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ニューヨーク・タクシーのデジタルサイネージ

突然ですが、実は100年を超える歴史を持っているのが、通称イエローキャブと呼ばれるニューヨークのタクシーです。先日、一週間ほどニューヨークに滞在していて、このニューヨーク・タクシーを利用していて発見がありました。

それはJFK空港からマンハッタンに向かうのに乗ったタクシーでいきなり目に飛び込んできました。あれ? なんかずっと情報が出ているぞ。


 

 


このタクシーの助手席の後ろに備え付けられた液晶画面をよく見ていると、右には広告、左にはマップが表示されています。広告はどんどん入れ替わっていくし(しかもナショナルクライアントクラスの広告主が多い)、マップはずっと現在地を示し続けています。


さらに、ホントにすごいなあと感心するのが、2つのオプション。


●音声をオフにできる
●広告とマップ表示など全部をオフにできる
●もっと情報が欲しければ「ZAGAT」「Taxi Info」などいろいろな情報を入手することができる


つまり、広告主と広告を見る人の関係をタクシーという場のことを考えて、ユーザー側にコントロールを預けているわけです。


このタクシー広告は技術としては、最近では耳にすることも多くなってきた「デジタルサイネージ」で実現されています。


日本ではまだまだこれからと言われているデジタルサイネージですが、ニューヨークではタクシーに限らず、街中や店舗で数多く見かけました。東京との比較で言うと、ざっくり10倍程度の量はあったと思います。


さて、このニューヨーク・タクシーでのデジタルサイネージの話、まだ終わりません。この初日以降も何度かタクシーのお世話にはなったのですが、なんとそのタクシーすべてに同じ画面が装備されていました。車が新しいとか古いとか、そういうのは一切関係ありません。きっとすべてのタクシーに装備されているんだと思います。


そして、余り知られていないのですが(というか私も知らなかったんですが)、ニューヨークのタクシーは民間じゃありません。ニューヨーク市の運営です、公営なんですね。



実際には、ニューヨーク市の管轄「New York City Taxi & Limousine Commission」というところにニューヨークのタクシーは所属しており、ニューヨーク市に監視されているわけです。最近では、2012年までにすべてのタクシー「イエローキャブ」をハイブリッド車にすると発表(リンク:http://www.hinomaru-limo.com/info.html)したりと、ちょっと日本でのタクシーの感覚とは違うものがあります。


ただ、タクシーが公営でこういう運営をされているからこそ、全部のタクシーに「デジタルサイネージ」を導入したりすることもできるわけです。民営がすべていいわけではないということと、デジタルサイネージへの対応に町づくりとしてのニューヨーク市の思想が反映されていると考えてもおかしくはないでしょう。


日米の感覚の違いを示すいいサンプルになっているのではないかと思い、紹介しました。歴史とその性質の違いから、ある業種の運営を民営にするか、公営にするかをアメリカの方がうまくジャッジされているのかもしれないと思った次第です。

 


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