Entry

フツーの男がフツーにはまるメンズアロマテラピー

  • グリーンフラスコ株式会社 代表・薬剤師 
  • 林 真一郎

先日、日経新聞の一面に「働く男、アロマで一服」という記事が掲載され、話題となった。私も取材を受けた一人なのだが、最近、確かにアロマテラピーを愛好する男性が増えている。

わが国最大のアロマテラピーの団体である社団法人日本アロマ環境協会が実施しているアロマテラピー検定は年間約3万人が受験するが、その一割を男性が占めるという。アロマテラピーのセミナーには昔から1から3%ほど男性の姿が混じっていたが、自分から進んでというよりは、女性受講者の彼氏だったり、「付き合い」で来ている者がほとんどだった。だがしかし、今では私どもで開催している男性限定のセミナーなど、すぐに満員になるほど男性は積極的だ。

「大都市生活者」と「異性愛者」の造語である「メトロセクシャル」の著者であるマイケル・フロッカーは、メトロセクシャルをめざす男性に4つの条件を挙げている。

1)21世紀を生きる男のトレンドセッター
2)高い美的センスを持ち、都会に住むストレート(ゲイでない男)
3)ファッションやショッピングに金と時間を惜しまない男
4)自らのフェミニンな面を抵抗なく受け入れる男

なにやら、ニューヨークの会員制のメンズ専門エステの常連客といった風情だが、わが国のアロマ愛好家の男性はいたってフツーの男性である。

では、ここに来て、なぜ「フツーの男がフツーにはまる」ようになったのか? 私なりにその原因を探ってみよう。

まず第1に、アロマテラピーの科学的なメカニズムが明らかになったことが理由のひとつである。女性は単に「気持ち良い」、「ここち良い」といった情緒的な理由だけではまるのだが、男性は直感に自信がない、あるいは直感を使う社会的な訓練ができていないので、気持ち良い理由(作用のメカニズム)や科学的根拠といった「後ろ楯」を必要とする。2004年に米国のアクセルとバックというふたりの科学者が「におい受容体と嗅覚系の機構」というテーマでノーベル生理学・医学賞を受賞したことがきっかけになり、それまでベールに包まれていた嗅覚系のメカニズムが次々に明らかになり、わが国でもアロマテラピーの学術研究が活発化していることがメンズアロマの流れをあと押ししているのだ。

第2の理由は、アロマテラピーによる抗ストレス効果が極めて実感しやすいことだ。「脳疲労」という言葉が注目を集めるように、現代のストレスは昔のような体のストレスではなく、心のストレス、それもコンピューター社会がもたらす局所的な疲労である。一方、アロマテラピーの作用点は脳そのものだから、効果抜群のストレス対処法なのだ。

さらには、ひと昔前は会社に精油(エッセンシャルオイル)を男が持っていったら白い目で見られたが、最近ではお酒やタバコなど不健康な手段でストレスを解消するよりも、精油を上手に使いこなした方が「自己管理ができる男」として評価されるようになったことなども背景にあるようだ。アロマテラピーはロハス層にとって必須のアイテムなのだ。


それでは最後に、私からストレスに悩む男性諸君にとっておきの精油をご紹介しよう。精油の使い方は簡単だ。ティッシュにたらして香りをかいだり、香炉やアロマライト(熱源が電球の香炉)を利用して部屋に香りを漂わせるのも良いだろう。およそ50グラムの自然塩に4から6滴たらしてバスソルトを作り、アロマバスを楽しむのも良いものだ。

●ラベンダー
OA機器による疲労で煮つまったときや、怒りが収まらないときのクールダウンの香り

●ローマンカモミール
いくつかのストレスが複合的にからみ合い、心身共に疲れ果てたときの
シェルター(避難所)の香り

●ペパーミント
眠気や脱力感、集中力の欠如を一気に吹き飛ばし、脳機能を高める目覚ましの香り

●ベルガモット
ついついタバコに手が伸びるときにかぐと、心に落ち着きを取り戻す禁煙の香り

●ローズマリー
記憶力を高めると共に注意力の低下や単純ミスを防ぎ、脳の若さを取り戻す若返りの香り

●ユーカリ
お部屋のタバコの匂いや気になる匂いを消し去る、消臭効果抜群のエアクリーナーの香り

 


【編集部ピックアップ関連情報】

○Chocotte de Choo
 「メトロセクシャル」(マイケル=フロッカー著) 2008/06/03
  本の内容についてですが、髪型や服装、鼻毛などの「無駄毛」の手入れから
 テーブルマナーやカクテルの種類、果ては女性とのお付き合いの仕方まで
 「メトロセクシャル」が備えているべき事柄が網羅されており、良い勉強に
 なりました。
http://d.hatena.ne.jp/Choo/20080603/1212981658

 

 


  • いただいたトラックバックは、編集部が内容を確認した上で掲載いたしますので、多少、時間がかかる場合があることをご了承ください。
    記事と全く関連性のないもの、明らかな誹謗中傷とおぼしきもの等につきましては掲載いたしません。公序良俗に反するサイトからの発信と判断された場合も同様です。
  • 本文中でトラックバック先記事のURLを記載していないブログからのトラックバックは無効とさせていただきます。トラックバックをされる際は、必ず該当のMediaSabor記事URLをエントリー中にご記載ください。
  • 外部からアクセスできない企業内ネットワークのイントラネット内などからのトラックバックは禁止とします。
  • トラックバックとして表示されている文章及び、リンクされているWebページは、この記事にリンクしている第三者が作成したものです。
    内容や安全性について株式会社メディアサボールでは一切の責任を負いませんのでご了承ください。
トラックバックURL
http://mediasabor.jp/mt/mt-tb.cgi/854
メンズアロマテラピーの可能性 2008年11月01日 09:43
最近、男性向けのアロマテラピーが流行の兆しを見せているようです。 フツーのオトコがフツーにはまる...