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ドイツの豚インフル予防ワクチン仕入れに特別枠。副作用危険度が異なると論争

今回の予防接種ワクチンの入荷は、ドイツ連邦史上においてもっとも大掛かりなものであったらしい。

計5千万本の予防接種ワクチン「Pandemrix」が、薬品コンツェルンGlaxoSmithKline社から発送され、全連邦州に運搬される。そして今週月曜日から任意キーパーソンへのワクチン接種が開始されるわけだ。また感染ハイリスク者は11月2日よりワクチンを受けることができ、11月中旬からその他の国民も任意で受けることができる。

これら感染ハイリスク者には子供が含まれている。予防接種として子供たちが豚インフルエンザから守られるのは重要なことであるが、同社の製品にはワクチンの効果を強化するものが添加されており、それらが健康障害などの副作用を起こす危険性があるのではないかと心配する声も聞こえる。

これに対しドイツ連邦は、国に奉仕をする兵士や緊急機動部隊員、連邦省などの重要機関用にワクチン「Celvapan」をBaxter社に注文していた。このワクチンには、上記のGlaxoSmithKline社が販売している一般向けの製品と異なり、強化剤が添加されておらず、心配される副作用の危険性が低いとされている。ただし、保存料などが含まれていないためコストの問題が問われている。つまり1アンプルで成人なら10人、子供なら20人の予防接種ができる同ワクチンであるが、保存期間は24時間であるため、開封したアンプルはその日のうちに使いきらなくてはならない。使い切れない場合は、廃棄されることになるのだが、こうして無駄になったワクチン代を健康保険が支払うことはできない。こうした問題まで政府は頭が回らなかったようだ。

また政府が、一般市民に出回る予定のワクチンとは違うものを特別注文していたことで論争が沸いている。両者のワクチンには違いがないということになっているが、このように対象別に仕入れることで、やはり効果や副作用の上で差異があることを実証してしまっている。

実際、妊婦や3歳以下の幼児に対するワクチンの副作用テストは行われておらず、常任予防接種委員会Stikoは、政府が注文している強化剤の含まれていないワクチンを子供や妊婦の手に渡るようにと説いており、これら強化剤を含まないワクチンが11月中旬から市場に出回る予定だ。本当にインフルエンザ予防接種のワクチンが必要なのかどうかについては、Stikoが11月中旬に報告する予定になっており、現時点では幼児への接種は待ったほうが良いとされている。10月に導入されるとささやかれていたインフルエンザワクチン、結局遅れをとった市場進出だが、いまだその必要性は明確にはなっていない模様である。

 

【編集部ピックアップ関連情報】

○WIRED VISION  2009-04-30
 「1976年の豚インフル:集団予防接種で副作用による死者多発」
 1976年10月、集団予防接種が開始された。ところが数週間もたたないうちに、
 注射の直後にギラン・バレー症候群を発症した人の報告が入り始めた。
 ギラン・バレー症候群とは、麻痺を伴う神経疾患だ。2カ月足らずで500人が
 発症し、30人以上が死亡した。
http://wiredvision.jp/news/200904/2009043022.html

 

 


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