オリンピックQ&A「バンクーバー五輪開催にかかる費用はいくら?」
ジャーナリスト
(記事要約)2007年2月10日Vancouver Sun websiteより Vancouver Sun:BC州で最も発行部数の多い一般紙。徹底した地 域密着型の内容に定評がある。
開催までちょうど3年となったバンクーバー冬季オリンピックに関するQ&A集から。
Q:オリンピック開催にかかる費用は一体いくら?
A:バンクーバーオリンピック冬季競技大会組織委員会(VANOC)は、当初の計画では競技施設建設費4億7000万カナダドル(現在1カナダドル=約103円、約484億1000万円)、大会運営費13億4500万カナダドル(約1385億3500万円)の予算を計上していたが、それでは不十分だとして、ブリティッシュ・コロンビア州政府とカナダ連邦政府で建設費を5億8000万ドル(約597億4000万円)に、国際オリンピック委員会(IOC)の放映権料やスポンサー料、チケット販売などから資金が調達される運営費は17億5000万ドル(約1802億5000万円)に引き上げられた。
それでも最終的に資金不足になった場合は、BC州政府が不足分を補うとVANOCに保証している。
写真説明:
バンクーバーオリンピックへの「カウントダウン時計」(左)とinukshukをモデルにしたバンクーバーオリンピックロゴ(時計の右上)。右奥はバンクーバー美術館。
(解説)
予算の詳しい検証については、連邦政府に依頼された監査役Office of the Auditor General of British Columbiaが去年9月に報告書を発表した。
それによると、競技施設建設費は計上された新予算でも不十分と推測。さらに、競技会場を結ぶバンクーバー市からウィスラー市までの道路整備費やバンクーバー国際空港とダウンタウンをつなぐモノレール建設費、選手村建設費など間接的な費用約19億ドル(約1957億円)がオリンピック予算として盛り込まれていないと指摘。他にも運営費に含まれている安全対策費1億7500万ドル(約180億2500万円)も過少見積もりだとして、予算案の甘さが浮き彫りになっていると強調する。
一方、オリンピック開催による経済効果はというと、BC州政府は40億ドル(約4120億円)から100億ドル(約1兆300億円)と予測。大会前、期間中、その後を視野に入れた長期算定だとしても、こちらはかなり強気な数字だ。果たしてすべて計算通りにいくのか、VANOCと州政府の手腕が試される。
しかし、なぜそこまでしてオリンピックにこだわるのか。それはここまで述べた数字だけでは表せない「何か」がそこにあるからだろう。
その「何か」が見つかるかどうかはこれからということになる。2月12日開会式までちょうど3年という節目を記念して、ダウンタウンにあるバンクーバー美術館正面に設置された「カウントダウン時計」の除幕式が行われた。
「1096DAYS」と大きく表示された電光掲示板は秒単位で時を刻んでいく。人も町もオリンピックモードへとにわかに色づき始めた。
この電光掲示板が「0」を表示した時、この町に聖火が灯される。その時人々は予算問題のことなどすっかり忘れて、世界最大の冬のスポーツの祭典が自分たちの町で自分たちの手で開かれているという現実に「何か」を感じていることだろう。
バンクーバー冬季オリンピックは2010年2月12日から28日、パラリンピックは3月12日から21日に開催される。
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