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世界の芸術家と連携する国際アートビジネス ROJO(R)(ロホ)の挑戦

ROJO(R)(ロホ)は、2001年に創立された、スペインのバルセロナに本部を置く独立系クリエイティブ集団だ。コンテンポラリーアートの才能あるアーティストを世界中から選び、サポートとプロモーション活動を展開する。具体的にはビジュアル表現に重点を置いた雑誌「ROJO(R)マガジン」、書籍、DVDの作成の他、プロジェクト、イベントを企画実施する国際ビジネスを構築してきた。


デビッド・クゥイルズ・グイロ氏

創立から8年間で、ヨーロッパ、アメリカ大陸など40カ国に事務所を拡大させた。「初めから多くの国に拡大することが目的だった。取り扱う作品に特徴があるから対象人口は多くない。だからこそ多くの国に小さなグループを作る必要があったんだ。」と、創立者でありCEOのデビッド・クゥイルズ・グイロ氏は語る。「協賛者獲得は足も運んだが、主にインターネットで探した。やるからには確実に運営でき、能力があり、信用できる人物を探さなければいけない。でも8年間メールで常にやり取りはしているけど、会ったこともない人もいるんだ。」

このように急成長を遂げたROJO(R)だが、バルセロナ本部の他に、新しいアイデアやプロジェクトを生み出すために、ミラノとサンパウロにクリエイティブセンターを置いている。中でもブラジルのサンパウロには、クゥイルズ氏が家族と共に移り住んだほどその魅力に取りつかれているという。「ブラジルには新しいエネルギーを感じる。市場は新しい需要がある。そして特にクリエイティティビティには目を見張るよ。ブラジルは他国をコピーしながら成長する中で、例えばトロピカリズムのように独自の文化を常に発展させてきた国だ。例えばファッションブランドのZARA(ザラ)は、他ブランドのデザインを模倣したものを販売し成長してきたが、今ではZARA(ザラ)のモデルをみんなコピーするだろう? そんな現象がブラジルに起こりつつあるんだ。他国のまねをしながらも、独自のカラーを追求していく。そんな融合の巧みさがブラジルにはあるんだ。」

一方でクゥイルズ氏は、サンパウロには主要ギャラリーは20ほどしかなく、大きく伝統的な美術館が芸術市場を独占していると指摘する。「クリエイティブな人材、分野は成長しているが、市場が活性化するまでに達していない。従来からの煩雑な通関処理の困難(ブロクラシー)が妨げになっているんだ。」 その例として芸術作品の郵送代がスペインに比べて3倍近く高いことをあげる。「95年以降改善がみられるが、競争相手がいないブラジルの芸術市場はブロクラシーに包まれている。」

しかしそんな市場でのROJO(R)の活動は、特にクゥイルズ氏が移り住んだ後、様々なメディアに取り上げられるなど、ブラジルでも注目されている。オス・ジェミオスなど有名なアーティストの作品はすでに市場に出回っており、値段も高い。ROJO(R)が注目するのは、すでに知れ渡っている芸術家ではなく、学歴中心の芸術世界でもなく、作品重視のアートシーンだ。「求められている分野に力を入れてこそ成功すると信じている。」というクゥイルズ氏。最近はROJO(R)が取り扱う分野に興味を示す投資家が増えているという。

2010年8月にはサンパウロで50人のアーティストを招待して、ビジュアル、映像、サウンドアートなどをミックスさせたアートビエンナーレの開催を企画。サンパウロの次はアルゼンチンでの開催が決定しているという。「ブラジル サンパウロを世界のクリエイティブセンターに」、ROJO(R)の挑戦はまだまだ続きそうだ。


ROJO(R)
Address: Carrer Girona 61. Local 2. 08009 Barcelona, Spain
Tel: +34 934 673 598
http://www.rojo-magazine.com

ROJO(R)マガジンの紹介ビデオ
http://www.youtube.com/watch?v=Z3p61kz2T8Y


【編集部ピックアップ関連情報】

○メディアサボール 2008/12/19
 サンパウロのストリートから世界の美術館へ「オス・ジェミオス」
http://mediasabor.jp/2008/12/post_551.html


