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ガソリン価格が高騰するなか、再びSUVが売れ始めた米国市場

(記事要約)

ガソリン価格がガロン当たり4ドルに近づこうとしているなか、3トンの車両重量を誇り、ガソリンを満タンにするにも銀行ローンを利用する必要があると思われるSUV(スポーツ用多目的車)は苦戦を強いられているように見える。

しかし、アメリカ人はそれらの大型車を避けるどころか、逆に好んで買い出している。2年間のスランプを脱出し、2006年から販売台数は上向きだ。自動車業界の統計によると、今年1─3月の大型SUVの販売は前年同期比で6%増え、4月は同25%の大幅な拡大を記録した。

GMCのユーコンXLは前月比72%増の大幅増を示し、GMシボレーの姉妹車であるサバーバンは同38%となった。両方の車とも、ガソリンを満タンにするために120ドルかかるのにである。

米国市場でのSUV販売は、2004年の1─3月から2006年の1─3月にかけて落ち込みを続けたのを最後に回復した。誰もガソリンをたくさん食うSUVを、ハイブリッド車で省燃費のトヨタプリウスと勘違いして購入しているわけではない。どんなに燃費が悪かろうと、SUVは多くのアメリカ人の生活様式にすでに浸透してしまっている。だから売れるのだ。

(サンフランシス地区の新聞。サンフランシスコ・クロニクルから。)


(解説)

米国、ことカリフォルニアなど西海岸でのガソリン価格の上昇はすさまじい。平均で1ガロン3ドル50セント前後をうろつき、場所によっては4ドルを超えるところもある。1ガロンは約3.79リットルだから、1リットル換算で1.06ドル。約127円に相当する。

電車やバスの交通網が発達している日本と違い、一部の大都市を除いて車が必需品の米国では、通勤で毎日百キロメートル以上ドライブする人もザラ。会社が交通費を支給するという習慣もないから、ガソリン代の上昇は家計に直接響く。

にも関わらず、排気量4000CCを超えるピックアップトラックやSUV、クロスオーバーなどといった大排気量車が売れている。これらの車は大方1ガロン当たり15マイル以下しか走らないガソリンがぶ飲み車。リッター換算で6.33キロ以下だ。ガソリン価格が高騰し、毎月5万円近いガス代を払ってでも、こうした車に乗るアメリカ人は減っていない。これは一体、どういうことか?

記事の中に出てくるレジナルド・フルフォード氏は、最近、フォード製のSUVエクスペディションを購入した一人。重さ3トンに迫る車体は、セダンより90センチ近く長く、燃費はガロン当たり14マイル程度(1リッター当たり5.9キロメートル)。

フルフォード氏はいう。「身長193センチ、体重113キロある私にとって、このエクスペディションはちょうど良いサイズ。それに4歳の息子と16歳の娘がいて、子供を乗せるときにSUVは広くて使いやすい。後ろにボートを牽引して野山に出かけるときにも便利。要するにいろいろな用途に使える機能が備わっているんだよ」。

このSUVを夫婦でとてもお気に入りの様子。だが、ガソリンをばら撒きながら走る環境への悪影響を全く考えていないわけでもないらしい。「地球温暖化を防ぐために、なるべく遠出しないようにしたりできる限りのことはしているつもり」だという。実はレジナルド氏は1997年製の日産マキシマも所有しており、街乗りには燃費の良いこちらの車を使っている。

もちろん、省燃費に気を使い、自分が乗る車はトヨタかホンダの小型車という意識の高い人も大勢いる。環境問題への関心が高いカリフォルニアでは1ガロン当たり50マイルを超える燃費を誇るプリウスが飛ぶように売れ、サンフランシスコ地区のように公共交通網が比較的発達している都市では、行政が盛んに電車通勤を呼びかけている。

自動車メーカーも燃費改善に向けた技術開発を進め、必要ないときには全部のシリンダーを燃焼させない「シリンダー・ディアクティベーション」などの技術開発を進めている。

しかし一方では、SUVに代わる新しい大型車のカテゴリーであるクロスオーバーに新型車を続々と投入し、消費者が小型車に逃げないようなマーケティングを行っているのも事実。クロスオーバーはSUVに高級車のテイストをミックスさせた車で、都会的でカッコいい。価格が5万ドル程度するうえ、燃費も決して良くないが、SUVユーザーの人気を得ている。

こうした自動車メーカーの施策がアメリカ人の意識と折り重なり、大型車の需要はガソリン価格の上昇に関係なく増加に転じているのが実情だ。


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