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ハイテク企業グーグルの超ローテクな環境対策

  • 米国在住ジャーナリスト

(記事概要)

 インターネットの革新者グーグルは、山火事を防ぐ昔ながらの伝統手法の採用に踏み切った。ヤギは、ほとんどなんでも食べてしまうのだ・・・。

 グーグルは、北カリフォルニアのマウンテンビュー市の本社敷地周辺に広がる草原に、およそ200匹のヤギを連れてきた。

 カリフォルニア州は山火事が起こりやすく、ここ数年の日照りはその危険性を一層高めている。冬の短い雨季に成長した草と茂みは夏の乾季に干からび、燃えやすくなる。消防署は、茂みを取り除き、緩衝地帯を造ることを常に人々に呼びかけている。隙間を作ることで、火災の際の炎の拡散を防ぐためだ。

 グーグルの不動産担当の役員は同社のブログの中でこう説明する。「弊社では、雑草と茂みを取り除いて火災の危険性を減らすために時々草を刈る必要のある空き地をいくつか持っています」。「ガソリンを消費し、空気を汚し、騒音も大きい草刈機を使う代わりに、我々の仕事をしてもらうためにヤギを借りてきたのです。(念のため、これは冗談ではありません)」。

 実際に北カリフォルニアでは、茂みを除去するためにヤギを使うことはよく行われている。地形的に人や機械を使うのが難しい場所などでは特に。

 草刈用のヤギを飼育するカリフォルニアグレイジングはこう宣伝する。「環境フレンドリーで、雑草と茂み除去のために進んで草を食べる800匹の(動物)を私たちは飼っています。これらはあたなのプロジェクトに貸し出す準備が出来ています」。

 さらにこう続く。「ヤギによる雑草コントロールと土地管理は、見た目が良くて環境面から優れているだけでなく、コスト的にも安いのです」。グーグルには、ヤギと一緒にボーダコリー犬のジェンが派遣され、ヤギの群れを追い立てる役割を果たしているという。

AFP  5月1日


(解説)

 「ハイテクのグーグルがローテクの」と、そこまでの見出しを見てなんだろうと思ってしまった。記事を読んでみたら、ヤギを使っての雑草除去。明るい経済の話題が少ない今の時期に、何ともほのぼのとしたニュースだ。

 シリコンバレーを訪れたことのない人にとって、ここはどんなイメージだろう。テクノロジーの聖地としてハイテク高層ビルディングが立ち並び、街角のいたるとこに電子デバイスの接続ポートが置かれている。商店街へ行けば秋葉原顔負けの最新電子機器が並ぶ超デジタルな都市。そう考えてしまった人の期待は大きく裏切られる。

 基本的には、広いゆったりとした土地に低層ビルディングが立ち、車でフリーウェイを15分も走れば緩やかな丘陵地帯がどこまでも続く。こうした場所に商店街なんかはなく、ポツン、ポツンとオフィスコンプレックスが見られる程度。途中、牛が放牧されていたりして、のどかという言葉がぴったり来る。グーグルの本社だって、すぐ後ろは空き地とゴルフ場だ。
http://maps.google.co.jp/maps?f=q&source=s_q&hl=ja&geocode=&q=google+mountain+view+ca&sll=36.5626,136.362305&sspn=95.459641,141.328125&ie=UTF8&cd=1&ll=37.424162,-122.076988&spn=0.199309,0.276031&t=h&z=12

 だからこそ、今回もヤギの登場となった。確かにこれなら、草刈機を使って無駄にガソリンを消費し、化石燃料から発するCO2で空気を汚すこともない。(ヤギ200匹が排出する二酸化炭素排出量は知らないけど)。ヤギたちは一週間程度グーグルに滞在し、たらふく草を食べ、ついでに堆肥をあげて帰っていくという。

 さすがグーグルやることが違う、と思っていたらヤフーも同様のことをやっているらしい。1─2年に一度、ヤギを本社横の空き地に連れてきて草を食べさせているとのこと。そのときの写真だ。http://www.flickr.com/photos/yodelanecdotal/415233790/

 ちなみにグーグルでは、情報や技術を活用した環境改善に積極的に取り組んでいる。今後5年から10年程度で2500万ドルをつぎ込み、石油よりも安価なエネルギーシステムの開発や、電気自動車の活用によるCO2排出の削減などを進める。

 2007年には本社屋の屋根に9212枚のソーラーパネルを敷き詰め、太陽光発電システムも導入済み。本社ピーク電力使用量の3割を賄うことが可能で、一般家庭に換算すると1000件分に相当する。2007年6月からの発電総量は、421万33キロワットアワーに達しているという。

 

 


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