【ビジネスポッドキャスト番組「ロングインタヴューズ」 のPR】

書籍、雑誌、新聞、検索だけでは感じ取れない本質情報を対談形式の音声で提供。

2009年10月下旬から配信を開始したビジネスポッドキャスト「ロングインタヴューズ」
は、ビジネス、メディア、カルチャーの分野を中心としたゲストを月に2から3人迎え、
経験豊富なインタビュアーがリスナーの立場にたってゲスト講師に迫り、本人の
肉声で経験や考え方、本質情報が語られる番組です。テキスト情報ではわかりにくい
情報も理解しやすく、ハートの奥底に響いてきます。

爆発する情報を整理して、意味のあるインテリジェンスに変換するには、「読む」に加えて、
アナログで人間的な先達の希少な肉声を『聴く』ことが効果的です。

現代の情報化社会は、現実世界とネットを合わせて大量の情報が溢れかえって
飽和しているように見えます。次々と登場するウェブサービスやITツールは、効率的に
情報収集するための助けになっています。けれども、そうした情報収集のテクニック、
さらには集めた情報を咀嚼し、活用する方法論が急速に均一化してしまったことで、
独自のアイデア、問題解決法を導き出すことは、逆に困難な状況になっています。
製品の融合化や業界垣根のボーダーレス化が進む社会においては、異業種、
他分野で起こっていることを意識して探り、全体を俯瞰して考えることを心がけなければ
優れた戦略、企画、アイデアは生まれにくくなっています。

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通勤や移動時間に聴ける貴重な中身の濃い情報源になります。

「ロングインタヴューズ」個々の対談は期間限定配信です。
まもなく、2009年10月配信分の対談が聴けなくなりますので、この機会に
気になったコンテンツを2から3本でも聴取していただければ幸いです。
マスメディアからは得られない体験になります。

Visa, Master, JCB, AmericanExpress, Dinersのカードであれば、
海外発行のものでも利用可能です

音声本編の配信先は株式会社オトバンクが運営する「FeBe」上です。
http://www.febe.jp/podcast/mediasabor/index.html


<2010年1月配信予定の対談ラインナップ>

■ゲスト:三浦展  インタビュアー:河尻亨一
テーマ:増殖する「シンプル族」のライフスタイルと消費性向(放送時間:104分)

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 <三浦展>プロフィール
1958年生まれ。82年一橋大学社会学部卒、パルコに入社、マーケティング情報誌「アクロス」編集室勤務、その後同誌編集長として「第四山の手」「新人類」「世界商品」などのキーワードを使い、時代、世代、消費、都市、文化などを分析。
90年に三菱総合研究所入社、99年に退社し消費・都市・文化研究シンクタンク
「カルチャースタディーズ研究所」を設立。
団塊ジュニア世代、団塊世代などの世代マーケティングを中心に、自動車、家電、情報機器、食品、化粧品などの商品企画、デザインのための調査等を行う。
また、家族、消費、都市問題などを横断する独自の「郊外社会学」を展開するほか、「下流社会」「ファスト風土」「2005年体制」「真性団塊ジュニア世代」「シンプル族」などの概念を提案、マーケティング業界のみならず、社会学、家族論、都市計画論など各方面から注目されている。
主な著書は
「下流社会―新たな階層集団の出現」 (光文社新書)
「団塊世代を総括する」(牧野出版)
「ファスト風土化する日本―郊外化とその病理」 (洋泉社)
「かまやつ女の時代─女性格差社会の到来」 (牧野出版)
「シンプル族の反乱」(ベストセラーズ)など
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広告や供給側の仕掛けが効きにくくなっている要因は、メディアの多様化だけでは
なく、コンシューマーの意識変化も見逃せない。静かに増殖する「シンプル族」は
その象徴であり、今後のサービス創出や商品開発で無視できない存在となっている。

