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時速165キロの快速球を投げる大学生怪物投手

 甲子園を沸かせ、今年のドラフトの目玉といわれる花巻東高校・菊池雄星投手の進路が日本では注目されているが、米国では10年に1人の逸材といわれる怪物投手が史上最高の契約金でプロ入りを決め、大きな関心を集めている。時速165キロの快速球を投げるステファン・ストラスバーグだ。

 カリフォルニア州立サンディエゴ大学からワシントン・ナショナルズにドラフト1順目の1位で指名されたストラスバーグ投手(21)は、身長193センチ、体重100キロの本格右腕。オーバーハンドスローから投げ下ろす速球は常時時速152キロから155キロを記録し、最速で103マイル(164.8キロ)に達する。

 150キロを超えるストレートを投げる投手が多いメジャーリーグでも100マイル(時速160キロ)以上を出せる人は限られている。メジャー最速記録は104マイル(166.4キロ)を出したA・Jバーネットといわれており、ストラスバーグはアマチュアながら、すでにこれに迫る球速をたたき出していることになる。

 ストレートを軸にスライダー、チェンジアップ、シンカーを投げ分けるピッチングはアマチュアレベルでは群を抜いている。今年の大学リーグでの成績は13勝1敗、防御率1.32。特筆すべきはやはり奪三振の多さで、109イニングを投げて奪った三振は195個。1試合(9イニング)あたりの平均奪三振数は16個と、プロ予備軍がしのぎを削る全米大学体育協会(NCAA)のディビジョン1リーグの中でもずば抜けて高い。

 圧巻は昨年4月のユタ大学との試合で9イニングを投げ、23個の三振を奪ったことだ。メジャーリーグの1試合最多奪三振記録は、ロジャー・クレメンスやランディ・ジョンソンらが記録した20個。プロと大学野球の違いを差し引いたとしても、ストラスバーグがいかに高いレベルの投球をしているかがわかる。北京オリンピックでは米国チームに選ばれ、オランダ戦とキューバ戦に登板。防御率1.67の成績を残して銅メダル獲得の原動力となった。

 そんな怪物をドラフト会議で指名したのはワシントン・ナショナルズ。駒澤大学付属苫小牧高校出身の鷲谷修也選手が同じ今年のドラフトで指名され入団したことは日本でも話題になったが、チーム事情は決して良いとはいえない。

 カナダに本拠地を置くモントリオール・エクスポズが前身のナショナルズは、2005年に米国の首都ワシントンに移転してチーム名を変えてからは、最下位が3回と低迷。おまけに今年3月には、不祥事からGMが辞任するゴタゴタもあった。

 最下位のナショナルズがストラスバーグを指名できたのは、前年の順位下位から指名を行う完全ウエーバー制が導入されているからだ。メジャーリーグではリーグ全体の戦力均衡を図るために希望入団枠制度はなく、単純に弱いチームが一番良い選手を獲得する権利を持つ。

 実績を残して年俸を上げながらチームを渡り歩くのが当たり前のメジャーの選手たちは、自分がプレーできる機会の多いチームほど歓迎する。指名順位が低いために入団拒否をすることはあっても、全体の1位指名を受けた選手が断ることはまず起きない。

 本人も「登板する機会をくれるチームならどこでもいい」といっていたこともあり、チームが決まった後は契約金の額に興味の対象が移った。やり手の代理人スコット・ボラス氏がアドバイザーを務めたことも影響し、相当の高額になるのではないかと予想された。

 ナショナルズが提示したのは4年契約で1530万ドル。この金額は2001年にシカゴ・カブスが1位指名したマーク・プライアー投手の1050万ドルを上回る史上最高額となり、期待の大きさをまざまざと見せ付けた格好となった。

 今後の注目は、ストラスバーグ投手がいつメジャーのマウンドを踏むか。通常はマイナーリーグで経験を積んでからとなるが、選手層が薄いナショナルズということもあり、いきなりメジャーデビューする可能性もあるといわれている。

 21歳の怪物投手の今後に期待は膨らむ一方だが、安定した成績を残せない選手に甘くないのもメジャーリーグの世界。プライアー投手は入団2年目に18勝を挙げてロジャー・クレメンス2世と呼ばれた。しかし、酷使から故障が相次ぎ、2007年にはカブスから放出。再起をかけ、現在はサンディエゴ・パドレスのマイナーチームでプレーしている。

 


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