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クローン犬を作る権利をオークションで販売。米のバイオテック企業が6月に実施。

 5匹分のクローン犬を作る権利を一般に向けて販売するオンライン・オークションが、米国のバイオテック企業によって6月中旬に開かれる。愛犬のクローンを求めるペット愛好家が世界中から殺到すると予想されている。

 「ベスト・フレンド・アゲイン」(http://www.bestfriendsagain.com/index.html)と名づけられたこのプロジェクトを運営するのは、シリコンバレーのバイオテック企業BioArts。「犬とネコの商業的なクローンのノウハウと法律的な権利を持つ世界で唯一の会社」(同社)だという。

 クローン犬の制作の権利を販売するオークションに参加するには、同プロジェクトのウェブサイトから登録を行う必要がある。受付は5月21日から始まっている。

 オークションは、同社のパートナーとなっているオンライン・オークションサイトのProxibid.comで6月18日の午後6時(米国西海岸時間)にスタートし、4時間刻みに5つのオークションが組まれている。これは、世界中から入札があることを見込んで、時差が特定の地域に不利を及ぼさないようにとの配慮だ。いずれも24時間後に入札終了となる。

 入札開始価格は、一組目のオークションが最も安く10万ドル(約1040万円)。組が遅くなるごとに2万ドルずつ上昇し、最終組は18万ドル(約1872万円)となる。同社によると、だんだんと高くすることで、模様眺めをしてなかなか入札しない参加者を減らす目的があるという。落札者は30日以内にクローンを望む犬のDNAを提供し、そこからBioArtsがクローン犬の制作にとりかかる。

 生まれたクローン犬は十分な健康検査を行った上でオーナーに渡される。1年間の保障も付くという。また、DNAを提供したオリジナル犬に似ていないと飼い主が判断した場合、返金要求をすることもできる念の入れようだ。

 BioArtsは今回のプロジェクトに関して、世界最高水準の技術力を持つ韓国のバイオテック研究機関「Sooam Biotech Research Foundation」と提携関係を結んでいる。クローン研究の第一人者ファン・ウソク教授も参加する。ソウル大学の研究チームの一員として、2005年に世界初のクローン犬「スナッピー」を、雄のアフガン犬から作り出した人物だ。

 同教授は、2004年にES細胞(肺性幹細胞)に関する捏造論文を発表したことで社会的な批判を浴びた人でもあるが、BioArtsではクローン犬研究に関する第一人者であることに変わりはないとして、プロジェクトに参加してもらうことにした。

 BioArtsのルー・ホーソンCEOが「ベスト・フレンド・アゲイン」プロジェクトにたどり着くまでには10年の歳月が必要だった。1996年にクローン羊のドリーが誕生し、世界中のクローン研究者が動物クローンの研究で競い合っていた頃、ホーソン氏もGenetic Saving & Cloneというバイオテック会社のCEOとして、1998年からクローン犬のプロジェクトに取り掛かった。

 コリーとハスキー犬を掛け合わせた雌犬「ミッシー」のクローンを作る予定だったが、ミッシーは2002年に15歳で亡くなり、その後、資金不足から会社も倒産。だが、あきらめずにホーソン氏は新たにBioArtsを設立。遺伝子バンクに保管されていたミッシーのDNAを使って、昨年12月と今年2月に合計3匹のクローン犬を作ることに成功した。

 犬のクローンは動物の中でもかなり難易度の高い分野で、人間よりも難しいとされる。卵子が未成熟な状態で生産されるなど特殊な生態を持っているためで、2005年に初のクローン犬が誕生した際には高い評価を受けた。現在ではクローン技術も進み、誕生した子犬の8割以上は生き延びるという。

 今回のオークションは、愛犬を家族同様に可愛がり、なおかつ1000万円単位の支出にも困らない人たちにとっては朗報だろう。10年から20年といわれる犬の寿命では、飼い主より先に犬が逝ってしまうことも多い。しかし、クローンがいれば愛犬を失った寂しさを味わわずに済むと考える人も多いはずだ。

 ただ、一つ熟慮しなくてはならないのは、クローンは遺伝特性や外見に関してはオリジナルに極めて近い形で生まれてくるが、性格はまったく異なるという点。犬に限らず、その個体の性格を大きく決定付けるのは、置かれた環境や躾が重要になってくる。クローン犬に愛犬と同じような行動を期待しても、裏切られるだけ。それを覚悟しておかないと、外見が似ているぶん、返って辛い思いをするかもしれない。

 

【編集部ピックアップ関連情報】

○WIRED VISION 2008/01/25
 「細菌のゲノム合成に成功:2008年中に合成生命も?」
 ゲノム配列の作成におけるこの新たな成果によって、科学者たちは原理的
 には、生命体を自由に設計できるようになり、人間にとって有用な
 化学物質を一から生成できるような「生物ロボット」の作成も可能になる。
 例えば、エタノールなどのバイオ燃料を生成する合成生物だ。
http://wiredvision.jp/news/200801/2008012520.html


○ITmedia News  「韓国の科学者、光るクローン猫を作り出す」2007/12/13
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0712/13/news040.html

 

 


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