大谷産業株式会社が展開する「ギャラリー収納」。筆者は、数年以上前に青山のショップを訪れて以来、その独特な業態に興味を抱いていた。メディアサボールを創刊したことで、今回の取材につながった。

嫁入り道具としての婚礼家具持参の習慣が薄れていること、畳からフローリングといった家文化の欧米化、居住空間の拡大、ライフスタイルの変化、デザインニーズの変化などにより、家具業界を取り巻く環境は激変している。

今現在、昔ながらの婚礼家具や収納箪笥などが所狭しとビッシリ並んでいるような「町の家具屋」は、買い手がなかなかつかず、ひどいダメージを受けているところが多い。

その意味で、かつては伝統的な家具メーカーであった大谷産業が、20年も前に、現在のような業態に大きく転換させていたことは、トップの先見の明と決断力の賜物だ。今となっては、見事に時代の流れを捉えていたということがいえる。

そのユニークなビジネスモデルとは、どのようなものなのか。

元々は、規格品の家具メーカーであったが、特注家具職人の減少や、中国の家具メーカー台頭などの影響により、20年前に、事業内容を転換したという。

取り扱い商品は、特注家具と既製家具の中間的な収納家具ということになる。
完成品としての在庫を持たない受注生産型方式をとっており、家具というより、壁の一部になりうるボックスタイプのシステム家具提案をコンセプトに掲げている。

その意図するところは、何か？

スペースに限りのある日本の住宅を広く感じさせるには、シンプルで統一性のある収納家具を選ぶことが大切である。デザインに主張させないことはもちろん、色の明度や彩度も落として圧迫感を和らげ、収納家具自体をまるで壁のように見せていく。すべてのアイテムが統一されたシステム収納は、その一つの答えであるとのこと。

そのために、「ギャラリー収納」は、パーツデザインを流行に左右されないシンプルでモダンなものにし、あとで、買い足しや組換えをしても、統一感が損なわれないように、モデルチェンジを行わないロングラン商品として提供している。

玄関ホール、リビング、ダイニング、書斎、ワークスペース、寝室、子供部屋など、様々な生活場面で使用する収納家具に対応しており、9000アイテム×24色の組み合わせが可能で、高さ14タイプ、幅・奥行きが10cm刻みで揃っている。さらに、1cm単位でのセミオーダーもできる。

家の建築、マンション購入、家族構成の変化、子供の成長、引越し、薄型大型テレビに代表される新しい家電製品の登場、収納物の増加などに伴い、アイテムの形状や大きさに合わせて、フレキシブルに家具を組換えてレイアウトを変えたり、移動したり、買い足していける「ギャラリー収納」の考え方は、買う側の立場に立った極めて合理的なものである。

収納の不満や悩みは、設置面積や容量を増やすだけでは解決しない。大事なことは「しまう」よりも「使う」こと。どんなモノがあって、どこで、どんなふうに使うのか。毎日なのか、ときどきなのか、季節ごとに入れ替えるのか。そうやって整理していくと、住まいのどこに、どのような収納が必要なのかが明確になってくる。

■収納の5原則とは？

１． 使うものは使う場所に収納する。
２． 大きさや形を揃えて収納し、棚板を有効に使って区分けする。
３． 使用頻度によって収納位置を決める。
４． 吊るす、たたむ、丸める、重ねる、立ててならべる。
５． 家族が各々の収納スペースを。共有物は全員がわかるように収納。

「ギャラリー収納」のショップでは、住まいの図面を持参することにより、一人ひとりのライフスタイルに合わせた収納プランを丁寧に考えてくれる。

直営ギャラリーは東京の銀座、青山、神奈川の横浜、大阪の御堂筋にあり、そのほか、パートナーショップが各地にちらばっている。

■ギャラリー収納　http://www.galleryshuno.co.jp/

●ギャラリー収納　銀座
　　東京都中央区銀座5-12-5 白鶴ビル1F
    TEL：03-3524-0811

●ギャラリー収納　青山
　　東京都港区南青山5-7-23 始弘ビル1F
    TEL：03-3406-6281

●ギャラリー収納　横浜
　　横浜市西区北幸1-3-23　横浜ベイシェラトン ホテル＆タワーズ　1Fロビー内
    TEL：045-290-1651

●ギャラリー収納　御堂筋
　　大阪市中央区北久宝寺町3-6-9 鴻池ビル1F
    TEL：06-6243-5571

最後に、商品のポイントを改善した点を含めて挙げていただいた。

■品質について
完全にシステム化された工場で生産していますので､品質が安定しており､かつ価格もおさえられています｡

■素材
ホルムアルデヒドを配合していない接着剤を採用｡安心してお使い頂けます｡

■地震対策
上下左右のユニットを金具で固定｡重心が後ろにくるよう丈夫に作られた背板は壁固定も可能で地震対策も万全です｡

■引き出しレール
2004年よりフルエクステンションレール(全開式)に仕様変更｡奥に収納した物も取り出しやすくなりました｡

■ヒンジ
耐久性の高いスライドヒンジﾞ採用｡2004年よりダンパーを取付け､開閉音が静かになりました｡

■アジャスター
建物の床には､ゆがみがつきもの｡床面のゆがみを正すアジャスターを装備しています｡