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ティム・オライリーが提唱したブロガーの行動規範6ヵ条

(記事要約)

「Web 2.0」という言葉を生み出したネット界の大物ティム・オライリー氏と、ウィキペディアの創設者であるジミー・ウェルズ氏が中心になって、ブロガーの行動規範創設を提案していると、ニューヨーク・タイムズ紙が4月9日に伝えた。

きっかけはハイテク本の著者で、ティム・オライリー氏の友人でもあるキャシー・シエラさんのブログで、個人ブログに残された心無いコメントを削除して良いかという議論がエスカレートして脅迫など悪質なコメントに悩まされ、3月に開催されたETechコンベンションへの出席をキャンセルしたことだ。

ティム・オライリー氏の提唱する行動規範では、覆面コメントを残すことを禁じたり、検閲だと批判されたりすることなく、脅迫的あるいは名誉毀損にあたるようなコメントを削除できるようにすることを提案している。

ティム・オライリー氏の提案に対し、反対意見を含めすでに340件以上の意見が寄せられている。

●ティム・オライリー氏のブロガー行動規範提案:http://radar.oreilly.com/archives/2007/04/draft_bloggers_1.html


●ウィキペディアのブロガー行動規範ページ:http://blogging.wikia.com/wiki/Blogger's_Code_of_Conduct


●ニューヨーク・タイムズ 4月9日付 不快なブログ界にマナーを求める
http://www.nytimes.com/2007/04/09/technology/09blog.html?ex=1333771200&en=0ac52f05a37e88fd&ei=5124&partner=permalink&exprod=permalink


(解説)

ブログスフィアは物理的な境界を超えて、サイバー上に果てしなく広がっている。ブログにコメントを残してくれた人とネットワークができ、自分の世界が広がっていくことも多い。

その反面、迷惑な一方的広告や、心無いコメントが突然残されていて、戸惑うことも少なくない。

ティム・オライリー氏が提案しているブロガーの行動規範は、ウェブ上でも礼儀作法は守りましょうといった内容のものだ。同氏の提案概要を紹介すると、


1. 自分のブログに掲載する内容、掲載を許可するコメント内容に責任を持つ。
誹謗、いやがらせ、脅迫、著作権違反、機密保持義務に違反するような内容は削除する。

2. 面と向かって言えないようなことは、オンラインでも言わない。

3. 公の場で反撃する前に、個人レベルで話し合う。

4. 論争が起きたら、インターネット上での言い合い合戦になる前に、まずは当事者間で
連絡をとる努力をする。

5. 匿名コメントは許容しない。コメントを残す場合、ウエブ上のハンドル・ネームは良いが、
有効なメールアドレスを提供するものとする。

6. 無礼なコメントは無視する。


上記はまだ「たたき台」だが、こうした行動規範にそって運営するブログには「Civility Enforced(節度を守っています)」というロゴを付ける。また、ブログの所有者がまったくコメントに手をつけないサイトには、「Anything Goes(なんでもあり)」のロゴを付けることで、論争が行き過ぎて野蛮なコメントがあるかも知れないことを、事前に読者に知らせておくという仕組みだ。

ティム・オライリー氏の提案に、デビット・ウェインバーガー氏など有名ブロガーが賛同を示し、ジミー・ウェルズ氏もウィキペデァア社のサイトで紹介している。その一方で、コメントの削除という話がでると、言論の自由に対する抑圧だという声があがるのが常で、反対意見やこうした規範の有効性を疑問視する声も多数寄せられている。

しかしニューヨーク・タイムズ紙で紹介されているように、イスラエルとパレスチナ和平についてのリチャード・シルバースタイン氏の個人ブログで、政治的意見が異なる人からハラスメントのようなコメントが頻繁に残され、さらには誰かが同氏の名前を使って新たなブログをつくり、ポルノが含まれた内容をシルバースタイン氏の写真とともに掲載するという悪質な嫌がらせもおきている。

こうした嫌がらせを恐れてブログを止めることになっては、それこそ言論の自由を窒息させてしまうのではないか。

ティム・オライリー氏も「検閲がないことが言論の自由だと信じる人が多いが、間違いだ。節度をもった対話を可能にすることで、言論の自由は拡大するのだ」と話している。


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