄りまで、年間1人当たり172豪ドル(約1万3,400円)を費やし、108豪ドル(約8,400円)の賞金を得ている計算になる。販売額の60%が賞金に充当されるのは、世界的にみても高い割合らしい。

売上額の約3割が州政府に入る宝くじは、重要な財源にもなっている。そもそも州営宝くじは、1930年代の大恐慌で窮地に陥った州立病院を救済するために発行されたのが最初。予算オーバーで頓挫しそうになったシドニー・オペラ・ハウス建設を完成にこぎつけることができたのも、宝くじのおかげだったというのは有名な話だ。

わずかなお金で夢を見られるし、収益金は地域のために使われるのだから……と、定期的に購入している人も少なくなく、賞金が大きい時は注目度が高まって購入者が増える。つい最近、「オズ・ロト」の一等賞金が過去最高の1億600万豪ドル(約82億6,000万円)に達したことがあり、その時は国民の約半数が購入したと言われている。

NSWロタリーには会員制度があり、賞金が少額で一定期間内に請求されなければ、自動的に小切手が郵送され、高額の場合は電話で通知される。職員が電話すると、「Is this a joke?(冗談でしょ?)」というのが、もっとも多いリアクションなのだそう。今回の男性は会員ではなく、抽選の翌日にインターネットで番号をチェックして当たっていることを知ったものの、そのチケットをビスケットの缶に入れて、何食わぬ顔で(!)今までと変わりなく暮らし、4人の子どもたちにはお金が入ってくるとは話したものの、金額は言わなかったという。

子どもが何人もいて、小さくとも会社を経営していれば、誰だって宝くじが当たったと分かった時点ですぐに換金するはず……という前提で、メディアは彼のことを「クレイジー・マン」と揶揄した。金利が低くなったとはいえ、リスクのない口座でも数%の利息が付く国なのだ。仮に3.5%だとしても、ビスケット缶で眠っていた間に、3万5,000豪ドル(約270万円)以上増えていた計算になる。

「せっかくロトが当たったのに、まったく退屈なヤツだぜ」という意見や、「当面使う予定がなくても、銀行に入れておくのが安全で賢明だよね」という意見が一般的ではあるものの、お金より自分らしい生き方を尊重する姿勢を評価する声も意外とある。突然思いがけない富を得たことで、自分や家族がどんな影響を受けるのだろうか、と懸念する気持ちは分かるような気がする。 

ある日宝くじが当たってミリオネアになったら、あなたはどうしますか?

 

 


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