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タイガー・ウッズにエールを送る米国メディア

生涯収入10億ドル(推定)。プロゴルファーとして世界一の実力と知名度を誇り、私生活では真面目な2児のパパとして人々の尊敬を集めた「模範的アスリート」が、突如激しいスキャンダルの嵐に巻き込まれた。11月27日、フロリダの自宅付近で交通事故を起こし、時を同じくして複数の不倫問題が発覚したのだ。

しかし全米のメディアは、さほど深刻に受け止めていないようだ。「早くコースに戻って来い」とエールを送る声も多い。



New York Daily News紙のRick Shapiroは、12月5日付の同紙上で「スキャンダルを払しょくするには、トーナメントに出て結果を残すべし」という趣旨の記事を掲載した。映画評論家のPatrick Goldsteinは、12月5日付のLos Angeles Times紙上で「映画スターとは違うのでプライバシーを尊重してあげるべき」とタイガーを擁護している。

New York Daily Newsの記事へのリンク:
http://www.nydailynews.com/gossip/2009/12/05/2009-12-05_pros_to_tiger_get_back_on_the_links___keep_quiet.html

Los Angeles Timesの記事へのリンク:
http://www.latimes.com/entertainment/news/la-et-bigpicture5-2009dec05,0,5932905.story


CBS局政治討論番組Face the Nationの司会者Bob Schiefferは12月6日の放送で、プライバシーの侵害に苦しむタイガーに冗談まじりのエールを送った。「君が土曜日に友だちとゴルフするだけの人だったら、だれも君のしたことなど気にしないだろう。たぶん奥さん以外はね」。

もちろん、メディアが一連の騒動を静観しているわけではない。CNNも芸能誌も、ここぞとばかりに“タイガーネタ”を取り上げた。

交通事故が起きた11月27日。CNNの第一報は、「タイガー・ウッズ重傷」だった。「偉大なアスリートが再起不能に?」ぐらいの緊迫感があった。数時間後には、「タイガーが軽症で退院」とトーンダウンしたものの、本人が一向に姿を見せないので謎は深まった。その分、視聴者の注目も引き付けられたはずだ。

傑作は、その直後に発行された芸能誌US Weeklyの「タイガーの2重生活」と題された特集記事である。不倫相手と名乗るウエートレスJaimee Grubbsが、タイガーからの留守電メッセージを公表したのだ。「タイガーだけど、マジでお願いがある…」と始まるメッセージは、「妻が不倫に感づいているので着信通知に名前が表示されないようにしてくれ」という内容だった。

タイガー・ウッズの留守電メッセージMP3ファイルへのリンク:
http://tmz.vo.llnwd.net/o28/newsdesk/1202_tiger.mp3

ついでに、タイガーがGrubbsに送った“きわどい”テキストメッセージも公表された。「プレゼントはキミの裸体?」「最後にヤったのはいつ?」「キワドイやつ(写真)を送ってくれ」など、優等生タイガーとのギャップを考えると、笑わずにいられないような言葉が散りばめられている。

不倫問題が浮上してタイガーが自分のウェブサイトで発表したコメントも笑いを誘った。「私は家族を失望させ、一連の逸脱行為(those transgressions)を心から悔いています…」。“transgression”という言葉は、日常めったに使われないユニークな表現である。しかも複数の不倫を示唆するように、ご丁寧にも複数形になっている。もちろんメディアは、この言葉を面白おかしく連呼した。

タイガー・ウッズのオフィシャルウェブサイトにおけるコメント:
http://web.tigerwoods.com/news/article/200912027740572/news/

「私はパーフェクトに程遠い」というコメントにもツッコミが入った。NBC局のトークショー司会者ジェイ・レノは「10億稼いで、1日中ゴルフができて、カクテルウェイトレスとエッチして…それってパーフェクトだよね」。コメディアン独特のジョークではあるが、案外これが全米男子の見解を代弁しているようにも思える。

その他のジョークネタとしては、「不倫を推進する出会い系サイト(AshleyMadison.com)が、500万ドルの広告出演依頼をした」「アダルトビデオ製作会社(Vivid Entertainment)が、タイガーとの愛人関係を証明できる女性とは100万ドルで出演契約を結ぶ意向を示した」などがある。「楽しい話題をありがとう」と、メディア関係者のうれしい悲鳴が聞こえてくるようだ。

かつて現職の大統領がホワイトハウスでインターンの女性と不倫行為をしても、罷免されずに済んだお国柄である。2010年になれば騒ぎもおさまり、タイガー・ウッズは拍手喝采で迎えられてコースに姿を現すだろう。その第一ホールのティーショットは見ものである。果たしてタイガーは、目を見張るドライバーショットで不倫疑惑のモヤモヤを払拭できるのか?

