マイナー・ミュージシャン達のソーシャルな資金調達
- 米国在住ジャーナリスト
マイナーなミュージシャン達の多くは、これまでも自分達のウェブサイトや「「MySpace」、「YouTube」を活用し、ゲリラ的マーケティングを実践してきた。オンラインで自分達の楽曲を世界に向けて発表する場は増えたとはいえ、肝心のレコーディング費用をどうするか? 今の時代、そんな場合でも頼りになるのがソーシャル・ネットワーキング・サービスである。
テキサス州ダラス市のサリーム・ノララーさんは、地元で根強い人気を誇るシンガー・ソングライターでありプロデューサーでもある。定期的にライブハウスで演奏をするが、普段はプロデューサーとして他のミュージシャンのレコーディングをして、主な収入を得ている。ファンから新しいアルバムをリクエストされるのだが、本業を休んで自分のレコーディングをする財政的な余裕はない。
こうした悩みは世界各国共通なようで、ロンドンのミュージシャン達が立ち上げたPledge Music(http://www.pledgemusic.com/)というSNSサイトに、サリームのようなミュージシャンが集まっている。ここでは自分達のファンを対象に、レコーディングに必要な財政援助を仰ぐことができる。サリームの場合は、新しいアルバム製作のため6000ドル集めることが目標。ファンは自分ができる範囲での出資をサイト上でプレッジ(約束)する。これは単なる寄付ではない。設定期間内に目標額に達した時に、プレッジした人々のクレジットカードに請求がいく仕組みになっており、プレッジしても目標額が達成されなければ、請求がくることはない。
またこのサイトはミュージシャンとファンとの距離が近い点も魅力だ。ミュージシャンは出資プレッジを促すために様々な特典をつける。例えばサリームの場合、25ドルの出資プレッジでサイン入りの新しいCDの進呈、50ドル出資してくれた人にはコンサートでその人のために一曲歌い、100ドルの出資でレコーディングスタジオ訪問、1000ドルの出資の場合テキサス州内であればプライベートコンサートを1回提供するといった具合だ。また随時、ミュージシャン側も出資プレッジをしてくれた人へのメッセージや、プレッジしてくれた人だけが視聴できる音楽ファイルを載せたりし、ファンもそれにコメントを寄せる。
目標額に達しなければ、お約束の新しいCDやスタジオ訪問の機会も実現しないが、こうした直接的なコミュニケーションは、「MySpace」で何百人もの表面上のフレンドの一人になるのとは違い、ファンに参加意識を実感させることができる。ファンにとっては、自分の支援で実現したレコーディング風景を目の当たりにできれば、ファン冥利につきるのではないだろうか。またミュージシャン側にしてみれば、新たなファンの掘り起こしにもつながる。
デジタル楽曲配信によりCDの売れ行き低迷に苦しむレコード会社は、ますます大衆受けしそうなアーティストだけに目を向ける傾向にあるが、マイナーなミュージシャン達は原点にもどって、こうしてファンとの絆を強めているのだ。
(関連リンク)
http://www.pledgemusic.com/projects/236
(プレッジ・ミュージック、サリーム・ノララーのページ)
http://www.kickstarter.com/
(プレッジ・ミュージックと同じ形態で、音楽、映画、漫画、本、イラストレーターなど様々なアーティストを対象とした財政支援ソーシャル・ネットワーク・サイト)
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