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中米に赤飯?! ベリーズの食事情とは

前回、このブログで紹介した通り、ベリーズは様々な民族から構成された多民族国家だ。中米とカリブ地域両方の影響を受けているので、民族ごとに文化や生活様式が違う。そして、その影響はもちろん食にも及ぶ。

 
*ライス・アンド・ビーンズ



代表的なカリブ料理。元来はクレオール(黒人系混血)の人たちの間で食されていたものだが、現在ではベリーズ全土で食べられている。ベリーズ以外の中米諸国でも見かける(スペイン語でフリホーレス・コン・アロス)が、ベリーズで食べられるものとは少々違った味だ。

ベリーズの人は、毎日のようにこれを食べている。調理法は、まず豆をやわらかくなるまで煮こみ(豆と共にみじん切りにしたニンニクや玉ねぎ、そして豚肉も一緒に煮込む)、その後、ココナッツミルクでもう一度煮込むのだ。その際、塩・コショウ、タイムも加え、豆にしっかりと味をつける。そして、そのやわらかくなった豆に米を加えて炊き上げる。

ライス・アンド・ビーンズは、見た目がまるで赤飯だ。私はベリーズ到着直後にこれを食べたのだが、地球の裏側でも赤飯が食べられているのかとショックに近い感覚を抱いた覚えがある。しかし、味の方は全く異なり、ココナッツとニンニクの風味が香ばしい、カリブ風炊きこみご飯とでも言ったところだろうか。そして、意外にも日本人の口にも合うと思った。

レストランで注文すると、ライス・アンド・ビーンズには鶏肉の煮込み、ポテトサラダ、プランテン(バナナに似た果物)がワンプレートで出されることが多い。
  

*チモーレ



ベリーズの人たちは、スープを良く食べる。日本では、スープは定食やコースメニューの脇役に出される程度だが、ベリーズではメインデッシュの一皿。大きな丼鉢に並々と出される。

ベリーズのスープにもいくつか種類があるが、私がベリーズで衝撃的だったスープが「チモーレ」。真っ黒なスープだ。

日本では、黒い食べ物と聞けばイカ墨を使った料理を思い浮かべるが、チモーレの黒色は、ブラック・リカドというスパイスから出ている。リカドは、木の実から採られるもので、ベリーズではレッド・リカドとブラック・リカドの2種類がある。

チモーレの具は、チキン、玉ネギ、ゆで卵が主なもので、スパイスには、オレガノやクミン、そしてシーゾンドソルトという独特なものまで加えられるので、日本では味わえない何とも複雑な味に仕上がる。ただ、こちらも日本人の口に合うと思う。


*エスカベーチェ

チモーレの他、「エスカベーチェ」も日本にはない独特な味のスープだ。何しろ味付けにたっぷり酢を使った酸っぱいスープなのだからかなり個性が強い。ベリーズの人たちは、暑い季節に特にこれを良く食べている。

スープには、酢の他にオレガノ、タイム、玉ネギ、ハラペーニョなども加わるので、酸っぱい中にもまろやかさのある味わいを創りあげている。

具のメインを飾る骨付き鶏肉は、一旦茹でてからオーブンで焼きあげ、それからスープの鍋に戻すのでカリッと香ばしい。

これらスープ類はトルティーヤと共に食されるのが普通だ。トルティーヤというのは、中米にスペイン人が到来する前から原住民の間で食べられていた主食で、トウモロコシで作られたものと小麦粉で作られたものの2種類がある。



各家庭では小麦粉のトルティーヤがよく作られる。小麦粉に塩、ショートニング、ベーキングパウダー、水を加えてこねた生地を平べったく伸ばし、コマルというトルティーヤ専用のフライパンで焼き上げる。

焼きたてのトルティーヤは、モチっとした食感が楽しめるパンのようなものだ。最近では、市販品のトルティーヤが売られているものの、やはり家庭で手作りされたものとは雲泥の差だ。

メスチソのベリーズ人家庭では、よくこの手作りトルティーヤをご馳走してくれる。両手で力いっぱい生地をこねている姿を見ると、美味しさもひとしおだ。それと同時に、主食のために、毎回力仕事をしなければいけないとは大変だなあと思ったりもする。


■関連情報

○ダッキーのスパイス・ラック 「ベリーズ・定番の食事」 2007/05/30
http://blogs.yahoo.co.jp/duckieduck_jp/47299384.html


○健太郎先生の一年生日記 「Lunch Time」 2006/05/05
http://blogs.yahoo.co.jp/kenchans6/35046986.html

 


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