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三角合併解禁 あなたの会社が外資系になったら

外国企業が日本の子会社を通じて日本企業を買収する三角合併の解禁が間近に迫っている。欧米流ビジネスとは何なのか。意識改革のポイントを社員の視点から探ってみた。

「私は職場で人種差別を受けています」。

こんな内容の訴えが一社員から会社の人事部門におこされた。
世界中に系列を持つアメリカ資本の有名ホテルでの出来事。訴えた社員は現場で接客業を日常業務とする女性で、仕事上のちょっとしたミスが原因で上司に怒鳴られた。
「怒鳴ったのはミスが原因ではなく、私が白人ではないから」。彼女はそう思った。常日頃から、その上司とはソリが合わないと内心思っていたのかもしれない。

この従業員の意見を吸い上げたのは、年に1度、全従業員向けに行われる意見調査。上司が部下を評価する通常の査定に対し、部下が管理職を評価するのが目的だ。調査を行う部屋にはパソコンが置かれ、オンラインで実施される。

一人一人が「あなたは上司から公正な扱いを受けていると感じますか?」などといった設問に選択肢で答えていくことで、部下が上司から正当な評価をされていると感じているかどうかを探る。その結果に基づき、上司が管理職として適格かどうかを分析する。

人事部による集計が終わると次に行われるのが、各部門ごとのグループミーティング。人事担当者を交えて、集計結果をもとに所属部署ごとの話し合いが始まる。上司にしてみれば自分の評価を部下の前で聞かされ また、上司に不満がある人は、この機会に直接本人へ不満をぶつけることもできる。

人種差別を受けていると訴えた彼女は、上司のいる前で同じ主張を繰り返した。それに対して上司は、「決して人種差別ではなくミスをしたから注意をしただけ。相手が誰であっても同じ対応をする」と反論した。お互いが同部署全員の前で自分を主張しながら問題解決を図っていく。ここで当事者同士が納得せず、なおかつ人事部門が必要だと判断すれば、さらなる内部調査が行われることもある。

一例としてあげた逆査定や同僚たちの前で臆することなく上司に対する不満を主張する姿は、米国企業の間ではそう特別なことではない。それが国民性をベースに育まれた企業文化だからだ。

日本人には馴染まない習慣や勤務態度も少なくない。先ほどの話に関係するが、相手が上司であっても言いたいことが言えるのはその一つ。もちろん、わがままであったとしたら、その社員の能力の低さを逆に測られる材料となってしまう。

だが、それでも自分が正しいと思ったことはあまり気兼ねせず口に出せるし、上司もその意見が正しいと思えば率直に認めてくれる。部下のくせに生意気な、といった上下関係に基づく窮屈さはあまり感じない。

だから同僚であれば、よけいフランクにものを言い合うことになる。あるレストランの管理職として接客業務を行うAさんは、忙しい時間帯になると厨房のスタッフとよく言い合いになる。接客を取り仕切る側としてはできるだけ早く調理をして欲しい。一方、料理を作る側にはそれなりの理由がある。

厨房内ではかなり厳しい言葉が飛び交う。喧嘩と変わらないという。だが、仕事が終わればお互いケロっとし、根に持つようなことはない。

Aさんは「アメリカは背景の違ういろいろな人たちが集まっている。持っているベースとなる価値観が皆違うから、自分が期待していることは相手に言わないと伝わらない。それをしないで、きっとこうしてくれるはずと思うのは相手に失礼」と言い切る。たとえ言わなくても「あうん」の呼吸で分かることを期待する日本人にしたら、意識改革を余儀なくされる環境だ。

仕事の結果に対してシビアな点ももちろん多い。勤務評価が良ければ昇給するが、思わしくなければ降格も普通に行われる。管理職から平社員になることもある。先ほどのホテルチェーンでは他のロケーションへ転籍が可能なため、管理職失格となった社員が、上司から次のポストを自分で探すように言われたという。

例え勤務評価が良くとも、経営上の観点から行う組織変更のあおりを受けることもある。社内ポストが整理され、ナンバー2の上級管理職が単なるスーパーバイザーへと降格された実例もあった。待遇は当然下がるため、降格された社員にすれば大変だ。

また、欧米企業はセクハラに対して解雇を含めたかなり厳しい対応をとるのが一般的。外資系に馴染みのない人はこのあたりも気をつけたほうがいい。米国企業で働くある日本人女性は、「日本で働いていた頃は、酒の席で上司の膝の上に乗せられたりして嫌な思いをしたが、こちらではそういったことはまず起きない」と日本企業の脇の甘さを指摘する。

しっかりした米国企業であれば、教育ビデオを使って細かい点までセクハラに関する啓蒙を行う。例えば、「上司が部下をデートに誘ってはいけない」、「同僚を一度デートに誘って断られたら、2回誘うことは避ける」「ヌードポスターを職場に貼ってはいけない」など事細かに指導する。従って、後になっての言い訳は通じないと思ったほうがいい。


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