
米国スーパーで雑草が人気に
- 米国在住ジャーナリスト
<記事要約>
「オーガニック」や「地元栽培」がキーワードとなりつつある米国の野菜売り場に、今度はタンポポやハコベなどの雑草が並びはじめた。1ポンドあたり9ドル(450グラムあたり約860円)と高価でも、問題なく売れていくという。ウォールストリート・ジャーナルの報道によれば、今年3月末までの1年間で、米国のスーパーマーケットではなんと200万ドル(約1億9000万円)分のタンポポが販売された。ハコベやナズナなど、一般家庭の芝生では敵視される雑草が、一躍「トレンディなグリーン」として食卓に並びつつある。
5月27日付けWall Street Journal Weed Cuisine: It’s Salad Days for Dandelions
http://online.wsj.com/article/SB124338226000356493.html
<解説>
ウォールストリート・ジャーナルによれば、食料品チェーンのWegmans Food Marketsでは、今年1月から5月までで、昨年同時期と比較して、タンポポの販売は25%アップしたという。またノースカロライナの食料品チェーンEarth Fareでも、5月までのタンポポ販売は40%アップというから驚きである。
日本では七草がゆなどで、ナズナやハコベなどの雑草を使う習慣があるが、米国でも第二次世界大戦までは、ワイルド・オニオンやヤマゴボウなどを食べる地域は多かったらしい。移民の国アメリカでは、庭で故国の野菜を育てて食べる人も多かった。しかしその後、食品は食料品店で買うものという風潮が広がり、緑色の濃い野菜より、高原レタスを食べることが裕福さのシンボルとなった。
ここ数年はグルメ料理家の間で、より面白い味覚を取り入れるために苦味のあるアルギュラ(ルッコラ)やチコリ、日本の水菜などの人気が高まったが、さらに発展してタンポポなどの雑草も食材として選ばれるようになった。雑草の栽培には除草剤はもちろんのこと、肥料も不要なため、近年の「オーガニック」、「地元栽培」といったトレンドにも合致した。さらに濃い緑の葉野菜は、健康に有益な成分を含み免疫強化に役立つ「スーパーフード」として見直されている。
米国の食卓にのぼりつつある「雑草」は、タンポポに加え、ゴボウ、ハコベ、クズ(葛)、ナズナ、スベリヒユ、シロザなど。ゴボウは茎をスープに、葛の葉は天ぷらに、ハコベやタンポポ、ナズナはサラダに混ぜて使う。これらの雑草は必ずと言っていいほど芝生の間に顔を出すので、大抵は家の周囲にもあるものだが、芝の手入れの一環として除草剤をまいたり、犬や猫が歩き回ったりすることを考えると、やはり食料品店で買う人が多いのだろう。農家側からみれば、栽培している野菜に加え、勝手に生えてくる雑草を収穫し、栽培野菜と同程度の価格で販売できるのだから、願ったり、かなったりである。
<関連リンク>
▼食べられる雑草はこんなにある 「花いっぱい.com」
http://www.hanaippai.com/taberu/
▼タンポポを使った薬膳料理レシピ
http://www.kenko-joho.jp/seikatsu/yakuzen/y_04/tanpopo01.html
<編集部ピックアップ関連情報>
▼“暮らしのリズム”的できごと 2009/02/01
「寒中の旧七草は梅もほころびました」
七草と言えばやはり七草粥。「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、
ほとけのざ、すずな、すずしろ」です。でも昔の人や北国、雪国の人たちは
身近な野菜や前の年に収穫した乾物などで七草粥を作ってきました。
http://kurashi.blog.ocn.ne.jp/top/2009/02/post_a2d8.html
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