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LOHAS(ロハス)な生き方をするのに忘れてはならないこと

ご存知の通り、LOHAS(ロハス)とは持続可能な社会のあり方を望むライフスタイルのこと。デンマーク生まれの環境コンサルタントであるピーターセン氏は、LOHAS(ロハス)を「健康と環境を志向するライフスタイル」と訳しています。

彼によれば、LOHAS(ロハス)と今までのグリーンコンシューマーとの違いは、LOHAS(ロハス)層は豊かなエコライフを求めてこだわりを持った生活をしていること。豊かさを捨てて犠牲を払ったエコライフではなく、消費のリーダーとして、自らの一票を意識して行動しているのだそうです。

「健康と環境」を並べていることは私も賛成です。ヒトは動物ですから、食物を食べ、それを呼吸で得た酸素で燃やして生じたエネルギーで生命活動を営んでいます。したがって、環境が悪化すれば質の悪い食べ物や汚れた空気が体内に取り込まれるわけですから、健康は当然ながら害されます。

「悪い環境の中で健康に生きていく。」というのは無理な話です。(ついでに言うと、今流行のデトックスというのもやや無理があります。悪いものを外に捨てたところで、やがてまた戻って来てしまうのですから。したがって、大切なことは、そもそも環境(=健康)に悪いものは作らないということです。)それから「犠牲を払わない。」というのも大事な指摘です。あるべきライフスタイルであっても、無理にガマンしてやっていては続きませんから。

LOHAS(ロハス)の具体的な例としては「エコカーに乗ってオーガニックの食材を使ったレストランに通い、週末にはアロマセラピーとホットヨガ、コスメはオーガニック化粧品」と言ったところでしょうか。

確かに2─3年前から欧米のオーガニック化粧品が目につくようになり、私が所属しているアロマセラピーの分野にもオーガニックの精油(エッセンシャルオイル)が登場しました。

ところが、よく考えてみると、たとえ原料がオーガニックのハーブであっても、はるばる欧州から、飛行機や船で化粧品を運んでくる際に必要な石油や二酸化炭素の排出量を考えると、環境的な視点からは「どうなのかなぁー。」と私は考えてしまいます。

断っておきますが、私はorganic(オーガニック)な世界観やそれをめざす運動については心から賛同しています。言いたいことは、たとえorganic(オーガニック)であっても、トータルにホリスティックに考えるべきだと言うことです。

さて、ここからが本題です。いきなり戦争の話になるのですが、LOHAS(ロハス)雑誌や環境に視点を置いた雑誌には、戦争という重いテーマの話はほとんど載りません。どうやら、環境問題に関心がある人でも戦争に関してはあまり発言しないようです。(関心がないわけではないと思うのですが…。)

しかし、「環境」にしろ「健康」にしろ真剣に考えたら、戦争について言及しないことはあり得ないと思います。

田中優さんの「戦争って環境問題と関係ないと思ってた」(岩波ブックレット No.675)によれば、戦車の燃費はなんとわずか200メートル。戦闘機に至っては、一分間飛ぶごとに908リットルの燃料を消費し、約8時間飛ぶだけで、日本人一人が生涯に排出する二酸化炭素を使い終えてしまうというのですから。

健康面でも、イラクで使用されている劣化ウラン弾は800から2000トンにものぼり、広い範囲に深刻な被害をもたらしています。心の病もイラク国民はもちろんのこと、米国のイラク帰還兵103,788人の調査でも、そのうち4人に1人(25%)にPTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神的問題が見つかっています。現代の戦争に勝者は存在しないのです。

こうした事実が示すように、真剣に「環境」と「健康」を考え持続可能な社会をめざすのであれば、戦争について考え取り組むことは避けて通れないはずです。

「そもそもLOHAS(ロハス)はマーケティングコンセプトなのだから、そんな堅いことを言うのはヤボだ!」との声がどこからか聞こえてきそうですが、劣化ウランの主成分であるウラン238の半減期(放射能原子数が半分に減るまでの時間)は、なんとおよそ45億年。「持続可能」などと笑ってはいられません!


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