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プラグイン電気自動車でカーメーカーの先をいくゴルフカート

米国でLSV(低速車)の購買熱が高まっている。LSVとはゴルフカートの大きさで、電気モーターにより、一般的に時速20マイル(32キロ)から時速25マイル(40キロ)程度で公道を走ることのできる四輪車だ。この超小型車が突然ブームになった理由は、米国の景気対策である。

景気対策の一環として、米国では今年末までにプラグイン電気自動車を購入すると、バッテリーの容量により2500ドルから最高7500ドルまでの税還付を受けることができる。この税還付は公道を走る車を対象としているので、ゴルフカートは対象にならないのだが、小さいながらもヘッドライト、シートベルト、サイドミラーなどを整備し、政府の道路交通安全局が公道走行を認めたLSVならあてはまるのだ。

米国では今夏、やはり景気対策の一環として、古い車を下取りに出して新車を買うと、税還付を受けられるという「キャッシュ・フォー・クランカー」プログラムが人気を呼んだ。しかし同プログラムの還付額が最高4500ドルだったことを考えると、プラグイン電気自動車用の税還付はかなりお得である。

通常のLSVは9000ドル弱。バッテリー容量によるが、6000ドル程度の税還付の対象になる。実質、3000ドル程度で購入できることになるため、全米各地の高齢者コミュニティーを中心に購入者が殺到している。LSVといえども高級志向の消費者もおり、音響装備をし、ハマー風の外装にしたLSVは1万8000ドルとか。

LSVは別名NEV(ネイバーフッド・エレクトリック・ビークル)とも呼ばれている。米国の郊外の住宅地は、高速道路から少しはなれた場所に住宅や図書館、コミュニティーセンター、学校、公園、食料品店などが散らばっている。LSVは州の規定によっては、最高35マイル(56キロ)で走ることもできる。有害な排気ガスを出さず、ガソリン高騰におびえることなく、近所を動き回りたいという郊外の住人、特に高齢者向けコミュニティーに住む人々にはうってつけである。

このLSVに対する税還付を、税金の無駄使いと見る人も少なくない、しかしカーメーカーがプラグイン車の開発にもたついている中で、超小型低速のLSVが一足お先に街に繰り出す構図は、今後の交通手段の変化を感じさせるものだ。

<関連リンク>

http://abcnews.go.com/Business/golf-car-sales-spike-08-bailout/story?id=8875161&page=2 
(ABCニュース ゴルフ・カートビジネスがブーム 英語)

http://www.actiongolfcars.com/ 
(フロリダのLSV販売会社のウェブサイト)

http://www.adaelectriccars.com/dyn/showpage.php?id=15 
(オクラホマのLSV販売会社のウェブサイト)


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配信先:株式会社オトバンク「FeBe」
http://www.febe.jp/podcast/mediasabor/index.html


<2009年10月配信分の参考情報>

▼ 鈴木謙介(関西学院大学 社会学部 助教)─井上トシユキ
 (一部を抜粋のテキスト記事リンク: 変貌するメガヒットのメカニズム「わたしたち消費」とは
http://mediasabor.jp/2009/10/post_707.htm

▼ 神林広恵(ライター)─永江朗
 (一部を抜粋のテキスト記事リンク: スキャンダル雑誌の金字塔『噂の眞相』のつくりかた
http://mediasabor.jp/2009/10/post_708.html

 

 

 

 


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