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カナディアンも夢中にさせるSNS“Facebook”はmixi(ミクシィ)と何が違う?

<記事概要>

カナディアンの間で今、最もホットなのが、“Facebook”というアメリカ発のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)だ。2006年秋に一般公開されてからというもの、カナダでの利用者数は鰻登り。1年も経っていない6月現在で、すでに約155万人が登録しているという。

カナダ人は何事に対してもあまり国民全員が夢中になるということがない。強いて言えば、『アイスホッケー』と『ティム・ホートンズ(ドーナツチェーン店)』、最近ではヨガウェア専門店の“Lululemon”が流行しているくらいものだ。しかしこれらはすべて “Made in Canada”。それを考えるとアメリカ発のSNSに、この数字は驚異的である。

しかも利用者の中には、スティーブン・ハーパー首相、自由党ステファン・ディオン党首など各政党党首や政治家も顔を並べているというから、どれほど国民に浸透しているかがわかる。ディオン党首などはすでに8000人以上の『友達』を持ち、それはアラスカ州アンカレッジのコミュニティ5700人よりも多い。

一体何がそれほどまでにカナディアンを熱中させるのか、一見の価値がありそうである。

(2007年6月14日)The Vancouver Sun:
BC州で最も発行部数の多い一般紙。徹底した地域密着型の内容に定評がある。

 

<解説>

もともとはハーバード大学の生徒が学科の学生や教授たちとの交流を深めるために始めたもので、一般に公開されるまではアイビーリーグなど北米の大学を中心に広がっていったものだ。

現在のところ、最も大きなコミュニティはトロントの約64万人で、次いでロンドンの57万人。バンクーバーは28万人ほどだが、それでもニューヨークが25万人、ボストンが16万人、ロサンジェルスが13万人という数字をみると、カナディアンの熱中ぶりがいかほどかわかるだろう。国別では1位アメリカ、2位カナダ、3位イギリスのようである。

では、なぜこれほどまでに流行っているのだろうか? バンクーバーにある州立サイモンフレーザー大学のコミュニケーション学科教師によると、疎遠になっていた友人や知人ともう一度つながる新鮮さ、新しいコミュニケーションの手段、誰かがやりだすと自分もやらなくてはという心理状態などが考えられるということだ。

しかし、それではカナダで流行している理由にはならないように思う。カナダは『右にならえ』的行動があまり好きではない国民性なのである。

さて、このニュースを題材にしようと考えていた矢先、大学時代の友人から「自分の“Facebook”に友達として登録した」というメールが届いた。あまりにタイムリーで驚いたが、これを機会に私も登録してみた。

実はこれがSNS初体験で、何をどうしていいのかわからないまま、友人のページを見てみた。そこには彼女の写真と近況報告、どんな友達とつながっているのかなどが掲載されていた。彼女とは、かれこれ3年以上も音信不通だったのにSNSで繋がるとは不思議である。

そういえばつい最近、10年以上も音信不通だった親子が  “Facebook”で再会したというニュースを聞いたばかりだ。

では、日本のSNS代表「mixi(ミクシィ)」とどこが違うのだろうか。ということで、友人に招待してもらってこちらにも登録してみた。できることはほとんど同じだ。しかし、決定的に違うところが2つある。

ひとつは、 “Facebook”は文字通り『顔』が見えるSNSだ。もともと友人同士の近況報告などのために始まったツールであるから、実名で自分の顔写真を載せ、友人などを紹介している。その点、「mixi(ミクシィ)」は匿名性をかなり重視している。見られる立場としては匿名は安全なように感じるが、見る立場としては『顔』が見える方が安心する。

ふたつ目は、Eメールアドレスさえあれば誰でも登録できる“Facebook”に対して、ミクシィは招待してもらうことが前提となっている。この辺りも、SNSに対する安全性やプライバシー侵害への考え方、自己責任への認識の違いが反映されているような気がする。

もちろん、実名で自分のプロフィールを公開することは犯罪に利用される危険性もある。8月上旬、ベター・ビジネス・ビューロー(公正なビジネス取引に関する監視・指導を行う非営利団体。本部はアメリカ)が、 “Facebook”利用者にあまり詳しい個人情報を公開すると、クレジットカード偽造などの犯罪に巻き込まれるので注意するようにとの警告を出していた。

