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米テレビ放送、アナログからデジタルへ。際立つ映像の鮮明度

  • 米国在住ビジネス・コンサルタント
  • 鶴亀 彰

 私の楽しみの一つは家の近くにある大きなエレクトロクス機器の販売店を覗くことである。ウィンドー・ショッピングで終わることが多いが、最新の機器に触り、いろいろ試してみる。日本の秋葉原や新宿などの販売店覗きも楽しいが、米国の場合はあまり混んでなく、ゆっくりと時間を掛けて試すことが出来る。

 米国では来年2月17日から全米一斉にテレビ放送がアナログ方式からデジタル方式に変わるとあって、やはり店の中にはデジタル・テレビが多く並べられている。売れ行きも良いらしい。同時にまた自宅のアナログ・テレビでデジタル放送が受信出来るコンバーター・ボックスの売れ行きも良いようである。

 米国は消費者の力が強く、また米国の一般消費者は日本に比べると、かなり質実と言うか、お金を無駄に使わない。豪奢な消費生活を送る一部のお金持ちのイメージが強いが、一般庶民は極めて堅実である。自分の身の丈を越えた出費はしない。高級品ではなく、中級品や低級品で我慢する層が多い。

 また日本では方式などが違うと一斉に新しいものに変わる傾向がある。例えばオフィスなどで新しいパソコンを導入する場合は、一斉に全オフィスが右にならえになる場合が多い。しかし米国の場合は時間を掛けて少しずつ導入して行く傾向が強い。二つの機器が混合して使用される過渡期の期間が長い。

 今回のテレビ放送のアナログからデジタルへの変更も、当分は多くの消費者は現在あるアナログ・テレビで来年2月17日からのデジタル放送が受信出来るようになっている。コンバーター・ボックスは40ドルから80ドルで販売されているが、米国政府は40ドルのクーポン券を渡して、消費者の便宜を図っている。

 現在、全米各地の地元テレビ局は、一日テストとしてデジタル放送に切り替えることを実施している。アナログ・テレビを観ている人に取っては、急にテレビが映らなくなるために、来年のデジタル放送への切り替えを認識する機会になる。衛星放送やケーブルがある家庭ではこの問題はない。

 デジタル放送をデジタル・テレビで受信するとその映像の鮮明さに驚く。またチャンネル数もはるかに増える。またハイ・ディフィニション映像も増えており、世界中の美しい自然を写した映像などは、実際に現地で観る以上に鮮明で美しい。それらの番組のいくつかを記録したいと思うとブルーレイを求めることになる。

 先週末覗いたところ、400ドル程で販売されていた。因みに従来のDVDプレーヤーは100ドル程である。店の店員に尋ねてみたら、やはり高画質を求めてブルーレイを購入する顧客は多いが、まだ品不足が続いていると言う。そろそろ供給が増え、恐らく今年末には250ドル位に価格も下がるのではないかと言う。

 一昔前に比べるとテレビ映像の鮮明さは格段の進歩である。その鮮明度は技術の進歩を受けて止まるところを知らない。ラスベガスで開催された今年の全米放送業者のコンベンションではNHKが出品した超高品位カメラが話題を呼んでいた。鮮明な映像を求めて、技術者の挑戦は続いている。

 

【編集部ピックアップ関連情報】

○GIGAZINE  2008/04/18
 「アナログ放送は終了します」といった字幕がテレビに常時表示
  されるようになります
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080418_analog_tv/


○やいゆえブログ 「テレビ・地上波アナログ放送終了 段階告知」 2008/04/26
 で、2011年に本当にアナログ放送が終了してデジタルに移行するのか・
 移行できるのか。「延期されるに違いない」と自分は予想しているのだが。
http://yayiyuye.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/post_11dd.html

 

 


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