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Underground Overground

出版社を退職し、音楽業界とメディアの隙間に身をおかせていただいて11年が過ぎようとしている。

その間、研ぎ澄まされた選曲をFM波に乗せて発信させていただいた。

ある人からは「アンダーグラウンド」と言われ、またある人からは「へえ?そんな局あるんですか?」と言われ、「いつもオフィスで聴いてるよ」という声も沢山いただいた。感謝。時には、「カッコばかりつけて商売になるのか?」と問われることもあった。的を射た叱咤。

しかし、マジョリティだけに流されず、「選曲」に拘り抜いたステーションもトーキョーには必要なのだと確信を持ってツッパってきた。勿論、小さなステーションゆえに、スタッフ、出演アーティストが一体となってその想いを発信することができたわけである。

そんな我々SHIBUYA-FMが開局当時から今も影響を受け、大事にしてきた楽曲がある。

United Future OrganizationのLoud Minorityという名曲。

色んな意味があろうが、自分は「偉大なるマイノリティ」と解釈させていただいた。そのタイトルが持つメッセージ性。そして研ぎ澄まされた楽曲。西麻布の老舗 Space Lab YellowでUnited Future Organizationがオーガナイズしていたパーティ「JAZZIN」で初めてこの曲を耳にした時、衝撃を受けた。

自分にとっては洟垂れガキのころにThe ClashやSex Pistolsを聴いた時と同じくらいの一撃を喰らった。CLUB MUSICという言葉を好んで使いたくはないが、分りやすく、敢えて表現するのであれば適切かもしれない。ピテカン、Bublin Dub、Tools Barなどでオトナの音楽を吸収させていただいた自分にはブラウン管から流れてくる音とは一線を隔すその音がリアルに響いた。

時代は変わって現代。

ブラウン管から液晶やプラズマに変わってきているが、聴こえてくる音は変わったのだろうか?変わったのかもしれないし、変わってないのかもしれない。間違いなく言えることはCLUB MUSICが持ち、生み出してきたサウンドのエッセンスがJ-Popと呼ばれる楽曲に大きく反映されていることだ。

HIP-HOP、Reggae、若者には欠かせないサウンドだろう。HOUSEもJAZZもROCKも同様。しかし、これらカルチャーは企業が作り上げてきたものではない。現場から、ストリートから、そしてそこにいるアーティストたちが生み出し、発信してきたカルチャーである。

それらのシーンと共に存在したメディアはフリーペーパーや音楽誌、サブカル誌。「何か足りんな?」という疑問を持ち、その答えが文頭に記載させていただいたSHIBUYA-FMのスタイル。

役に立てているかどうかは正直分からんです。そんな時、Loud Minorityをはじめ、数多くの日本のアンダーグランドから生まれた名曲を思い出す。自分たちがRespectしているアーティストを思い出す。まだまだ修行が足りんな、と思いつつ、バカボンパパのように「これでいいのだ」と思う次第です。


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