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止まらないセックス・スキャンダル、震源地は彼だ

(記事要約)

与党、野党を問わず政界にまで飛び火したスキャンダル。プロディ首相の側近、シルカーナまでが標的になっていた。性転換者が集まる深夜の通りに出没していたことが暴露されたのだ。政府内で辞任を求める声も出たが、「わたしを陥れようとするものであり事実無根」と本人は反発。プロディ首相は沈静化に追われた。

LA REPUBBLICA (イタリア有力日刊紙3月14日付WEB版)より


(解説)

これより先、隠し撮りした写真をえさに著名人を脅迫し、金銭を受け取っていた犯罪組織が摘発された。主犯は32歳のイケメンカメラマンと芸能人マネージャー。アダルトビデオ関係者も売春あっせんの疑いで拘束されている。

被害者は主に、スポーツ選手や芸能人だったが、政治家にまで及んでしまった。経緯はこうだ。

犯罪組織が仲間内で交わしていた会話が、逮捕前に傍受されていて、その会話の中に首相側近の名前があった。ただし彼は写真を撮られてはいない。いかがわしいところに「いた」だけ。確かなのは、大物政治家までが狙われた、ということ。

標的もやり口も、いろいろだ。

実業家や有名人向けに「美女付き」週末旅行を催し、その美女との写真を使ってゆする。サッカー選手や政治家、その親族を追いかけ、撮られたくない写真を撮って脅す。世に出る前の有名人の写真(もちろん、知られたくない誰かと写っている)を入手し、「雑誌に載せるぞ」と言って金銭を巻き上げる。

容疑者、被害者とも役者ぞろいの感があるが、注目したいのが検察官だ。ヘンリー・ジョン・ウッドコック。イギリス人の父を持つ40歳。この男の摘発と、メディアに捜査内容がすぐさま伝わっていることが原因で、毎日のニュースがスキャンダルだらけなのだと言ってもいい。

雑誌やテレビに出るためにカラダを張る女がいて、それを利用する組織がある。未成年の少女すら搾取されているとも聞く。ゆすられた被害者の中には、犯罪に加担していた者がいるかも知れない。そのためにゆすられたのかも知れない。

ウッドコックが一気に注目されたのは昨年6月。贈収賄・売春あっせんを摘発し、サヴォイア王家の末裔ヴィットリオ・エマヌエレ以下、中央では野党党首の側近、地方では自治体の長まで、13人を逮捕させた。イタリア中が揺れたあの事件の、延長線上に今度の摘発がある、との声もある。

この男は、正義の「漢」なのか、それとも、途方もない野心を抱えた男なのか。

同僚の話によれば、ウッドコックは朝7時半から夜10時まで働き、休日出勤さえ厭わないという。そして友人たちにこう言うそうだ。
「僕たち法曹界の人間はラッキーさ。入場料を払わなくとも特等席で人間のドラマを観劇できるんだ。」

彼がいうところの人間ドラマに今、国民が少しずつクギ付けになりつつある。観劇の気分を国民と共有すればするほど、彼は英雄になるはずだ。この国の英雄はまぶしい。度を越すと消されるかもしれないからなおさらだ。


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