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ハイチ地震支援プロジェクト「HOPE FOR HAITI NOW」に学ぶ

2010年01月12日に発生したハイチ地震は、日本でも阪神大震災から15年目の直前ということもあり、大々的に取り上げられた…と書きたかったのであるが、日本のメディアの扱いは速報扱いでそのままバラエティ番組がずっと流されつづけていた…。

確かに海外での震災であるが、数万人規模の災害となれば、話は別だったと思う。しかも阪神大震災の振り返りの番組がたくさん企画されている中での災害であったにもかかわらず、CNN経由の映像が一ニュースとして流されただけであった。

その間、twitter上には「#haiti」というハッシュタグという分類によるツイートが、タイムラインをものすごいスピードで駆け巡っていた。ツイートのタイムラインが秒速で流れるというのを始めて体験すると事態の大きさがわかる。マイケル・ジャクソン氏の亡くなった時も同様の事象が起きた。現在も英語が主体であるが「#haiti」で検索するとたくさんでてくる。

最近のニュースを知るきっかけとなる「入口」は、常にtwitter経由ということが多くなっている。ツイッターでの英語のツイートは140文字以内だから、翻訳サイトにコピー&ペーストすれば簡単に読むこともできる「tweetdeck.(http://tweetdeck.com/)」という無料クライアントソフトでは、指定すれば双方向で翻訳可能だ。

驚くのが今回のアメリカのアクションの速さだ。募金活動が動き出すのに時間はかからなかったが、セレブを100人以上集めた全額チャリティというライブイベントがたったの10日間で企画され、交渉され、実施されたのだ。この速さは異例である。

しかも全世界同時放送である。さらにコマーシャル抜きで、アメリカではABC・CBS・NBC・FOX・CNN・BET・CW・HBO・MTV・VH1・CMTの各放送局において1月22日(金)20:00(東部標準時)より生放送で、放送局を横断してサイマル放送がなされたのである。つまり米国の、どのチャンネルを見ても、このチャリティーコンサートが流されたのである。

MTVジャパンの特設サイト(http://www.mtvjapan.com/hope)では現在もビデオクリップを視聴できる。

これはザ・ビートルズの「愛こそはすべて」の全世界チャリティ中継よりも大がかりだ。

残念なのが日本の地上波ではこの試みがまったくなされなかったことだ。
日本では1月23日(土)にCATVである、MTVやCNNj、National Geographicなどのネットワークで放送された。
http://www.mtvjapan.com/hope

この番組オフィシャルサイトのHopeforhaitinow.orgなどには、これまでに5,800万ドル(約52億円)もの寄付金が集まったという。
http://Hopeforhaitinow.org

しかし、驚くのはそれだけではなかった…
コンサートの翌日からはアップルiTunesから「hope for Haiti now」名義で20曲1,200円でライブ録音データのダウンロード販売が開始された。アップル、レーベル、アーティストも100%寄付と明言している。実際にダウンロード購入してみた。20曲で1200円。しかもライブ翌日の新譜。満足度は高い。アリシア・キーズというアーティストに興味をもった。iTunesで彼女の別の楽曲を買う…。

ボクの1200円は100%ハイチの支援に使用されるという寄付への満足感。iTunesを利用することにより、結果としてアリシアにもアップルにも、レーベルにも少しだけ貢献できた。

ハイチ震災に対して、twitter上からツイートして1円寄付できるサービスもはじまってはいるが、毎日支援しても年間で365円にしかならない。むしろ新譜を買ったことで1200日分の寄付ができたことになる。

阪神大震災を体験した立場で考えると、寄付金を義援金として受け取ったのは半年も経過してからであった。半壊した家の修理費用として10万円を義援金からいただいた。震災後すぐであれば1万円でも非常にありがたかった。しかし、半年後の修理代金が800万円もかかる見積もりを前にしての10万円は、どうして今頃なのかという気分になってしまった。

寄付の重要性は寄付して終わりでなく、そこからその寄付がどのように役立つのかを、最後まで可視化させてくれる団体に寄付したいものである。


【編集部ピックアップ関連情報】

○メディアサボール 2010/01/28
 「ハイチの募金活動 携帯電話による寄付が大成功」 
http://mediasabor.jp/2010/01/post_747.html

 

 


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