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クチコミ投稿への返信は、宿には絶好の商機!

 良くも悪くも、クチコミの時代である。旅先の宿などという、未知の世界の商品を購入する場合には、ネット上で投稿されたクチコミ情報が欲しくなるのも人情。このクチコミ投稿と宿側の返信コメントが、「未来の宿泊予約につながるか、失うか」の大きな勝敗を決する場となっており、宿の場外でも真剣勝負が日夜繰り広げられ、昨今ヒートアップ気味なのだ。

 「じゃらんnet」や「楽天トラベル」などの宿泊予約サイトを見ると、旅行者がクチコミを投稿し、事細かに情報を提供している。泊まった感想や、感謝の言葉、がっかりしたこと、許せない宿側の対応――といったクレームも書き込まれている。そして宿は、それら投稿されたクチコミに対して、一つひとつ返信している。

 投稿欄のやりとりの一部始終が、宿の印象を大きく左右するため、じゃらんnetを運営するリクルートは、2月から全国の旅館・ホテル経営者を対象に、「最新クチコミ対処術」なるセミナーを開催している。東京や大阪などの会場では、数百人の参加者で盛況だった。

 それほどまでに、旅館・ホテルの経営者は大手宿泊予約サイトの「投稿欄」を気にしており、その一方で、商機とも見ている。「クチコミ」に対する返信をどのように工夫すれば、効果的な宣伝ツールとなり得るか、宿はそのテクニックを授かりたいと思っているのだ。

 例えば、じゃらんnetでは、総合評価の平均点が「4.0」だと、「多くの旅行者が満足している」という高評価のラインで、宿の目標であるとともに、宿泊予約の際の一応の目安となっている。

 さて、宿泊した後に、じゃらんnetに投稿されているクチコミの数は約140万件にのぼるという。さらに驚くことには、宿からの返信投稿率が79%というのだ。投稿のあったすべてのクチコミに対して、宿側はなんと、8割を返信していることになる。

 リクルートCS推進室の山田修司ゼネラルマネージャーは「今や旅行者にとって、旅行後にクチコミを投稿し、宿からの返信を見るまでが旅行という認識に変わっている」と話す。つまり、宿からの返信投稿を見るまでは旅行が終わっていないということだ。

 「もし、宿側がクチコミに対して返信投稿をしないと、旅行者の要望を無視していることになり、宿での不満と合わせて2回がっかりさせることになりかねない」と山田ゼネラルマネージャーは“警告的”アドバイスをしている。

そこで基本的なスタンスとして、
1)クチコミには100%返信する
2)必ず感謝の言葉を伝える
3)怒らない
4)400字以下でまとめる
5)定型文は使わない――などのポイントを挙げる。


 クレームに対しては、「○○様の気分を害することになってしまいました」と相手の気持ちを素直に、そしてしっかりと受け止めることが大事だという。そのうえで、投稿者だけでなく、これから宿を選ぼうとしてくれる「未来予約者」に向けて言葉を選びながら書くことが重要なポイントだと強調する。

 また、幾つかのクレームの中にも、「客室係の素敵な笑顔」など一つでも褒めてくれている箇所があれば、「彼女にもきちんとお伝えしておきます。励みになります」などと、プラス面は確実に拾うことを推奨する。

 さらに、「宿の前の道路が狭すぎる」などのマイナス要素については、「道路の狭さは悩みの種です」と認めたうえで、「近くにある駐車場はゆったりと広いスペースがあります」などと、「宣伝」も入れることを忘れないこと。

 そのほかにも、自分たちの行き届かない部分を指摘してくれたことに対する「ありがとうございました」という感謝の言葉を「サンドイッチ」のように挟むことも有効だという。

 面白いところでは、「お客様のご指摘については……」などの「指摘」という言葉はクレームのニュアンスがあり、できれば「ありがたいアドバイス」などの言葉の方が望ましい……とか。

 笑顔で「ありがとう」と言って宿を去った同じ人が、ネット上の投稿欄でクレームを書くというケースも少なからずあるという。心当たりのない誹謗もなかにはあるかもしれない。だが決して、匿名のクチコミ投稿に対して「逆ギレ」しないことも、初歩的な心得の一つ。“公開裁判”には無数の陪審員が見つめているのだ。

 いずれにせよ、返信者の「誠意」が絶対必要条件だろうが、致命的なミスを起こさない、一定レベルの返信テクニックやスキルの獲得も必要なようだ。

 クチコミの投稿欄は、おそらく今後ますます進化していくだろう。
定型文を決して使わない、クチコミ返信界の“言葉の魔術師”や“カリスマ返信士”などが、近い将来誕生するかもしれない。   

 

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