◎パルコ時代。マーケティング情報誌「アクロス」での仕事
◎三菱総合研究所での仕事
◎カルチャースタディーズ研究所設立の動機
◎独立後の印象に残っている仕事。手ごたえを感じたエピソード
◎「時代を象徴するようなヒット商品、流行は社会構造の変化によって
  もたらされる」という持論の意味
◎「社会構造の変化」を見極めるための仮説と検証について
◎優れたマーケティング・リサーチャーとは
◎「シンプル族」とは。「シンプル族」のルーツ
◎「シンプル族」のライフスタイル
◎「ロハス志向」と「シンプル族」の共通性
◎欧米文化崇拝から和文化志向への変化
◎「シンプル族」のコミュニケーション、情報接触の態様
◎「モノ」から「コト」へ変化する消費
◎これからの商品開発、サービス創出、流通の考え方


■ゲスト:夏野剛  インタビュアー:本田雅一
テーマ:ビジネスイノベーターの流儀(放送時間:97分)

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 <夏野剛>プロフィール
1965年神奈川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京ガス入社。ペンシルバニア大学ウォートンスクールにてMBA取得。ハイパーネット副社長を経て、1997年にNTTドコモに入社。松永真理(まつなが まり)氏らと「iモード」ビジネスを立ち上げる。iモード以後も「おさいふケータイ」をはじめとするドコモの新規事業を企画、実現する。2005年、同社執行役員就任。同社退社後、2008年5月に慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科特別招聘教授に就任。株式会社ドワンゴの取締役のほか、複数の企業の社外取締役も務めている。主な著書に「ケータイの未来」「1兆円稼いだ男の仕事術」「グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業」など。
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ベンチャー企業と大企業において、革新的なサービスの実現に取り組んできた
過程、手法など夏野流仕事術を公開。ITインフラビジネスの特質のほか、IT業界の
動向を多面的に解説。保守的な日本企業社会に渇を入れ、多様化する現代社会に
おけるビジネスパーソンのキャリア形成の考え方についても言及。 

◎技術的観点からは理解しにくいITバブル的投資ブームは、なぜ起こったのか
◎失敗から学んだこと。その後の仕事のスタイル
◎iモード展開の内実
◎人との出会いによって転機となったこと。人脈形成のコツ
◎FOMA再生物語(900iシリーズ)
◎イノベーションが起こりにくい日本企業の体質と経営の改善ポイント
◎複数の企業から求められている自身の役割とは
◎会社が変わっても通用するキャリア形成の考え方
◎ITプラットフォーム構築のインフラビジネスを成功に導いた戦略
◎クラウドコンピューティングに対する考え方
◎金融危機等の影響下で終了しているネットサービスが多いが、この難局を
  どう捉えているか
◎PCインターネット上で有料サービスを成立させるための重要な要素
◎アップルiPhone、グーグルの携帯OS「アンドロイド」搭載端末について


<2009年10から12月公開の対談ラインナップ>

▼ 鈴木謙介(関西学院大学 社会学部 助教)─井上トシユキ
 変貌するメガヒットのメカニズム「わたしたち消費」とは
http://mediasabor.jp/2009/10/post_707.htm

▼ 神林広恵(ライター)─永江朗
 スキャンダル雑誌の金字塔『噂の眞相』のつくりかた
http://mediasabor.jp/2009/10/post_708.html

▼ 小林弘人(株式会社インフォバーン CEO)─井上トシユキ
 出版・新聞のネオビジネスは業界の外から勃興する
http://mediasabor.jp/2009/11/post_719.html

▼ 梶原しげる(フリーアナウンサー)─永江朗
 常識を破壊する「濃いしゃべり」で結果を出せ
http://mediasabor.jp/2009/11/post_721.html 

▼ 伊藤直樹(クリエイティブディレクター)─河尻亨一
 「インテグレーテッド・キャンペーン」で「グルーヴ」を起こす
http://mediasabor.jp/2009/11/post_723.html

▼ 小飼弾(プログラム開発者)─井上トシユキ
 創造と依存をバランスさせて「仕組み」を活かせ
http://mediasabor.jp/2009/11/post_724.html

▼ 中島孝志(出版プロデューサー、キーマンネットワーク主宰)─永江朗
 「仕事で重要なのは情報と人脈の活かし方」
http://mediasabor.jp/2009/12/post_732.html 

▼ 森谷正規(技術評論家)─永江朗
 「戦略の失敗」から学ぶ日本製造業の経営
http://mediasabor.jp/2009/12/podcast.html

 

 

 


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