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竹内謙礼×主藤孝司 対談 過去の成功方程式は通用しない!中小企業のためのネット通販戦略

  • MediaSabor 編集部

メディアサボールのビジネスポッドキャスト「ロングインタヴューズ」 第14回目の対談企画。
■ゲスト:竹内謙礼   インタビュアー:主藤孝司
テーマ: 過去の成功方程式は通用しない!中小企業のためのネット通販戦略
         (放送時間:101分)

株式会社富士経済が、通信販売ビジネスを調査分析した報告書「通販・e-コマースビジネスの実態と今後 2009-2010 市場編」によりますと、物販市場は、2008年が4兆6,032億円、2009年見込が4兆8,907億円、前年比106.2%となっていて、世界的な景気悪化により通販市場も影響を受けているものの、割安感のあるインターネット通販の伸びなどにより拡大を続けています。物販市場は、インターネット・モバイル通販が定着し、2006年にインターネット通販がカタログ通販を上回っており、2009年にはインターネット通販が通販物販市場の半分以上を占めるほどになっています。

このような全体的な統計数字を見る限りでは、ネット通販ビジネスは、ますます隆盛しているように感じるかもしれません。しかし、全体的な数字の伸びはネットショップ数拡大の結果であり、一部のトップクラスのショップを除けば、その他の多くのネットショップは、過当競争による利益減少に苦しんでいるというのが実情です。

今回のゲスト 竹内謙礼氏は、2000年前後のインターネット普及黎明期と比較して、激変している現在のネット通販を取り巻く環境について、過去の成功方程式が通用しなくなっている現実をズバリ指摘します。

特に、現状のネットショップ飽和状態から判断して、資金力に乏しい企業がネット通販に深入りする危険性に警鐘を鳴らします。現在のネット通販事情は、ごく一部の強者と、その他多くの弱者という構図になっていて、利益を出しにくくなっています。ネットで販売するのに適した商品を吟味し、有効な販促手法と効果が出にくい販促手法を的確に見極め、慎重に取り組むことが重要です。

扱う商品、サービスの選択によって、大きく結果が異なってしまうネット通販のリスクや特性、環境変化に対応したプロモーション手法の動向を理解するうえで、明確な指針が得られる対談です。ネット上の収益ビジネスに携わっている全ての人にオススメです。

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<竹内謙礼>プロフィール
大企業、中小企業問わず、販促戦略立案、新規事業、起業アドバイスを行う経営コンサルタント。有限会社いろは代表取締役。大学卒業後、出版社の雑誌編集者を経た後、千葉県にある観光牧場「成田ゆめ牧場」の企画広報に携わり、通信販売やネット通販、実店舗の運営、企画立案等を行う。楽天市場に出店したネットショップはオープン3年目で年商1億円を達成。2年連続で楽天市場のショップ・オブ・ザ・イヤー「ベスト店長賞」を受賞。またオークション&ショッピングサイト「ビッダーズ」において、準グランプリを受賞。現在は全国の商工会議所や企業等でキャッチコピーの指導、セミナー、講演活動を行なう。また、「タケウチ商売繁盛研究会」の主宰として多くの中小企業経営者に対して低料金の会員制コンサルティング事業を積極的に行っている。 <主な著書>『売り上げがドカンとあがるキャッチコピーの作り方』『お客がドカンとやって来る売れる企画の作り方』(日本経済新聞出版社)、『御社のホームページがダメな理由』(中経出版)、ネットで売れるもの売れないもの」(日本経済新聞出版社)等。「ボカンと売れるネット通信講座」http://www.e-iroha.com/
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<主藤孝司>プロフィール
株式会社パスメディア代表取締役。創業10年以内の若手経営者を専門とする経営コンサルタント。(株)リクルート在籍中に2度のMVPを含む営業表彰を5度受賞。(株)パスメディア創業後もNTTより全国トップを含む10の表彰を受賞するなど、営業・販売のプロとしての実績も多い。起業家大学にて、延べ1000名以上の起業家、経営者に直接指導、アドバイスしてきた起業家養成の専門家でもある。企画、プロデュースする起業家大学のオーディオゼミナールや書籍にて取り上げた企業がその後上場を果たした数は既に7社を越える。主な著書・監修書に、『成功の瞬間』(講談社)、『起業家プロの発想力』(成美堂出版)、『図解・1億円ノート』(三笠書房)、『図解・スピードノート』(三笠書房)など。福岡大学法学部、九州大学大学院入学。速読のフォトリーディング公認インストラクター。戦略出版コンサルタント。 2005年からTBS等在京ラジオ局にてビジネス系ラジオ番組のパーソナリティーを務め、2008年からは.FM放送ラジオ番組「ベストセラーズチャンネル」のゼネラルプロデューサー及びチーフパーソナリティーも務める。
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音源本編から、その一部を切り取った記事を下記に掲載いたします。