しかし、今のところそれくらいのことで、カナディアンのこの熱中ぶりは静まりそうにもない。結局『なぜこれほどカナディアンが熱中しているのか』という答えは出ないままだが、ひとつ言えることは、人と繋がると言うことは意外と心地良いということだ。『顔』が見えればなおさらである。

私もすっかり1日一度はチェックするようになってしまった。今のところ英語でしか対応していないが、日本コミュニティもある。興味がある人は試してみるとおもしろい。世界の人々と繋がるツールでもある。http://www.facebook.com

 


■関連情報

<Facebook関連情報>

○メディア・パブ 2007-07-12
 「Facebook vs MySpace,FBの開放路線でトラフィックに変動が起こったのか?」
http://zen.seesaa.net/article/47589882.html


○メディア・パブ 2007-08-01
 「米国産のSNS,グローバル市場でも急成長続く」
http://zen.seesaa.net/article/49900213.html


○メディア・パブ 2007-08-04
「日本のSNSは若者のたまり場に,米国のSNSは大人も集う場へ」
http://zen.seesaa.net/article/50279111.html


○WIRED VISION 2007-08-01
  SNSから「ソーシャルOS」へ:『Facebook』の試み(1)
http://wiredvision.jp/news/200708/2007080122.html


○WIRED VISION 2007-08-02
  SNSから「ソーシャルOS」へ:『Facebook』の試み(2)
http://wiredvision.jp/news/200708/2007080219.html


○SNS,ソーシャルネットワーキング.jp 2007-05-29
「日本のSNSはFacebookになるか、MySpaceになるかが大きな分かれ目では」
http://www.socialnetworking.jp/archives/2007/05/snsfacebookmysp.html


○ITmedia News  2007-08-20
 「社員のFacebook閲覧で50億豪ドルの損害――SurfControl調査」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0708/20/news056.html


○CNET  2007-07-13
 「セカンドライフ、グーグル、セールスフォース--ウェブプラットフォーム企業にみる勝者の法則」
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20352785,00.htm


○CNET  2007-07-31
 「Facebook Platform」で個人情報が盗まれる危険性--アナリストが指摘
http://japan.cnet.com/news/sec/story/0,2000056024,20353852,00.htm


○CNET  2007-07-23
 「Facebookが初の買収--相手はウェブ新興企業Parakey」
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20353212,00.htm

 

<ルルレモン(Lululemon ヨガウェア)関連情報>

○バンクーバー・ブログ【カナダ】
 田口玲子 「バンクーバーのヨガ事情」 2005/04/12
http://www.hellobc.jp/blog/archives/00064.html


○関心空間 「ルルレモン(Lululemon)」 2005/09/04
http://www.kanshin.com/keyword/801906


○ぷかぷか 「lululemon *ルルレモン」 2005/07/28
http://franny.exblog.jp/1412450


○MANAのビューティ日記
「キュートなフィットネスウェア@ルルレモン」 2005/08/11
http://yagimanami.at.webry.info/200508/article_16.html

 

<ティム・ホートンズ(Tim Hortons ドーナツチェーン店)関連情報>

○コモンルーンの部屋 「ティムホートンのドーナツ」 2006/09/07
http://commonloon.exblog.jp/3272943/


○Yokoのカナダ日記 「カナダらしいニュース」 2006/03/25
http://blog.goo.ne.jp/yoko_japan/e/ee9e857b4af1ac37ea0daaa30df4c287


○Tim Hortons Commercial(YouTube映像 01:03)
http://jp.youtube.com/watch?v=Sq53O5BR5U0


○Tim Hortons Fruit Explosion 2001(YouTube映像 00:34)
http://jp.youtube.com/watch?v=ESFrAR5PmiA&mode=related&search=


○Tim Hortons Cross Canada Road Trip(YouTube映像 01:01)
http://jp.youtube.com/watch?v=Q4cPKqC8ojA


○Mystery of My Tim Hortons Coffee(YouTube映像 02:35)
http://jp.youtube.com/watch?v=B7Shv9-FDuI

 

 


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