2010年も変わらぬビジネスのキーワード「レトロ」人気
- 米国在住ジャーナリスト
レトロ(Retro)とはretrospective(回顧)の略語。懐古趣味のことをさすが、主にアートや広告の世界でたびたび起こる流行/ムーブメントだが、ここアメリカではこのレトロをキーワードに様々なビジネスが定着しつつある。
その一つが食品だ。
http://www.crossroads-market.com/
小さい頃に慣れ親しんだキャンディーやシリアル。今では近くのスーパーマーケットに行っても手に入れられないが、あの味、あのパッケージが恋しくなることはありませんか? 90年代、南フロリダにて、こうした懐かしい食品を集めて販売をはじめたのが「Hometown Favorites(ホームタウンフェーバリッツ)」である。98年からウェブサイトに移行し、徐々に取り扱いの品種を増やし、昨年5月、総合ウェブサイト「Crossroads-Market(クロスロードマーケット)」を立ち上げ、菓子類に限らず、缶フード、ジャム、スパイスやパスタに至る様々な食品(といっても非生成食料品のみ)から、ギフトやソーダ類の専門コーナーなど、実に2000種類を超える食品を取り扱い全米中に配送している。
写真: 「宇宙飛行士のアイスクリーム」
http://www.crossroads-market.com/ShowAdditionalImg.asp?number=HFCA00340
写真: 「C.ハワードのミント」(1934年からNYで販売されているミント)
http://www.crossroads-market.com/ShowAdditionalImg.asp?number=HFCA403
など
こうして様々な食材を扱いはじめたHometown Favoritesは、現在全米の小売店のために、苦労して集めたレトロ食品コレクションの「卸」を行ない始めた。卸により、ビジネスはより安定し、メーカーの供給を継続させることができる。
http://www.crossroads-market.com/wholesaleclub/
同じ食べ物関連でいえば、<RETRO>をキーワードに料理本を出しているのがリチャード・ペリー氏(http://www.scratchchef.com/)だ。オレゴン在住のペリー氏は、元シェフで、さらに年代物のレストランメニューのコレクターとしても有名だ。現在は研究家、料理本出版人としてのキャリアを積む中で、「アメリカンフード」を発表している
Retro Kids Cooking: Timeless Recipes for Cooks of All Ages
http://www.amazon.com/Retro-Kids-Cooking-Timeless-Recipes/dp/1888054964/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1268075742&sr=1-1
など
そして、受賞画家(水彩画)であり、フリーランスのライターとしても活躍するリンダ・エベレット氏もまた、ペリー氏同様に、昔ながらの料理のレシピや料理本のコレクターとして知られる。彼女がペリーと共に出版したレトロ・ブレイクファーストは、amazonの読者レビューで高い評価を受けている。
Retro Breakfast: Memorable Meals Morning, Noon, or Night (Retro Series)
http://www.amazon.com/Retro-Breakfast-Memorable-Meals-Morning/dp/1888054875
エベレット氏はその後、様々な「レトロシリーズ」を発表しているが、いずれも販売以来人気の料理本となっている。
Retro Barbecue: Tasty Recipes for the Grillin' Gu
http://www.amazon.com/Retro-Barbecue-Tasty-Recipes-Grillin/dp/1888054638/ref=pd_cp_b_2
Retro Pies: A Collection of Celebrated Family Recipes
http://www.amazon.com/Retro-Pies-Collection-Celebrated-Recipes/dp/1888054794/ref=ntt_at_ep_dpt_4
など
ところで、レトロ感がビジネスとして定着し、特にレストランや小売店などでその雰囲気を出すために最も必要とされるもの、それはなんと言ってもビジュアルである。ペンシルバニアのイーストベルリンで90年代後半から様々な工業用看板を作成するMummert Sign Company(http://www.mummertsignco.com/)。アーティストであるマーティー・ママート氏が描き出す、40年代、50年代、60年代の看板は、新品なのにヴィンテージ感たっぷり。今ではポピュラーになったコンピューターグラフィックを使用しているものと違い、ママート氏が自ら手で描く看板は、より雰囲気を出せるため、「Cracker Barrel」や「Anthropologie」など、全米サイズの小売りチェーンのディスプレイに使用されるほど人気。レストランやパブなど飲食店からの需要もあり、また映画の小道具としても作品を提供している。
このほかアパレル関連でもTシャツにはじまり、スニーカーにおいてはNikeやPuma、Adidasはレトロシリーズを発表するなど、ビジネス的にも現在を生きる若者をターゲットにしつつ、昔懐かしの雰囲気が漂う商品がマネーメイカーとして定着しつつあることが伺える。こうしたビジネス上の「懐古主義」が振り返る先は米国においては大体40年代から60年代が一般的。「古き良きアメリカ」を感じさせ、人々が求める安堵感や幸福感をもたらせるものは、この時代のものだけなのかもしれない。
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