(主藤)
───著書の中で、ネット通販に対する考え方について、意識を変えたほうがいいということを主張されています。その点についてお聞きしたいのですが、2000年前後のネット普及期、黎明期の頃のネット通販と、現在のネット通販を取り巻く環境は激変しているとのことです。まずは、2000年前後に有効だった過去の手法についてお話していただけますか。

(竹内)
以前は、メールマガジンを使って物を売れということが言われていました。お客さんを獲得したら週に1回か2回、メルマガを発行していけばリピーターになってくれる、という流れです。しかし、最近はメルマガの購読率が落ちているので活用が難しくなっています。

何よりもネットで物を売る会社が増えすぎました。競合が多くなり、過当競争状態になってしまったのです。新聞などを見ますと、「ネット通販好調」といったことが書かれていたりしますが、流通総額は伸びているものの、1店舗あたりの売上は、一部を除いて落ちています。たとえば、ショッピングモール全体の売上が伸びていたとしても、それは単に店舗数と商品点数が増えただけのことなんです。同じ街の中に、電気屋さんが100店舗あるような状況がネットの世界です。だから、この中で1位になれば勝てるのですが、最も安い価格提示で、最も広告費をつぎこんだ会社がトップになるような構造なので、儲けは少ないことになります。

(主藤)
───ネット通販に関するテレビ番組や特集などを見たりしたときに、疑問に思っていた部分がありまして、ネットショップで、ある程度うまくいくと、物流、ロジスティクスの問題が出てきますよね。ロジスティクスの問題を解決するために、最近は楽天市場が出店店舗を対象にした物流サービスを提供していたりします。楽天市場に物流を任せるにしても、自社でヤマト運輸や佐川急便を利用して物流体制を構築するにしても、相応の固定費、場所の確保が必要になります。それで、販売の窓口がネットのみの場合、キーワードの選定やプロモーションの巧拙で、ガラッと売上状況が変わってしまうのにもかかわらず物流体制を組むのをみて、怖いことをしているな、経営のことをわかっているのかなと思っていたのですが、そこのところはどうなんですか。

(竹内)
ご指摘の通りです。こんなことを言ったら敵が増えてしまうかもしれないんですが、インターネット関連の会社は、急に伸びたじゃないですか。だから、経営者としての経験値が浅い社長さんが多いんですよ。決算書が読めなかったりとか、何が儲かっていて、何が損しているのかがわかっていなかったりとか。結局、どれだけ売上規模を拡大したら勝てるのか、あるいは負けるのか、わからないまま経営しているんですね。

(主藤)
───規模の拡大はリスクの拡大でもありますが・・・

(竹内)
そのへんを理解してないんですね。単に従業員を増やせばいいんだと考えていたりします。楽天市場主催で年に1回、出店者が集まるパーティがあって、それに参加すると、売上月商1千万未満の出店者は、白い札を首から提げられて、1千万以上になるとレモン色の札になり、3千万以上だとオレンジの札、1億以上だとピンク色の札を提げられ、それで会場を闊歩してるんです。売上が低い人は、上げようというモチベーションが高まるのですが、でも、これって売上額だけの分類で利益とは関係ない評価なんです。

(主藤)
───楽天市場の従量課金は、売上額に比例しているんですか。

(竹内)
そうです。

(主藤)
───そうすると、それは、楽天の戦略に乗っているということになりますね。

(竹内)
そういう捉え方もできますが、楽天にどれだけ愛されるか、といった意味合いもあるようです。

(主藤)
───うまく経営者特有の商人欲求を満たす仕掛けですね。それは、楽天さん さすがだと思いますけど、経営者として未熟な人が増えてしまいますね。但し、マーケティング的に入口を広げるという観点で考えれば、必要なアイテムだし、知名度アップの契機になったりするので、要は、楽天市場の仕組みを理解し、リスクとメリットを天秤にかけながら、どこまで投資していくかを考えればいいということになりますか。

