人気レストランのシェフが腕をかけて挑むフランス版お弁当
- フランス在住ジャーナリスト
続く不況で、お財布の紐をしっかりとしめているフランス人家庭。各世帯の購買力が引き続き低下している中で、2009年6月に国立統計経済研究所(INSEE)が発表した統計によると、家計における食費の割合は12.4%とほぼ前年と同じである。
http://www.insee.fr/fr/themes/tableau.asp?reg_id=0&ref_id=NATTEF05111
小麦粉や牛乳の値段の高騰を受けて,パンやパスタの値段が約5%も上昇(前年比)したことを考慮すると、各家庭は食費を節約するように工夫しているといえる。肉を控えめにし、ミネラルウォーターから水道水に替えたりして、食費を微妙に切りつめている。同じ製品を買うにしても、遠くても安いスーパーに足を運んだりする。一方で、さすが食いしん坊の国フランス。美味しいものを食べたいという欲求は抑えきれないようだ。高くつくレストランでの外食より注目されてきているのが、人気シェフの「ピクニック・セット」。レストランと同じ料理の数々を、公園で、運河の脇で、セーヌ川のほとりで食べられる。
日本は多彩なお弁当文化がある。料亭の弁当もある。デパ地下にいけば、安くて美味しい総菜、お弁当が百花撩乱だ。花見の時、紅葉の時、日常のランチに、と活用している。反対にグルメで有名なフランスでは、有名シェフの料理のテイクアウトはそれほど発達していない。外で食べるとなると、簡単なサンドイッチやできあいの総菜が大半。レストランに行けば、一人一品は最低オーダーし、飲み物やデザートを追加すれば、お勘定の額はあっという間に上昇。お財布の中身が厳しくなったから、自炊だけ、、、というのも寂しい。そこで、人気レストランのシェフのピクニックセットは、晴れ渡る青空のもとで舌鼓をうてて、料金もお得という優れもの。
サン・マルタン運河沿いにあるラ・カンティヌ・ ド・クエンティヌla Cantine de Quentin(52, RUE BICHAT, 75010PARIS)は、ボリュームと良質の食材で人気のビストロ。3つ星レストランのギー・サボワで修行してきたシェフの料理を一人当たり約20ユーロで食べられる。アバングーL'Avant-Goût(26, rue Bobillot 75013)、シェ・ミシェルChez Michel(10, rue de Belzunce 75010)、ロス・ア・モエルL'Os à Moelle(181, rue de Lourmel 75015)といった予約のなかなか取れない超人気ビストロもピクニックセットを販売している。シェフ達は、シンプルな料理だからこそ、冷えても美味しく食べられるように、と素材のよさが問われるテイクアウトものに、ビジネスというより、料理人の腕をかけている。
いつもと違う場所で食べたいというのであれば、高級ホテルのクリヨン(http://www.crillon.com)の中庭パティオで、38ユーロのピクニックセットを食すことができる。藤のバスケットの中に入ったピクニックセットを、芝生の上でなく、貴族のように、白いテーブルクロスのかかったテーブルで食べる。料理自体はシンプルだが、素材の良さと、ただよう雰囲気の高級感は、他ではなかなか味わえない。
日常生活にメリハリ感を、というのが堅実なフランス人の不況の過ごし方のようだ。
【編集部ピックアップ関連情報】
○農と島のありんくりん
「NIPPON発bento、キュート!」 2009/08/29
日本のお弁当が海外で驚きと崇拝の的になっているそうです。
たとえばこんな風。
「bento(弁当のことですよ)に憧れる。あの箱には夢と料理が
入っている」(オランダ)、「いろんな料理がちょっと入っていて、
とってもキュート!」(アメリカ)、「bentoを日本の女の子に
作ってもらうのは最高の栄誉です。」(フランス)、てな具合。
海外の諸君、そうであろう、そうであろうとも。日本のbentoは
世界に冠たる食のエッセンス、もはやゲイジュツにの域に達していますからね
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-c4b6.html
○フランス嫁入り日記 「BENTO・弁当・ベントー」 2009/09/22
Picardという冷凍食品専門店で、こんなものを見つけました。
その名も『Bento』。パッケージを見るとどうみてもBentoです。
ベントー。べんとう。お弁当。餃子と照り焼きチキン弁当。
最近ひとりで昼食を食べることが増えたので、ここぞとばかりに
不思議な日本食や冷凍食品にチャレンジしています。
さて、中身とお味はどうでしょう。。。
http://chimeidiary.blog57.fc2.com/blog-entry-222.html
【新規プロジェクト】
<オンライン音声対談番組「ロングインタヴューズ」配信開始のお知らせ>
ビジネス分野を中心に月に2から3名の専門家や経営者、クリエイターなどの先達をゲストに迎え、経験豊富なインタビュアーが生き方、智恵、ノウハウに迫る対談を2009年10月からネット上で配信開始いたしました。放送時間は1本あたり60から90分程度です。音声コンテンツなので、忙しい方でも通勤時間や移動時間に聴くことができ、講演会、セミナーになかなか参加できないという方にとっても有力なサポートになります。ネットや雑誌、書籍などのテキスト情報とは異なるアナログで人間的な付加価値の高い体験を提供していきます。
配信先:株式会社オトバンク「FeBe」
(http://www.febe.jp/podcast/mediasabor/index.html)
収録済みの対談ラインナップは下記になります。順次配信していきます。
▼ 鈴木謙介(関西学院大学 社会学部 助教)─井上トシユキ
(一部を抜粋のテキスト記事リンク: 変貌するメガヒットのメカニズム「わたしたち消費」とは
http://mediasabor.jp/2009/10/post_707.htm
▼ 神林広恵(ライター)─永江朗
(一部を抜粋のテキスト記事リンク: スキャンダル雑誌の金字塔『噂の眞相』のつくりかた
http://mediasabor.jp/2009/10/post_708.html
▼ 小林弘人(インフォバーン 代表取締役CEO)─井上トシユキ
少数精鋭、コストダウンを余儀なくされる出版、新聞の近未来
▼ 梶原しげる(フリーアナウンサー)─永江朗
ビジネスで成果を上げるための「濃いしゃべり」の本質
▼ 伊藤直樹(クリエイティブディレクター)─河尻亨一
「インテグレーテッドキャンペーン」で「グルーヴ」を起こす
▼ 小飼弾(プログラム開発者)─井上トシユキ
創造と依存のバランスが「仕組み」を活かす
▼ 中島孝志(出版プロデューサー、キーマンネットワーク主宰)─永江朗
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