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米国版おくりびと? 創造的な火葬ビジネスの広がり

キリスト教徒が約78%の米国では、全米でみると現在も約7割が土葬の習慣に従っている。ただしプロテスタントでは、合理的、衛生的な処理として「火葬」も受け入れられており、ハワイの66%をトップに、ネバダ、ワシントン、オレゴン、アリゾナ、カリフォルニアなどでは50%以上が火葬を選んでいる。そしてこの不況によって、火葬を選ぶ傾向に拍車がかかりつつある。というのも、一般的には火葬費用の方が安いためだ。

葬儀業協会の統計によれば、2006年の葬儀費用は平均で6195ドル(埋葬費用を除く)だったが、棺の値段は1000ドルから高いものでは2万ドル以上と幅があるため、ちょっと高価な棺を選び、埋葬費用を計算にいれれば、総費用は軽く1万ドルを超えてしまう。ところがインターネットで「火葬」をサーチすると、800ドル以下で火葬ができるといった広告がいくつも出てくる。

土葬に比べ火葬が手軽で安価な理由には、棺や遺体の防腐処理、墓地が不要なことがある。土葬では埋葬場所が必要だが、米国では火葬した後の灰は壷に入れて自宅に保管するか、思い出の地や海などに撒いてしまうのが一般的だ。

もちろん火葬を選んだとしても、費用をかけてでも様々な形で故人を偲びたいという思いは米国人も同じである。そこで最近は火葬用のクリエイティブなサービスが次々と登場している。これまでも、船や飛行機をチャーターして空や海に灰を撒くサービスは多数あったが、エンジェル・フライト社は4000ドルで、灰を花火とともに打ち上げてくれる。遺族や友人達が貸切ヨットに乗り、水上で花火を見ながら故人を偲ぶ特別プランもある。

LifeGem社は、火葬後の灰から生成したダイヤモンドで記念の指輪を作るサービスを提供している。石の色や大きさにより2700ドルから2万ドル程度。もっと手ごろな価格で、美しい記念品をと願う人には、Memory Glass社が故人の灰を入れたガラス細工を作っている。小さなペンダントは150ドルからだ。

環境保全に関心の深かった故人には、Eternal Reefs社のサービスが良いかも知れない。同社のサービスは、灰をまぜて記念オブジェをつくり、家族が手形や故人への言葉を掘り込み、海に沈めて漁礁にするというアイディアだ。またArt in Ashes社では、プロの画家が故人の灰を塗料にまぜてオリジナルの油彩画を完成させるといったサービスを提供している。

<関連リンク>

インターネットでの安価な火葬サービスの例:
http://www.cremation-online.com/?gclid=CJP4u5igtZoCFRlcagodslMXdA

花火とともに灰を撒くエンジェル・フライト社 http://www.angels-flight.net/

灰からダイヤモンドをつくるライフジェム社 http://www.lifegem.com/

灰を入れたガラス細工をつるくメモリー・グラス社 http://www.memoryglass.com/index.asp

灰を使って漁礁をつくるエターナル・リーフ社 http://www.eternalreefs.com/

灰を使ってオリジナル油彩画をつくるアート・イン・アッシュ
http://www.memorials.com/art-in-ashes.php

 

 


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