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日本版「サイドウェイズ」に期待を寄せるナパバレー(ワイン産地)の人々

2004年にヒットしたアメリカ映画「サイドウェイ」の日本版「サイドウェイズ」が10月31日に日本全国で公開される。

アメリカ版が日本人になじみの薄いロサンゼルス近郊のワイナリーを描いた一方で、日本版は、カリフォルニアワインの産地として世界的に知られるナパバレーを舞台にしている。現地では、日本版公開に伴う日本人観光客の増加、ワインの売り上げアップといった経済効果が期待されている。

アメリカ版「サイドウェイ」の公式サイト:
http://movies.foxjapan.com/sideways/

日本版「サイドウェイズ」の公式サイト:
http://www.sideways-movie.jp


(C)2009 Twentieth Century Fox and Fuji Television

ナパバレーは、サンフランシスコの北東約80キロ、サンフランシスコ国際空港から車で1時間少々で行ける位置にある。約400のワイナリーがあり、宿泊施設も150以上(約3500室)と充実している。年間470万人の観光客が訪れ、カリフォルニアではディズニーランドについで2番目に人気の高い観光地である。(日本版「サイドウェイズ」にちなんだ日本人対象のツアー企画も進行中である。)

ナパバレー観光局の公式サイト:
http://www.legendarynapavalley.com/

ナパバレー産のワインは、1976年パリにおけるブラインド・テイスティングで、赤ワイン、白ワインともフランス産ワインを抑えて1位に格付けされて以来、世界的に高い評価を得ている。ナパバレーはフランスのボルドーやブルゴーニュに比べて気候が安定しているため、年度別ヴィンテージワインのあたりはずれが少ないことでも定評がある。

ワインの輸出に関して、Napa Valley Vintners(ナパバレーワイン業者協会)のTerry Hall氏によれば、日本は、英国についで2番目のお得意さんであるという。現状、輸出全体の3から4%を占める日本のシェアが、日本版「サイドウェイズ」の公開によって「さらに拡大される」とHall氏は予測している。

Napa Valley Vintnersの日本語ウェブサイト:
http://www.napawine.jp

日本版「サイドウェイズ」は、アメリカ版を制作した20世紀フォックス映画とフジテレビが共同で制作した作品だ。オール海外ロケ&海外スタッフ(監督:チェリン・グラック)。主演は、小日向文世、生瀬勝久、鈴木京香、および映画「バベル(2006)」でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた菊池凛子がキャスティングされている。

9月27日には、現地ナパのNapa Valley Expoにて日本版「サイドウェイズ」のワールドプレミア上映会が開催される。特別ゲストとして、アメリカで最も知名度の高い菊池凛子が参加する。チケットは25ドルとやや高額ながら問い合わせも多く、500席の会場が当日までに満席になると主催者は見込んでいる。同上映会は、2005年から開催されている「ナパ・ソノマ・ワインカントリー・フィルム・フェスティバル」の最終日を飾る目玉イベントである。

日本では、ワインと言えばフランスというイメージが強いが、フランス産ワインの輸入シェアは年々下がっている。JETRO(日本貿易振興機構)のデータによれば、2008年の「その他のぶどう酒」の輸入金額シェアは、1位:米国(31.4%)、2位:チリ(18.2%)、3位:フランス(17.1%)と、米国産ワインのシェアが圧倒的に高いことがわかる。

米国が輸出するワインの95%はカリフォルニア産(データ:www.wineinstitute.org)。すなわち、日本に出回っている米国産ワインのほとんどはカリフォルニアワインなのだ。背景が整ったところで、日本版「サイドウェイズ」が、どれほどカリフォルニアワインの売り上げアップに貢献するか?カリフォルニアワインの聖地ナパバレーの観光を促進するか? 結果が楽しみである。


【編集部ピックアップ関連情報】

○恵比寿時々中目黒ところにより港区/吉田 ゆり
 10月全国公開の映画「サイドウェイズ」 2009/08/31
 日本版の舞台はサンタバーバラではなくナパ・バレー、
 この二人がテイスティングしているのはナパのワイナリー
 「DARIOUSH(ダリオッシュ)」。
 今年3月にここを訪問してきたのでちょっとレポートします。
http://blog.goo.ne.jp/g2437701/e/c92fe54eceafd1df22ad3f15b01603c6


○Days of Books, Films & Jazz
 『サイドウェイ』と70年代映画の記憶 2005/04/19
 アレクサンダー・ペイン監督はこの映画をつくるに当たって撮影の
 フェドン・パパマイケルにハル・アシュビーの作品を見せた、
 という記事を読んで、『サイドウェイ』の何ともぬるい感じの
 心地よいテイストがどこから来ているのか、その一部が分かった
 ように思った。
http://editorsnote.cocolog-nifty.com/days_of_books_films_jazz/2005/04/70_d34f.html

 

 


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