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フランス税関 密輸の押収、過去最高を記録

<記事要約>

コペ予算相は、フランス税関が押収した昨年の密輸品が600万点と過去最高になったことを発表して税関の苦労をねぎらった。押収された物品の市場価格は2億8000万ユーロ相当であった。押収品のうちフランス市場向けは全体の52.5%を占めている。2001年度は全体の5%だったので変化がいちじるしい。

高級ブランドや医薬品などの偽造コピー製品はいっこうに減らない。またタバコの押収量は前年比16%増となった。麻薬・覚せい剤60トン、カナビス(大麻)52トンが押収された。

コペ予算相は、来年度「押収数の10% 増」という目標を設定。達成に向けてトラック及びコンテナの内容物を把握できるスキャナー搭載トラック1台を導入した。さらに3台の納入が予定されている。

2007/3/20 La Tribuneより (経済や金融をあつかう日刊紙、発行部数78000部) 


<解説>

水際で密輸を食い止めようとあの手この手をつくしても、密輸は増すばかりだ。2006年度きわだって増加したのはタバコの押収量だ。重量が軽いので郵便で送る手口が増え、前年比16%増の240トンとなった。フランスでは3年前からタバコの価格が数回値上げされ、一箱4.80ユーロ(約750円)もする。この価格急騰がタバコ密輸の引き金となったのだ。

また南アフリカ、カメルーン、ナイジェリア、タンザニアなどから運び込まれる象牙(前年比561%増の1875kg)、鳥や爬虫類などの動物、さらには盗難にあった美術品なども多数押収されている。

麻薬・覚せい剤の押収量は昨年と横並びだ。なかでもエクスタシーが177%増となった。そのほかではKHAT385%増(カート、アフリカ産の噛み葉で、覚醒作用有り)、ヘロイン80%増、コカイン24%増となっている。

フランスでは若者たちに浸透しているカナビス(大麻)。じつはヨーロッパで最もカナビスの消費が多いのだ。昨年度の目標は押収80トンだったが52トンにとどまった。日本では数グラムを所持しているだけで逮捕されるが、フランスでは携帯しているだけで逮捕されることはほとんどない。

これまで高級ブランドのバックや時計などのコピー製品は、利ざやが大きいので注目されてきた。しかし近年ではありとあらゆる物品がコピーされ、フランスに運ばれてくる。子供の玩具は粗悪品だと怪我をする可能性がある。また医薬品を偽物だと知らずに服用すれば健康をそこなうケースも考えられる。見た目ではほとんど違いがないため、コピーだと判断するのは非常にやっかいだ。

最近はインターネットを利用した違法輸入も増加している。税関史は他国と協力して情報交換を行っているが、密輸手口もどんどん巧妙になっており焼け石に水だ。スキャナー搭載トラックの導入で押収量が増えると期待されている。


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