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米TV局の番組をめぐる国民的コメディアン降板騒動


Jay Leno

米国NBCテレビが昨年9月14日に満を持して放送開始したトークショーThe Jay Leno Show(月―金:10─11PM)は、視聴率低迷などの理由からわずか5ヶ月後の2月12日を最後に打ち切りが決まった。プライムタイムにバラエティー系の帯番組を編成するというNBCのギャンブルは、失敗に終わった。

これに伴い司会者ジェイ・レノは、昨年5月に降板したばかりのThe Tonight Show(月―金:11:35PM─12:35AM、※1)に3月1日付で復帰。昨年6月よりレノを引き継いでThe Tonight Showの司会を務めたコナン・オブライエンは、1月22日を最後に同番組を降板した。

レノもオブライエンも国民的人気があるコメディアンだけに、全米メディアはこの番組改編を“異例のナイトシャッフル”として大々的に報じている。

関連記事:「米国NBC局のバラエティー革命は吉と出るのか?」
http://mediasabor.jp/2009/11/post_716.html

一連の騒動をあえて日本の芸能界でたとえるなら、タモリが「笑っていいとも」の司会を降板し千原ジュニアに引き継ぐが、タモリの新番組もジュニア司会の「笑っていいとも」も視聴率低迷。わずか1年もしないうちにタモリが復帰し、ジュニアはフジテレビを去る…となる。

打ち切りとなるThe Jay Leno Showは、1月の視聴者数がおよそ400万人強。1000万人近い視聴者数を記録する他局の人気番組に比べると、明らかに低空飛行だ。それでもドラマに比べて制作費がかからないバラエティーは利益率がいい…というのがNBCの当初のもくろみだった。

しかし同番組の後(11PM)に放送されるローカルニュースの視聴率は、The Jay Leno Showの低視聴率に影響され軒並みダウン(※2)。たまりかねたローカル局の訴えにNBCが応じた形となった。

とはいえレノには、深夜枠(11:35PM─12:35AM)で視聴者数1位の実績がある。レノを手放したくないNBCは、その結果レノをThe Tonight Showに戻し、後任だったオブライエンを手放す道を選んだ。

オブライエンはかつてエミー賞の総合司会(2006年)を務めたほどの人気コメディアンだ。しかしThe Tonight Showの平均視聴者数は、レノ時代の500万人からオブライエンに変わって280万人に落ち込んでいた。

ちなみにオブライエンは降板にあたって補償金4500万ドル(※3)を受け取る。その代わり9月まで他局で冠番組を持つことができない。オブライエン最後のThe Tonight Show(1月22日放送)は、視聴者数1030万人と深夜にして異例の数字を記録。今回の騒動に対する注目度の高さがうかがえる。

レノが復帰するThe Tonight Showは3月1日スタート。オブライエンはFOX局で新番組を立ち上げるというウワサもある。両者の動向は、報道専門チャンネルCNNでさえ随時アップデートする中で、全米がかたずをのんで見守っている。

いずれオブライエンがレノの番組にゲスト出演し、気まずいムードを笑いに変える日が来るだろう。どんな試練も笑いに変えるコメディアンの性(さが)は、アメリカも日本も(磯野貴理も?)同じなのだ。


※1
1954年以来55年の歴史を誇る国民的人気番組。レノは1992年5月から2009年5月まで17年間司会(4代目)を担当。オブライエンは2009年6月から7カ月間司会(5代目)を担当。その前は、同番組の後に放送されるLate Night(12:35AM─1:35AM)で16年間司会を務めていた。

※2
Harmelin Media社の調査では11月の視聴率が前年比で平均25%減。ニューヨーク48%減、ロサンゼルス43%など大都市ではさらに深刻なダウンが見られた。

※3
オブライエン付番組スタッフの離職手当てを含む。オブライエンの取り分は3300万ドルと言われている。



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