 

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<2009年12月配信の対談>

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 テーマ: 仕事で重要なのは情報と人脈の活かし方(放送時間:97分)
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  エピソードが飛び出します。加えて、いくつかの業界動向や企業分析、変化の
  激しい時代に適応していくための指針、情報をインテリジェンスに昇華させる
  ための方法論が提示されます。

<対談の全体概要>
◎PHP研究所、東洋経済新報社に勤務していた会社員時代
◎キーマンネットワークを長く運営しているモチベーション
◎出版プロデューサーや書籍執筆者として多数の作品を生み出す礎となった経験
◎アパレル業界の動向
◎出版業界の動向、ヒット書籍の仕掛け
◎不況下でも好調な企業の特徴
◎媒体による広告効果の変化と考え方
◎仕事で最も重要なもの
◎キャリア形成の考え方
◎人脈の活かし方
◎情報をインテリジェンスに変換する方法論
◎変化の激しい時代のサバイバル


▼森谷正規(技術評論家)─永江朗

 テーマ: 「戦略の失敗」から学ぶ日本製造業の立て直し(放送時間:106分)
 ※長年、世界の技術を研究されてきた森谷氏の視点から、日本の製造業分野の
  失敗事例とその根本原因を分析していただきます。さらに日本の製造業が優位に
  立てる分野とマネジメント立て直しの方向性について解説していただきます。

<対談の全体概要>
◎1980年代に世界で圧倒的優位にあった日本の半導体産業が凋落した要因
◎HD-DVDがBlu-rayとの規格争いに敗れた理由
◎RDF(固形燃料化)の事業化失敗の理由
◎多くの技術がビジネス化までに至らない要因
◎失敗の根本原因(落とし穴)である12の事項について解説
◎「戦略の失敗」をいかに防ぐべきか
◎ハイブリッド車、電気自動車のゆくえ
◎自動車用電池技術開発の難しさ
◎家庭用燃料電池、太陽光パネル普及による電力業界への影響
◎情報技術がこれから向かう分野
◎日本人の特性を活かしたものづくり。日本と相性のいい製造業とは
◎ 技術力、商品開発力の優位さを事業成果に結びつけられない経営の問題点


<2009年10から11月公開の対談ラインナップ>

▼ 鈴木謙介(関西学院大学 社会学部 助教)─井上トシユキ
 (本編から抜粋のテキスト記事: 変貌するメガヒットのメカニズム「わたしたち消費」とは)
http://mediasabor.jp/2009/10/post_707.htm

▼ 神林広恵(ライター)─永江朗
 (本編から抜粋のテキスト記事: スキャンダル雑誌の金字塔『噂の眞相』のつくりかた)
http://mediasabor.jp/2009/10/post_708.html

▼ 小林弘人(株式会社インフォバーン CEO)─井上トシユキ
 (本編から抜粋のテキスト記事: 出版・新聞のネオビジネスは業界の外から勃興する)
http://mediasabor.jp/2009/11/post_719.html

▼ 梶原しげる(フリーアナウンサー)─永江朗
 (本編から抜粋のテキスト記事: 常識を破壊する「濃いしゃべり」で結果を出せ)
http://mediasabor.jp/2009/11/post_721.html 

▼ 伊藤直樹(クリエイティブディレクター)─河尻亨一
 (本編から抜粋のテキスト記事:「インテグレーテッド・キャンペーン」で「グルーヴ」を起こす)
http://mediasabor.jp/2009/11/post_723.html

▼ 小飼弾(プログラム開発者)─井上トシユキ
 (本編から抜粋のテキスト記事:創造と依存をバランスさせて「仕組み」を活かせ)
http://mediasabor.jp/2009/11/post_724.html

 

 

 

 


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