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ベルリン交通網(バリアフリー、ペット、自転車、深夜、チケット共通に対応)

ドイツの首都ベルリンの交通網は素晴らしい。時間通りに電車が来なかったり、工事のために何ヶ月も電車が走らず、代わりにバスで移動をしなければならなかったりというのは日常茶飯事だが、のんびり構える人にとってこれほど素晴らしい市内交通システムはないと言える。

ベルリン交通局Berliner Verkehrsbetriebe(略してBVG)は、ベルリン市内や郊外のバス、地下鉄、近郊電車そして路面電車すべてを管理しているため、同じチケットでどれにも乗り込むことができる。その上、平日最終電車がくる1時以降には、ナイトバスが完備されているため、バスで遠回りになっても何とか家にたどり着くことができるのだ。さらには週末になると電車の重要ラインは夜中じゅう走っているため、逆に夜遅く女性が一人で移動していても少しも危険なことはない。それほど路線によっては、週末の夜遊びを遅くまで楽しむ若者たちで賑わっている。

電車、バス、路面電車のどこにでも犬や自転車を乗せてもかまわないことになっていて、天気の良い日には郊外まで自転車を乗せて移動し、森に着いたらサイクリングをすることだってできる。つまり車がなくても全くベルリンでは困ることがないのだ。

もちろん乗せていいのはそれだけではない。大きなドイツ製の頑丈なベビーカーも同じだし、バスがどんなに混み合っていても、ママさんたちは自分たちの子連れの権利を主張すべく、赤ん坊を乗せたベビーカーを満員バスにガーンと押し込んでくるほどだ。もちろん文句を言う人は誰一人としていない。

BVGのバスにおけるバリアフリー対策はすでに20年以上の歴史を持つ。1988年に最初のバリアフリー車が開発され、このMAN社のD88号では、車体中央にあるドア向かいにベビーカーを乗せられる場所が2台分用意されていたので、場所を取る車椅子の乗客にも便利であった。その後まもなく障害者対応のバスが作られ、バスのステップの部分がエレベーターのように段差上下するタイプが出回った。1995年には、世界ではじめての二階建てローフロアバスが使われ、2000年以降からは、車椅子がバスに乗り込むとき、ステップが延びる折りたたみ式ステップがバスに設置されている。


バス前方の入り口ステップは、折りたたみ式である。

さらには今年12月13日から、BVGの1300台のバスだけではなく、BVG下請け会社のバスも100%完全にバリアフリーとなり、障害者にとってバスでの移動は日常的なこととなるようだ。高齢化社会そして障害者の自由への対応として、BVGでは、なんと来年にむけてエレベーターのない駅を無くそうとあちらこちらで工事がされている。

 

 

【編集部ピックアップ関連情報】

○Beam Us Home! 「2009秋ベルリン+@旅行記(17)」 2009/11/05
 ベルリンに行くことにして一番気になったのは治安の状況だった。
 だってネット上を渉猟すれば、日本人がネオナチにタコ殴りにあったとか、
 そうでないまでもからまれたとか、非ヨーロッパ系の人間がいろいろ
 非道い目にあったとかいう話が続々出てくる。夜の駅は危ないとか何とか。
 駅にはスリや置き引きも出ますとかガイドブックなんかには書いてあるし。
 しかし、一週間ばかり観光客としてふらふらした限りでは、そのような
 紋切り型の危険には行きあわなかった。というか、紋切り型的には
 すこぶる安全安心であった。要するに、紋切り型的切り口は役に
 立たないってことだ。
 ということで、これからベルリンに行くので検索してここにたどり着いた
 方向けに、以下体験談。お役にたてれば幸い。
http://d.hatena.ne.jp/coalbiters/20091105/p1

○ベルリン中央駅 「トラム天国、ベルリン(1)」2007/01/20
 近年、トラムと呼ばれる路面電車を再評価する動きが世界的に高まって
 いるようだ。ヨーロッパの中都市以上の多くの街では今でもトラムが
 活躍しているし、パリのトラムが70年ぶりに復活したという
 ニュースも耳にした。日本で路面電車というと、何となくレトロな
 イメージがあるかもしれないが、バリアフリーに配慮した最近の欧州の
 トラムは、機能的にもデザイン的にもすぐれたものが少なくない。
http://berlinhbf.exblog.jp/4975599/

 

 


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