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進化する電縁と忙しくなる生活

  • 米国在住 ビジネス・コンサルタント

  • 鶴亀 彰

インターネットの大衆化が始まった頃、この新しいコミュニケーション・ツールを通じて結ばれる人と人との縁を「電縁」と呼んだ知人がいた。「血縁」や「地縁」などとは違う新しい形の縁である。私もそれ以来、電縁で知り合い、その後、オフラインでも親しくなった友人が多く出来た。従来なら結び付く可能性が全くなかった人々との貴重な縁である。

インターネットの進化と共に、その電縁が更に加速し、今はソーシャル・ネットワーキングが花盛りである。私も日米のSNSに参加しているが、IT先進国の米国ではSNSが若者や学生中心から企業社会や一般の大人たちにも広がりつつある。MySpaceやFacebookなど若者や学生中心のSNSが人気を呼んでいる中で、Second LifeやLinkedInなど、大人向けのSNSも急速に広がりつつある。

プロフェッショナルやビジネスマンなど仕事絡みの縁作りに利用されているが、Second Lifeのネーミングの通り、実際のReal Lifeとは別に人々はオンライン上でバーチャルな二つ目の生活を持っている。その中では実際の生活とは違うSecond Lifeが体験出来る訳である。最近ではSecond Lifeで知り合い、Real Lifeでも親しくなるケースが増えている。

その傾向を受けて、大手の企業もソーシャル・ネットワーキングやビデオ・シェアリングのサイトを次々に買収している。マードックさんのNews Corporationが MySpaceを買収したのは旧聞だが、Hearst CorporationがeCrush.comを買収したり、SonyがGrouper.comを買収している。GoogleによるYouTubeの巨額な買収は世界的な話題となった。

最近ではSNSを企業内に取り入れる傾向も進んでいる。IBMではグループウェアの先駆者であるLotus Notes部門が新しいソーシャル・ソフトウェア・ツールとしてLotus Connectionsを発表した。これはSNSの機能を使い、企業内の人材を結び付け、各人の持つ知識や情報、人脈などを総合的に活かすツールである。すでにIBMでは45万人にも上る従業員のプロファイルが登録され、社内の生産性向上に役立っているそうである。

従来のオフラインでの人間関係に加え、オンライン世界での関係もこなしていかなければならないとなると、一日24時間の限られた時間の配分が難しくなる。
人疲れする感じがないでもない。現実に日本でも「ミクシィ疲れ」が出ているが、米国でもReal LifeとSecond Life、更には家庭と職場の区別があいまいになる中で、生活が忙しくなり、一種の疲労感も生れているのが現実である。


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