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地元ビジネス批評・格付けソーシャルサイトYelpの新機能

(記事要約)

地元ビジネスをユーザーの批評で格付けするソーシャルネットワーク・サイトYelpに、新しい機能が加わる。これまではユーザーが一方的にレビューを書くだけのシステムだった。今後はビジネス側にサイト上で直接回答する機会が与えられる。

例えばユーザーが事実に反するレビューを書いた場合、ビジネス側に釈明の余地が与えられる。Yelp側は広告主であるビジネス側が満足できるよう公平な措置を考えたと、Yankee Groupの消費者リサーチャーCarl Howe氏は解説する。

2009/4/10、公共ラジオ放送NPRのビジネス・ニュース『Market Place』 より



Yelpのサイト上で始まった、新機能に対する議論。
多くのユーザーは「いいかげんな批評を抑制できる」
と好意的なコメントをしている。

Yelpのリンク:http://www.Yelp.com


(解説)

2004年10月サンフランシスコで始まり、またたく間に全米に広がったソーシャルネットワークYelp。レストランから金物屋まで、あらゆるビジネスがリスト化され、ユーザーの批評とともに5つ星満点で格付けされる。

Yelpのビジター数は月間590万人(3/31付Quantcast.com調査)。知的なヤングアダルトに人気が高く、1995年から先行してユーザー批評付の案内サイトを展開してきたCitysearch.com(3/31付ビジター数570万人)を、とうとう抜いてしまった。

※Yelp自身はサイト上で2009年2月のビジター数2000万人と告知している。

Yelp人気は、自由に議論できる充実したユーザー批評に支えられている。カバーされる店舗数が多く、YAHOO!マップに表示されないようなレストランも引っかかるので便利だ。ビジネス側も無料登録することで、ウェブサイト、営業時間など詳しい情報を加えることができる。

ただしユーザーの一方的な批評は、時に理不尽になる。前出のラジオ番組『Market Place』によれば、Mamma’s Brick Oven Pizzaというピザ屋には「ひどい、ひどい、ひどいカスタマー・サービス。クーポンを受け付けてくれなかった」との酷評があったという。その店のオーナーは、そもそもクーポンを発行していないと反論する。

Yelpはサイトの信頼性を保つために、ビジネスオーナーズ・ガイドにおいて厳しいルールを設けている。悪い批評を消すこと、身内が批評を書くこと、批評で宣伝行為をすること、お金でよい批評を書かせることなどは、広告スポンサーであるなしにかかわらず固く禁じ、「お客様はいつも正しい」というメッセージを突きつけている。

それでもYelp利用者にビジネスの80%を依存するマットレス店があったり、Yelpの批評次第でメニューを変え、時には従業員を解雇するレストランもあったりするほどYelpの影響力は侮れない。一方でYelpの批評に腹をたて「Yelp利用者お断り」と張り紙を出すお店もある。

しかし事実に反する批評はよろしくないということで、ビジネス側から回答をアップする機能が追加されることになった。新機能は4月中に実施される見込みだ。これまでも、ビジネス側が批評を書いたユーザーに個別に返事をすることはできた。しかし、そのやりとりはYelp経由で間接的、かつ非公開だった。

ビジネスオーナーズ・ガイドのリンク:
https://biz.Yelp.com/support

新機能ではビジネス側に直接サイト上で弁解の余地が与えられる。ただしやみくもに反論すれば、サイトが炎上しビジネスへの反感が高まる。逆にビジネス側の発言力が強くなりすぎると、ユーザーがYelpそのものを見捨てることになる。新機能の成功は、当面ビジネス側がどれだけ節度ある対応をするかにかかっているだろう。

最後に・・・アジア系レストランの場合、Yelpで高評価を得たからといって必ずしも美味しいとは限らない。マッシュルーム入りの味噌汁やケチャップ味の焼そばが出てきて、ガックリすることもある。アメリカ人の味覚は違うので、くれぐれもお気をつけ下さい。

 


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