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健康産業の不健康な実態

今回は、あまり他では書いたり話しをしたりしないことを言わせてもらおうと思います。

フジテレビ系列番組「あるある大事典」の内容が、捏造だった事件は皆さんもご存知だと思います。

アロマテラピーやハーブにビジネスとして取り組み、「思いっきりTV」にも出演したことの
ある私がこうした状況を批判する資格があるかないかはわかりませんが(あると思っている
のですが…)、健康産業をとりまく状況があまりにひどく危険であるため、あえて発言したいと
思います。

まず、健康番組の作り方があまりにひどい。私もよく取材を受けるのですが、番組制作会社の
スタッフに全く知識がありません。スポンサーの望む結果があって、あとは許される時間内で、
いかにそれに合致したコメントを専門家や学者から引き出すかだけで作っています。

少し前に「あるある」ではない番組で取り上げたある食材を、視聴者の人が大量に食べて
健康被害が起きた事例がありました。その翌週に別の食材のことで私に電話がかかってきた
ので「もしものことがあるといけないので、番組作りは慎重に行ってください。」と申し上げる
と、制作会社の担当者は反省の弁どころか、「早とちりした視聴者が悪い。」というようなこと
をのたまったので、私は耳を疑いました。

また、「あるある」で以前にチョコレートダイエットを取り上げた際に、栄養学の権威の
大先生たちがのきなみ賛成意見を述べたとき、私は「日本の栄養学は終わった。
(日本の食文化は崩壊する。)」と思いました。なにしろ「ごはんを食べる前にチョコレート
を食べるとやせる。」というのですから…。

ところで(ここからが大事なのですが)、御用学者によってあやふやな科学でマーケティング
された商品に関わっているのは民間だけではありません。

皆さんもトクホ(特定保健用食品)のことはご存知でしょう。トクホは、言ってみれば国が
認めた健康食品です。(もっとも、認可を受けるのに億単位のお金がかかるので大企業の
商品ばかりなのですが…。)

国の御墨つきですから、この不景気にトクホ市場は拡大の一途なのです。ところが、私の目から
見ると、このトクホ商品の安全性の根拠がとても心もとないものなのです。

特に私が気になるのが「脂肪がつきにくい油」というもの。食用の植物油はスーパーなどで
安売りの対象にされやすいので、メーカーは何とかして「付加価値」をつけようとするのです。

ここで皆さんに知っておいて欲しいのが、水に溶ける成分と油に溶ける(水に溶けない)成分の
どちらの方が健康被害が起きやすいかということです。

答えは油に溶ける成分です。水に溶ける成分は、たとえ摂り過ぎても尿中に溶けて排泄され
ますが、油に溶ける成分は体の脂肪にまぎれて体内に残存してしまうのです。(ダイオキシン
がやっかいなのはこのためです。)

「脂肪がつきにくい油」も当然油に溶ける成分ですから、安全性の確保には念には念を入れて
御墨つきを出して欲しいと思います。

そもそもダイエットがしたいのなら、カロリーが高い油の摂取を控えるのが本筋です。地球の
裏側ではカロリー不足で多くの子供が飢えて亡くなっていることを思うと、この国の「付加価値」
というものの底の浅さが知れるというものです。

とは言うものの、これからも「高付加価値」商品を開発したいメーカーと御用学者、それに
広告代理店の強固なトライアングルによる健康食品ブームは続くことでしょう。

危ないものには近づかないこと!

トマトやカボチャ、バナナやリンゴなど、何てことのない植物性食品こそが、人類の歴史を
支えてきた真の意味の「健康食品」なのですから。


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