片手操作性に優れるSF的携帯端末「ELSE」
- 米国在住ジャーナリスト
(記事概要)
iPhoneの登場から2、3年が経過し、私たちはこのデバイスが採用する現代的なタッチスクリーンを持ったスマートフォンのインターフェースに適応してきている。しかし、Else社が来春に発売を予定している電話機は、いままでのとは根本的に違った、さらに使いやすいインターフェースを持った興味をそそるデバイスだ。同社初の携帯電話となるこの電話機は3.5インチのタッチスクリーンを持ち、Access Linux OSをベースとした作りになっている。
Accessという名前を聞いて、かつてPalm OSを買収した会社を思い出す人もいるだろう。Access Linux Platformの開発を主導していた。
この電話機はとても洗練され、片手で使えるよう直感的なインターフェースを採用している。メインメニュー自体はオーソドックスだが、ポイントはスクリーンの右側に放射状に表示されるメニュー構成だ。スクリーン上のボタンを一度押すと、表示が上下に切り替わりながら、目的のメニューの場所まで誘導してくれる。操作には片手の親指を使うだけでいい。
この意味は、電話を操作するために一度だけディスプレイを押せば良いことになる。何度かの操作を必要とするiPhoneや他のタッチスクリーンデバイスとは違う点だ。非常に良く考えられている。さらに写真を見る際に拡大したいときなど、指一本でできる簡単な仕組みを採用しているのも特徴。この他にもたくさんの特徴がありここで説明するのは難しいが、とにかくiPhoneや他のタッチデバイスを持った電話機の後追いをせず、新しいアプローチを試みていることは確かだ。
(サンフランシスコ・クロニカル 11月25日付け)
(解説)
この携帯電話は、組み込みソフトウエアの開発を行うAccessとイスラエルのElse(旧社名=Emblaze)が共同で開発したプラットフォームを搭載する初の携帯電話だ。Linuxベースの携帯向けプラットフォームにElseのインターフェースとサービスを加えて、画期的といえる操作性の高さを実現している。
携帯電話を操作しているビデオを見ると、本当にすべての機能が片手で呼び出せるようになっている。右手の手のひらに本体を持った状態から、親指を使ってタッチスクリーンの右側に扇状に広がるファンクション画面を選択する。そこから階層が広がり、さらに親指で操作を続けながら呼び出したい機能へ行き着く。例えば保存された写真を見たいときにも、サムネイル化された写真一覧がやはり扇状に広がり、写真に触れるとそれが表示される。
携帯電話に限らず、携帯デバイス操作をするときに片手が塞がっていることは結構多い。歩きながら、バッグを持ちながらなどの状況では、片手で使えたほうが便利だ。iPhoneなどタッチスクリーンを搭載する機器は片手で操作できないこともないが、もともとそうした使い方を考慮に入れて設計されていないため、どうしても無理が生じる。その点、Elseの開発したインターフェースは優れているといえるだろう。
また、複数のアプリケーションの同時起動や切り替えもできるうえ、使いたいアプリへ素早く行き着くことも可能だ。このため、決まったアプリからだけではなく、複数のアプリから写真や動画を表示できるようになっている。「子供のビデオを撮っているときに電話が鳴ったとする。iPhoneでは決定的な瞬間を逃してしまいます」と同社のクペルバスCEO。Elseはこうした状況でも時間を無駄にしないで済む。
Elseにはこの他にもBluetooth やWi-Fiに対応し、16ギガバイトのフラッシュメモリと256MバイトのRAMを搭載。加速度センサ、対物センサ、光センサなども装備することになる。これらを利用して、いろいろなアプリケーションを開発することができるだろう。
当面の市場は米国、欧州、ロシア。Elseを搭載した携帯電話は、早ければ来年の4月にも登場することになるという。
【編集部ピックアップ関連情報】
○湯川鶴章のIT潮流 2009/11/26
「未来から来たケータイ」、ACCESSのELSEの世界での絶賛ぶりが半端ない件
http://it.blog-jiji.com/0001/2009/11/accesselse-1c75.html
▼First ELSE(映像 05:03)
http://www.youtube.com/watch?v=A6O1L1Q4KBM&feature=related
▼First ELSE Promo Video(01:25)
http://www.youtube.com/watch?v=ZHghZnOH8dA&feature=channel
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