(竹内)
「インターネットで物を売りたいんです」という相談があったら、今でも、楽天市場を使いなさい、というのが私の持論なんですね。ただ、そのリスクを理解しないまま参戦している人が多いと、つくづく感じます。

それから、ネット通販について感じていることなのですが、よく「巣篭もり消費」だとかいわれますよね。でも、それは間違っていると思っていまして、お金がなくて外に出ないのに、家の中でカネを使う奴はいないと考えています。にもかかわらずネット消費が伸びているのは、ネットで買ったほうが安いということをお客さんが気づき始めたからじゃないかと判断しています。景気が悪くなると人は賢くなります。それで売上が伸びているだけなんで、ネット通販で儲けるのは、ショップ数が飽和状態になった現在では、かなり難しいということになります。

(主藤)
───インターネットをメディアと捉えて、PR、広告のツールと割り切り、ネット上での販売収支は最悪トントンであっても、ネット以外のところにも入口を設定して、集客ツールをつくり、ネット上とは違う利益率の高いものを販売したりするような設計が、今の時代には必要ということになるんですよね。

ただ、ネットを活用するにしても、効果の低い販促手法を闇雲に使っていても意味がありません。かつて有効だったことが、現在ではほとんど機能しない、ということが起きています。先ほどメールマガジンのことが話の中に出てきましたが、ネットの販促手法としては、バナー広告や検索エンジン対策(SEO)やアフィリエイト、ブログなど多くの手法があります。これらについて、竹内さんなりの意見をお聞かせください。

(竹内)
企業からの相談の中で、検索エンジン対策(SEO)のことは、よく言われます。通常の検索結果上位ページを閲覧している人というのは、あまり買う気のない人が多いとみています。買う気マンマンの人は、キーワード広告のほうを見る傾向があります。これは、電話帳に近いんです。引越しをしようと思ってタウンページで調べる際に、あ行から探していく人は、ほとんどいません。広告を見るんです。

(主藤)
───どうしても、目にパット止まりますからね。

(竹内)
その理屈と同じで、購入意思の強い人にとっては、緊急性も高いケースが多いので、欲しい商品を売っているかもしれないキーワード広告のほうをクリックするんです。通常の検索結果上位ページについては商品販売ページとは限りませんので、時間的余裕がある人でなければ、そこまで探しません。だから、SEO対策を施して上位表示されたからといって、扱っている商品が売れるわけではないのです。


<対話項目>
◎ 出版社の編集者から転職し、観光牧場「成田ゆめ牧場」勤務へ
◎ ゼロからネットショップを立ち上げ、楽天市場のショップ・オブ・ザ・イヤー
   「ベスト店長賞」を受賞するまで
◎ コンサルタントとして独立に踏み切った経緯
◎ コンサルタントとしてのビジネスが安定し始めたターニングポイント
◎ 2000年前後のインターネット普及黎明期から激変している現在の
  ネットビジネスを取り巻く環境 (過去の成功方程式が通用しなくなっている現実)
◎ 楽天市場のプラットホームを利用するリスクとメリット
◎ ネット上で効果を出すことが困難になっている販促手法(検索エンジン対策(SEO)、
  ブログ、メールマガジンなど)
◎ ネットで売れるもの、「売れる商品」の条件、集客しやすい商品
◎ ネットで売りにくいもの、集客しにくい商品
◎ マスメディアのネットビジネス喧伝に惑わされる危険性への警鐘
◎ 情報商材販売の動向。知識・情報をビジネス化するための方法論。
◎ オンライン情報サービスの有料化に対する見解
◎ デフレ時代のキャッチコピーの作り方
◎ 実店舗とネットショップのキャッチコピー作りの違い
◎ 「上手な文章」と「売れる文章」は何が違うのか
◎ キャッチコピー作りの基本は「強い言葉探し」
◎ 良いキャッチコピーのひらめきは「センス」ではなく「方法」。
  キャッチコピー作りの公式、コツ
◎ 検索連動型キーワード広告を取り巻く情勢
◎ 検索連動型キーワード広告の運用がうまくいかない理由
◎ Yahoo!リスティング広告とグーグル・アドワーズ広告
◎ 検索連動型キーワード広告文と通常のキャッチコピーの違い
◎ 検索キーワードの「親キーワード」「ものさしキーワード」とは
◎ 広告代理店に検索連動型キーワード広告の運用を任せてしまうリスク
◎ 資金力に乏しい企業はネット通販に深入りしてはいけない!

(2010/02/25収録)


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