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日本人の血を引く女性大統領候補 フジモリ・ケイコ

 南米ペルーで、二人目となる日系人大統領が誕生するかもしれない。アルベルト・フジモリ元大統領(71)の愛娘、フジモリ・ケイコ(34、日本名=藤森恵子)だ。

 四角い輪郭に、力強そうな形をした顎と、ぱちりとした大きな目が特徴。浅黒く日焼けしたアジア系の顔立ちは一見、日本人にも見える。だが、豊かな表情とともに口をついて出てくる言葉はスペイン語だ。

 ケイコは、一昔前の肝っ玉母さんのようなふくよかな体型と相まって、見た者に強い印象を残す。フジモリ元大統領の前妻で、同じくペルーの日系人政治家であるヒグチ・ミヤガワ・スサーナが儲けた4人の子供のうちの一人として1975年に生まれた。

 南北アメリカ大陸で最も若く、19歳でファーストレディになった女性でもある。父親であるフジモリ元大統領が大統領任期中にスサーナと離婚したため、代役として1994年にケイコを指名したためだ。父親が辞任するまでの6年間、職務を立派に勤め上げ、その姿を見ていたペルー国民から信用を得た。

 その後、アメリカのコロンビア大学にあるビジネススクールに留学し、アメリカ人の夫、マーク・ビラネッサ氏と結婚。ペルーに戻り2006年に政界へ進出した。そのときの国会議員選挙ではトップ当選を果たした。当時、隣国チリで拘束された父親の解放を求めて、妊娠中でありながらデモ行進の先頭に立つなど、父親思いで行動派の一面を持つ。

 その父親は今年一月、ペルー最高裁判所で開かれた控訴審で、一審判決の禁固25年と賠償金の支払いを支持する判決を言い渡され、実刑が確定した。大統領任期中に一般市民の惨殺や収賄に関わったとされていた容疑に対してだ。だが、フジモリ元大統領の人気はペルーの一部ではいまだ根強く残っている。矢継ぎ早に打ち出した経済政策の成功や、極左ゲリラとの内戦終結を成し遂げた実績を評価する声が多い。

 実際、大統領就任初期に見せた同氏の活躍はヒーロー的だった。新党「改革90」をひっさげた無名候補として本命を退けて当選したフジモリ氏は、就任後に国有地売却や外資誘致を積極的に行う「フジショック」と呼ばれる大規模な経済改革を断行、再びペルー経済は活気を取り戻した。また、日系人であることを活用して日本からの融資取り付けにも成功した。

 それまでのペルーは、数万パーセントに上るインフレと負債を抱えて、もはや崩壊寸前の状態。政治に失望していた国民に明るい光を与えた功績を覚えているペルー国民は少なくない。
 
 私がペルーの山間部の村を訪れたときのことだ。川にかかる橋を指差して、バスの乗客が言った。「この橋はフヒモリ(フジモリ元大統領)が作ってくれたんだ。おかげで便利になった。向こうに見える壊れかけた小さな橋があるだろう。もともとはあれしかなかった。バスは通れやしなかったんだ」。

 ペルーを訪れると、地方部を中心に道端の壁に赤字で大きく「2011 KEIKO」と書かれた文字を見かける。ケイコの支持者が2011年の大統領選挙に向けてペイントしたものだ。その数は、他の候補者のそれを圧倒的に上回る。加えてケイコの支持者が地方だけではないことは、前回の国会議員選挙時に首都リマで圧勝したことをみても分かる。

 来年の大統領選挙に関する世論調査では、現職リマ市長であるルイス・カスタニェーダ氏に次いで支持率2番手につけるなど、十分に戦える位置。これから戦いが本格化するなか、親子大統領となる可能性を含む注目候補として、ますます脚光を浴びることは間違いない。

 もしケイコが勝利した場合、「父に恩赦を出す可能性もある」と明言している。実刑が確定したフジモリ元大統領を助けだせるのは娘のケイコしかいないともいわれており、そうなった場合、また話題を振りまきそうだ。 

 

 


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